Brancに、TIFFCOM 2024にて、「日本のアニメーションの海外展開、未来への展望」と題したセミナーのレポートを書きました。
2023年日本のアニメ産業の市場規模は初の3兆円を突破 シンエイ動画とトムスが語る海外戦略とさらなる売り上げ増のために必要なこと | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
このセミナーで2023年に日本アニメの市場規模が発表されました。前年比114%の3兆3,465億円で過去最高となります。4,188億円の増加です。内訳としては、海外の比率が51.5%で国内を超えています。海外の伸びが相変わらず市場を牽引している状態が見て取れます。
海外で何が伸びているのか、今後はもっと詳しい内訳が知りたいですね。海外の売上については、配信、商品化など全部ひっくるめての数字なので、どの分野が伸びているのか細かく分析することが今後の成長には欠かせないでしょう。
経産省は、コンテンツ産業の売上を2033年に海外で20兆円の市場規模を目指すと目標を掲げました。これを達成するには、この増加率でもまだ足りないそうです。この市場の成長率はアニメ業界の自助努力で達成したものですが、さらに伸ばすには何らかのバックアップでブーストかけないと難しいですね。
セミナーでは、老舗アニメスタジオのシンエイ動画とトムス・エンタテインメントの海外戦略のプレゼンがありました。トムスは、LAとパリに営業拠点を持って、海外の権利も自ら直接契約することで利益率を高めているとのこと。この戦略はかなり功を奏しているようで、業界全体の成長率を超える売上増加を達成しているそうです。
さらに売上を増やすためには、作品の単価を上げるか、本数を増やすかの二択で言えば、本数を増やすのは現実的じゃないという発言が、シンエイ動画の梅澤代表からありました。業界全体が完全にキャパオーバーになっているので、確かに本数は増やせないでしょう。今の生産力を維持するためにも、行政支援のテコ入れが必要ですし、単価を上げてくためにも、海外展開に付いて官民連携のより練度の高いスキームがないといけないでしょうね。
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