リアルサウンド映画部に、ネタバレを巡る課題についてコラムを書きました。
ネタバレ=絶対悪なのか? 劇場版『名探偵コナン』試写会なしの意味を考える|Real Sound|リアルサウンド 映画部
今年の名探偵コナンの映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が試写会なしで絶対ネタバレ禁止という感じで展開しているのですが、昨今エンタメの世界でどう向き合うのか議論になるのがネタバレです。
ネタバレ絶対悪だという人もいれば、内容がわからないと安心できないという人もいます。この溝をどう考えるかという内容です。実際、映画宣伝の現場はこの2つに引き裂かれて大変だと思います。
加えて、昨今トリガーアラートの話もここに加わってきています。『52ヘルツのクジラたち』は公式サイトで注意喚起しています。トリガーアラートサイトのDoes the Dog Dieについても触れています。
ネタバレを絶対悪とは言えない時代担になってきているのかなと思います。宣伝はこれからますます難しい舵取りを迫られるのだろうな。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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Thesis
ネタバレをめぐる社会の状況は。。。ネタバレのいさかいは他者との共存の難しさそのものである
Point
ネタバレをめぐる今、コナンのヒット。昨年は君たちはの宣伝なし手法も話題に
しかし、予期せぬネタバレでもめることもすくなくない。ネットでも映画館のロビーでも。
ネタバレを求める人々。。。そうじゃないと不安という層、トリガーアラートの問題
ネタバレされたくない人とネタバレがないと困る人、両方いると言う問題があり、どう共存できるのか
Intro
今年のコナンは試写会がなかった。
あれだけのビッグタイトルは事前に試写やってパブを作るまでもないかもしれない。
それ以上に、ネタバレ厳禁な衝撃的なネタを仕込んでいたことにも理由がありそう。
それは功を奏したと言えるだろう。
Body1ネタバレを巡る社会の状況
ネタバレされたくない心理は非常に映画ファンの間では大きくなっている。話題作が公開されるたびに、だいたい被害報告もSNSには上がる。
何がネタバレになるのかは厳密な線引きは不可能であるが、一般的な物語の結末や核心に触れる内容はNGという解釈することが多い。
そして、時期の問題もある。公開一週間前はかなり厳密に公式も情報をコントロールしたがり、2週目、3週目からは情報をもっと公開していくことが一般的な宣伝展開になっている。
これは、ネタバレされたくない人もいれば、もっと情報がわからないとどんな内容かわからず不安という人もいるからだ。映画興行はどっちにも対応する必要がある。公式は情報の出し方ひとつで炎上する恐れがあるので、非常に神経質に行われている。
今回のコナン映画については、秘匿しておいておそらく正解だったんだろう。事前に試写をして万一もれたら、おそらく大炎上になっていた。
映画ではないが、ゲーム実況によるネタバレで逮捕者もでている。ネタバレが著作権侵害だと認定されたケースだが、そういうことも起きているのが現代である。
SNSで感想投稿にはふせったーを使うマナーも一部では定着しつつあるし、レビューサイトでもネタバレのアラート表示をつけることができるようになっている。
ネタバレの「ゲーム実況」で初の逮捕者 若年層の「タイパ」重視を背景に暴走か – 産経ニュース
Body2ネタバレをめぐる映画の今と宣伝
昨年、ジブリは君たちは~を、宣伝なしで公開した。
鈴木敏夫は、情報にまみれすぎているので逆に新鮮ではとその狙いを言う。
文藝春秋の対談の中で、鈴木さんは現在の映画業界の事前宣伝は「過剰サービス」ではないかという問題提起をされています。
その前には「THE FIRST SLAM DUNK」もあった。
Body3 ネタバレがないと不安な者たちの増加
映画を早送りで観る人たちからも引用するか。
Z世代に流行する「ネタバレ消費」とは?“失敗したくない”若者のホンネ | Business Insider Japan
こういう人々にとってはネタバレサイトはどれだけ著作権侵害であっても、助かる。
タイパ指向
「映画、ドラマ、ゲームが、コンテンツ鑑賞というよりも情報処理として視聴される傾向がある」という指摘も。
Body4 トリガーアラート
does the dog dieというサイトがある。
このサイトについての詳細
作中で犬は死ぬかとか、すごく細かく映画の内容について記載されていて、ショックを受けたくない人がこういうサイトを確認してから映画を見る、というのがあります。
https://www.doesthedogdie.com/
「誰かがガスライティングされる?」みたいな項目もあってびっくりすりくらい細かいです。「息苦しそうにする人は出てくる?」とか、「唾を吐くシーンはある?」とか、すごい大量の設問があって、ユーザーが「yes/no」で答えています。
これは精神の不調の引き金になりかねない描写を避けるために、確認したい人が確認できるサイトです。
すずめの戸締まり、
52ヘルツのクジラたちは公式の注意喚起があった。
「**私は映画をネタバレすることに誇りを持っている。なぜなら、誰もが心の健康を保つチャンスを得るに値するからだ**」
I Spoil Movies and I’m Proud of it | DoesTheDogDie.com
こういうサイトにも課題はあって、例えば犬が死について気にしている人も他のネタについては、ネタバレされたくない場合もある、他のネタバレを完全にシャットアウトできるわけではない。
こういうことにこそ、AIアシスタントサービスが出てきてほしいかもしれない。犬は死にますかと聞いたら、その質問についてだけ答えるような、そういうサービスがあるといい。
Body4
ネタバレ防止には自衛の努力も必要。
ワードミュートなどを駆使している人も結構いる。
ネタバレ絶対反対派も上記のような人人とも共存する必要があるので、自衛の努力を、
ネタバレしてほしい人もむやみに言わないように、感想言いたい人はふせったーなどを用いたりするように。
ちなみに、筆者は映像作品のネタバレを言葉でするのは本質的に不可能だと思っている。
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メモ終わり。
ネタバレが案外、深い問題だと思います。物語知っていても視覚メディアである映画なら、映像から受け取る力があれば全部展開知っていても感動できたりします。トリガーアラートによって避けることは心を守る上で大切な一方、フィクションは免疫をつけることにも役立つことがあります。
結論は出ませんが、いろんな人がいる時代に、広く宣伝する時にどうすればいいのかは、映画に限らず難問ですね。絶対に意図しないで届けたいわけじゃない人にまで届いてしまうし。