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ブラピ&ジョージ・クルーニー主演『ウルフズ』公開中止は日本だけじゃない

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シネマズPLUSに、ブラッド・ピットとジョージ・クルーニー主演の映画『ウルフズ』公開中止の件について書きました。

ブラピ主演『ウルフズ』フランスでも公開中止——原因は配信系会社の事業モデルにある? | CINEMAS+

この件、日本人の洋画離れが原因のように言われることもありますが、直接的には製作Apple TV+の方針転換が原因です。日本だけじゃなく、フランスでも公開中止になっていますし、イギリスでも一週間しか上映しません。

そもそも配信会社が作る映画は、配信するために作っているので、劇場公開は重要じゃないんですよね。それでも、これまでApple TV+は、積極的に劇場公開をしてきましたが、それは映画館で上映することに宣伝効果があると見込んでいたから。でも、加入者はあんまり増えていないようで、宣伝効果が少ないと結論づけたのでしょう。

記事では、この件からそもそも配信会社にとっての映画館は重要ではないことがわかります。利用できれば利用する、ぐらいのものなんですよね。映画会社が奮起しないといけないとこなんです。

 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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フランスでも公開中止
Apple’s ‘Wolfs’ to skip theatrical release in France and head straight to streaming | News | Screen
イギリスなどでも一週間限定になった。
 
ウルフズ公開中止の件、分析、日本で起きにくいのはなぜ。映画産業を救うためには垂直統合が合理的か。

日本の映画会社はこういうことを起こしにくいのはなぜ
自ら映画館を直営する垂直統合の事業モデルだから。
独占の問題はあるが、劇場が儲からないと自分たちも儲からない仕組みのビジネスモデルではある。

劇場文化を維持するための垂直統合という選択肢も実際には悪すぎない。かつて劇場しかプラットフォームのない時代には独占の問題があったか、いまは違う。
 

Point3つ
日本の洋画離れとは異なる理由、、フランスでも公開中止、イギリスも一週間のみの公開
日本の映画会社がこういうことを起こしにくい理由は、垂直統合?
アメリカではソニーの劇場買収の動きも
 
 

Intro

ブラッド・ピットとジョージ・クルーニー主演の映画『ウルフズ』が公開中止になった一件が、映画ファンをざわつかせた。
二大スターが共演ということで話題になっていただけに。
 
 

Body1洋画離れはどの程度関係あるか

結論的には、(背景要因としては多少は関係あるかもしれないが)洋画離れが云々というより、製作したApple TV+の方針転換が大きい。
劇場公開をプロモーションの一環と位置付けて、これまで劇場公開に積極的だったApple TV+の『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』の成績不振でひっこめることになったと報じられている。
公式発表ではないが、同時期に
Apple TV+が続く赤字対策で映画・ドラマ制作の支出を抑制か、他スタジオのライセンス作品を増やす可能性 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
というニュースもあり、大盤振る舞いしなくなってきた。

日本の洋画離れではないという理由の根拠として、フランスでも公開中止になったている事実がある。
フランスでも公開中止、別にフランスはアメリカ映画離れはしてないはず
Apple’s ‘Wolfs’ to skip theatrical release in France and head straight to streaming | News | Screen

その他、イギリスのような英語圏の主要国でも一週間だけの上映だ。これは有料の試写回みたいなもの。興行収入は度外視して、評判が作れればそれでいいという発想だ。

要するに配信会社の都合だ。
 
 

Body2配信会社にとっての劇場公開とは

そもそも、配信系の会社は、ハリウッドの企業ではない。そもそも映画会社ではないのだ。彼らにとって映画館にお客を呼ぶことは最優先の課題ではない。二の次、三の次だ。

Netflixは、賞レースに絡みそうな作品だけ、限定的に公開することが多い。

Apple Studioが公開に積極的だったのは、劇場公開をプロモーションの場と位置付けていたに過ぎない。それで、あんまり加入者が伸びなかったので方針転換したというだけ。

そもそも、配信会社に劇場文化を維持するというモチベーションは薄い。むしろ商売敵でもあるので。

だから、劇場公開にメリットがないなら、やらない。ビジネスとしては当然の判断ではある。
 
 

Body3日本映画の垂直統合は劇場文化を守るのに都合がいい?

日本の映画会社は、こういうことを引き起こしにくい。2020年のコロナ期間中ですら、ストレートに配信に持っていくことは少なく、基本的に劇場で公開していた。
なぜか、日本の映画会社は映画館を自ら所有しているからというのが大きいだろう。映画会社にとって、映画館が儲からないのは死活問題だから、パンデミックでも頑張って映画館で公開するモチベーションがある。

垂直統合は、独占の問題もあるが、現代では映画の出しどころは映画館だけではなくなった以上、劇場を所有がただちに独占ではなく、シネコン主流となり、ブロックブッキングもなくなった。

劇場文化を維持するために、映画会社自身が映画館を運営することには、一定の合理性がある。
 
 

Body4 ソニーのドラフトハウスシネマ買収など新たな動き

アメリカでは、昔のパラマウント判決の影響で、映画館を所有しているのは、映画会社ではない。独占を阻止するために分離させられた。これは映画館だけが映画の出しどころだった時代にあった判決。

これが2020年に廃止になった。コロナ後に映画館買収したい映画会社があるかと思って、遅すぎると思ったが(Netflixは製作から配信まで独占やってるのに)、ソニー・ピクチャーズがドラフトハウスシネマを買収した。
配信寡占の時代にアラモ・ドラフトハウスを買収するソニーの真意とは? – Film Goes with Net

アメリカでも映画会社が映画館を所有した初の事例になるが、これが成功すれば面白いと思う。映画会社自らが劇場を維持することが成功するか、注目すべき。配信会社へのカウンターとして、これが機能すると面白いと思う。

とにかく配信会社には、劇場公開は重要ではない(プロモーション時には重要とは言うけれど)、事業的には現状プラスにはならない。

映画館を守るには映画会社自身が奮起するしかない。配信会社には、映画館を維持するモチベーションは、事業の構成上は起きにくいのだから、映画会社が本当は頑張るべき。
 
 
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メモ終わり。

日本映画産業の垂直統合方式にも一定の合理性はあるという話をしています。そもそも配信会社は垂直統合ですよね。製作して配信してるんだから。劇場ではなく配信モデルで垂直統合やってるわけです。だから、勢力伸ばせているのかもしれない。

ソニー・ピクチャーズがドラフトハウスシネマを買収しましたが、これがある程度成功するといいなと思っています。
 
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