『海に眠るダイヤモンド』は第8話を観た。最終話前のエピソードということで、嵐の前の静けさというか、準備体操というか。端島のパートではこのまま衰退を描くかと思わせておいて、再び活気づく島を見せ、現代では玲央に久々にホスト絡みのトラブルが転がり込んできて、前向きな決断へと至る。
リナと誠、残された2人の苦境に鉄平は…
7話での炭鉱での火災を受けて、進平(斎藤工)は死亡。父親の一平(國村隼)も入院生活になってしまった。端島では新たな石炭を掘るべく新区域へと掘り進めていくが、なかなか石炭にたどり着けず、島からは活気が失われていく。
残されたリナ(池田エライザ)は息子が病気にかかるも、婚姻届を出していないから出生届けも出せていなかった。鉄平(神木隆之介)と朝子(杉咲花)はいい関係を続けていたが、リナを気遣う鉄平のためになんとなくギクシャクし始める。そして、いづみさんの結婚相手が食堂で働く男であることが判明する。
一方の現代パートでは、いづみさん(宮本信子)の子どもたちが認知症をでっち上げようと画策。実の親にそこまでするんかいという感じではあるのだけど、この目論見はさわだーじと玲央(神木隆之介)の尽力で息子の和馬を翻身させることでなんとかなる。そして、いづみさんは会社を売却することを決定。玲央はホストクラブとの決着をつけつつ、アイリ(安斉星来)をホスト漬けから救おうとする。
とはいえ、夜の街に生きる人々の解像度が荒いことは否めない。まあ、そこをリアルに描くというのはこのドラマの主題ではないのだろうけど。歌舞伎町にはひどいことは確かにあるけど懐の深い部分もある。
石炭が黒いダイヤモンドに見えるショット
とにかく、現代パートがようやく動き出した。過去の端島と現代を行き来する展開にしていながら、現代パートが魅力が薄いのがややもったいないなと思っていたので。現代パートではさわだーじこと、澤田がいい味を出しているのだが、この話数は特に良かった。酒向芳がいい人役なの珍しい。
そして、端島のパートでは、最後の最後に石炭を掘り当てる。着炭(ちゃくたん)と言うのだね。ここでツルハシを当てた先から、炭のかけらが転がるショットがあるのだけど、そのショットは石炭が黒いダイヤモンドを言われるだけあるなと思わせる説得力があった。
この作品のタイトル「海に眠るダイヤモンド」は、海底にある石炭を指しているわけだが、ようやく石炭のダイヤモンドらしいショットが見れた。
実際の歴史でも新坑の発見で端島は一時期持ち直しているらしい。端島の人口は減少を続けたようだが、機械化などの合理化で結構な生産量だったとか。片桐はいり演じる、映画館のもぎりの人が悲しそうであった。成人映画を端島でも上映していたとは。この頃はまた日活ロマンポルノは始まってないと思うので、ピンク映画ですかね。この映画館の閉館がこの話数の冒頭にあるのは、衰退する映画産業と端島の衰退を重ねているのかな。今、再び映画やテレビといったオールドメディアは、配信などでこの先が不透明化していることに、つくり手は思いを馳せているような、そんな雰囲気もある。
最後に端島で生まれたという滝藤賢一演じる古賀という男が出てきた。その男の家には、賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)の写真が飾ってある。二人の子供だろうか。百合子が被爆者であるということも今回のエピソードで示唆された。これは何か、最終話の展開に関わってくるだろうか。
2時間スペシャルの最終話は他にも麻生祐未が出演するらしい。
鉄平のノートには破られた箇所と黒塗りになった箇所があり、全てはわからないようになっている。だれがノートを破いて黒塗りにしたのか、その理由など、残された謎も気になるところだが、やはり、過去と現代を対比させて描き、神木隆之介が2役を演じた意図に説得力のある何かが示されるのかが、気になる。残った考察要素はこの辺りと滝藤賢一は誰の血筋かといった感じか。