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【ゲ謎】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』龍賀一族が象徴する戦後日本社会の光と影

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アニメ!アニメ!の敵役連載に、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の龍賀一族について書きました。

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」水木と鬼太郎の父が戦う理由― 龍賀一族は戦後日本の“歪み”である | アニメ!アニメ!

タイトルにもあるように、戦前から続く日本の戦後の闇を体現する存在として龍賀一族を捉えました。高度経済成長した日本も、本質は大本営に従って玉砕していた戦中と変わりないということを寓意的に描いた傑作だったと思いますが、敵役となる龍賀一族がその物語に説得力をもたらしていたと思います。

「寝ずに戦う不死の薬」とか、「24時間戦えますか」みたいなもんですよね。栄養ドリンクのキャッチコピーですけど、それがよしとされていた時代があるわけです。でも、経済成長はそのおかげでもあったりするのかもしれないと思うと、今の僕らの平穏な生活はそういう犠牲の上に成り立っているわけで、龍賀一族のことを本気で蔑むことができるのか、という気持ちになります。

今回は、そんな現実の戦後日本社会と重ねながら書いたものになります。いつもと毛色が違いますが、こういう読み解きもあったほうがいいだろうと思います。
 

 
以下、原稿作成時のメモと構成案。

 
 
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Thesis
変化を恐れず潰そうとする者との戦い
 
寝ずに戦う不死身の薬・・・企業戦士のために、戦争はまだ続いている、Mのおかげ復興ができた。
世界一豊かな国になれる
妖怪凶骨
日本を屈辱の敗戦から立ち直らせる時貞の目的。
 
 
Point3つ
戦後日本社会の縮図としての龍賀一族
水木と鬼太郎の父が戦ったものは、日本社会のずるさそのもの
新しい時代の希望としての鬼太郎の誕生、たとえ呪いの中で生まれようとも
 
 
Intro

ゲ謎が異例の大ヒット。その内容の絶品の深さで絶賛された。

昭和初期、戦後すぐに時代をえぐり取る深遠な内容

日本社会の反映は数多の犠牲によって成り立つという、この平和で豊かな現代日本社会の地盤をひっぺがえすような内容

水木と鬼太郎の父のバディが評判を呼んだ作品だが、この連載趣旨に照らし合わせて、その逆、相対する*龍賀一族の観点から、本作の魅力を語り直してみたい*
 
 

Body1 古いしきたりがはびこり、絶対の家父長的世界に構築された村

血液銀行の水木が、なぜ*龍賀一族に取り入ろうとした。*

戦争を生き延びた彼は、人の上に立つべく頑張る。

気味の悪い因習の残る哭倉村。絶対権力者が死んだ後の跡目争いに自ら関わる。

しかし不可解な死が連続して発生。

バディの主人公が解決にのぞむ。

時貞は、いつまでも居座る老害的存在と言える。孫すら利用して生き延びる。

戦争で利益を上げ、裁かれることなく権力をむさぼり続ける存在。

幽霊族を犠牲にして作るMという薬品は、

人間が摂取すると、すさまじい力を発揮し、何日も飲まず食わず眠らず、疲れもなく昼夜働く事が出来る。

かつての日清・日露戦争で日本が勝利を得たのは、この薬品を摂取した「不死身の部隊」によるものと言われている。太平洋戦争後も復興のために使用されており、昭和31年当時、焼け跡と化した日本が奇跡の復興を遂げつつあるのもMを打った人々による働きらしい。

24時間、戦えますかというキャッチフレーズのエナジードリンクもあったが、戦後日本が急速な勢いで復興を遂げ、今豊かな社会を作っているのは、そんな人々による働きもあったのだろう。

それを強いたのは、戦前から続く軍国的な教育と大差ない、一億そう玉砕させられる対象が、アメリカから、経済力の復興へと変わっただけ。

こうした労働を支えるのは家父長的な制度だったが、その裏で犠牲になる女性たちが、恨みをつのらせ、化け物を呼んでしまうことが、龍賀沙代に象徴される。

戦後、日本社会の悪い部分の縮図のような存在だ。
 
 

Body2 古い村のしきたりを頑なに守るものたち

水木と鬼太郎の父は、それぞれ目的はそれを断ち切る、解放と変化のために戦いを挑む。

対して、村そのものが時代背景を考えても前近代的な因習を残している設定で、ある種のこの村そのものが変化を拒んでいるかのようだ。

その象徴的存在として、時貞の存在がある。変化を拒むものと変化のために戦う物語とも言える。

※この変化を求めて戦う主人公という点を、詳しく解説すべき。・・自明じゃないので。

これは、今日本の社会全体に問われていることでもある。

古い日本を変えることができるか、若い世代に希望を残せるのか。

本作では、鬼太郎の誕生が幽霊族である両親と、人間である水木双方にとってある種の希望の象徴になっている。
 
 
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メモ終わり。

水木と鬼太郎の父は、古い因習を断ち切ろうとしていて、敵役の龍賀一族、とくに時貞は古いものを守ろうとしているんですね。この対立構図は、少子高齢化の今の日本とも重なる感じがありますね。古い時代を舞台にしているけど、伝えようとしていることは極めて現代的な作品でした。
 
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