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ディズニーの「訴訟禁止」条約、日本の法律ではどう解釈されるのか?弁護士の見解

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弁護士JPに、ディズニープラスの利用規約の「訴訟取り下げ」条項の是非についての記事を書きました。

米ディズニー『Disney+』規約根拠に“訴訟取り下げ”求め物議に… 「日本では無効」弁護士が国内でのケースを解説 | 弁護士JPニュース

アメリカのディズニーランド内のレストランで、食物アレルギーで死亡した女性の遺族がディズニーを提訴しようとしましたが、ディズニー側はこの人物がディズニープラスの利用規約に同意していたため、訴訟はできないという主張を展開して物議を醸しています。

これはアメリカの事例ですが、ディズニープラスの日本語の利用規約にも同様の文言があり、果たしてこういう規約は日本では有効なのかどうかについて、専門の弁護士に話を聞きました。

訴訟の権利は憲法で保証された権利です。憲法で保証された権利をいち企業の規約で制限できるものなのかどうか。規約の同意はアプリなど、いろんなサービスを利用する上で日頃、何気なく行っていると思いますが、法的にどういう縛りが発生するものなのかなど、基本的な部分も含めて聞いています。あらゆる人に関わる大事なことなので、是非読んでください。
 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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参考
「ディズニープラス」契約者は訴え起こせず、不法死亡訴訟でディズニー側が主張 – CNN.co.jp
ディズニープラスの利用規約
新幹線事故で足止めされた利用客… JR東海が“損害賠償責任を負う場合”とは?【弁護士解説】 | 弁護士JPニュース
不起訴の合意の有効性の判断方法(最高裁・令和6年7月11日判決) | 立川 弁護士 竹村 淳の法律コラム
ディズニー、リゾート内の死亡訴訟を『ディズニープラス規約』根拠に取り下げ求める。裁判外解決を主張 | テクノエッジ TechnoEdge
Disney Drops Subscriber Agreement Clause in Wrongful Death Suit | IndieWire
 

 

構成

Point3つ
ディズニープラスの規約の問題概略
専門家の見解は問題点を整理
消費者はどうすべきか
 
 

Intro

アメリカのディズニーワールド内(disney spring)にあるレストラン(Raglan Road Irish Pub)で食事をした後、乳製品とナッツに対するアレルギー反応で亡くなった女性の遺族が、レストランの過失とディズニーの監督責任を訴えて、フロリダのオレンジ郡巡回裁判所に訴訟を提起した。

しかし、ディズニー社は、遺族が過去にストリーミングサービス「Disney+」に無料登録した際に同意した規約を根拠に、訴訟を取り下げるよう求めている。

規約には、「少額訴訟を除き、ユーザーと当社との間のいかなる紛争も集団訴訟放棄の対象となり、個別の拘束力のある仲裁によって解決されなければならない」と書かれており、Disney+や、同社傘下のスポーツ動画サービスESPN+の登録者は全員、すべての紛争を仲裁で解決することを明記した規約に同意しているという。

ディズニー、リゾート内の死亡訴訟を『ディズニープラス規約』根拠に取り下げ求める。裁判外解決を主張 | テクノエッジ TechnoEdge
 
 

Body1 専門家の見解

消費者法に詳しい壇 俊光先生の見解

1)そもそも利用規約とは何なのか。

利用規約というのは、事業者が提供するサービスの、利用に関するルールを記載したもの。利用者が、それに同意することにより契約と同等の効力を持つ。みなさんが、「同意します」ボタンをクリックすることで、契約書における署名と同じような効力が生じる。

不当な条項については、公序良俗違反(民法90条)で無効とする解釈が採られる。

規約について、「契約終了後においても本規約○○条が適用される」という文言が記載されてることがあり、この場合、サービス終了後でも効力が残るのが原則で、規約の有効性の問題となります。他方、そのような文言が無い場合は契約終了により規約の効力は失われると考えられています。
 
 
2)ディズニープラスの規約は日本ではどうなっているか。

不起訴の合意は日本で認められるのか。

不起訴合意というのは、日本の利用規約ではあまりみない条項。利用規約に書かれていれば契約として有効というわけではありません。契約についても、一方的で不当な条項については、公序良俗違反(民法90条)で無効とする解釈が採られていました。

近時の例としては、最判令和6年7月11日が、某宗教法人が、献金を阻止するために、「不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求等を、裁判上及び裁判外において、一切行わないことを約束する」という旨の念書について、裁判を受ける権利(憲法32条)を制約するものであること等を理由に公序良俗違反で無効とする判断がある。

また、消費者との間で利用規約が問題になる場合、消費者契約法で、消費者の利益を一方的に害するものについて無効とすることが規定されています。裁判所は、現在、消費者契約法10条の適用に消極的ではありますが、ディズニーの例の様な、消費者が全く訴訟出来ないというような条項は無効になる可能性がある。

消費者契約法

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第十条

消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

また、新民法では、相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意が無かったと扱われるので、新民法施行後の規約で、ディズニープラスのような例は、合意が無かったと扱われると思います。

(定型約款の合意)

第五百四十八条の二

2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

USJのチケットの購入後のキャンセルを禁止する規定及びチケットの転売禁止規定:有効
 
 

Body2 消費者がとれる対策は?

一方的に不利益な条項は無効となりますので、まずはそれを考えることになります。ただ、規約はよく確認してもらいたいです。

⑦ 規約は、企業の都合良い条項ばかりが記載されていることがあるので、よく確認していただくことが必要です。

一方で、ディズニープラスの規約部分には、本条に定める免責規定は、及び責任の制限は、Disney+当事者の故意又は重大な過失に基づく場合には適用されない」としている。つまり、重大な過失の場合はディズニー側が責任を負うということだ。
 
 
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メモ終わり。

ディズニープラスの不起訴の同意は、日本では無効扱いになる可能性もあるとのこと。まあそれはそうですよね。しかし、規約はほとんど読まずに同意をクリックしてしまう人も多いと思いますが、きちんと読まないと不利になる文言が入っていることもあるので、やっぱりちゃんと読んだ方がいいんですね。

消費者に不利になる規約をすばやくチェックできる機能とかあればいいのにな、と思うことがあります。
 
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