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渋谷パイロットフィルムフェスティバルに行ってきた!幻の宮崎駿作品から制作中の作品まで必見だらけ

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12月14日(土)に渋谷シネクイントで開催された、「渋谷パイロットフィルムフェスティバル(Shibuya Pilot Film Festival)」に行ってきました。

パイロット・フィルムとは、企画を成立させるために投資家や映画会社などに、作品の魅力を伝えるために試験的に作る短い映像のことで、その声質上、表に出る機会はとても少ないです。このイベントはそんなパイロット・フィルムを一同に集めて大きなスクリーンで見ようというものです。

上映されたパイロット・フィルムには、これまで実際に作品として完成したものや、お蔵入りになったもの、今まさに資金調達などの真っ最中のものなど様々なものが集められました。
 

 

僕が見たのは、以下のラインナップ。

『王⽴宇宙軍 オネアミスの翼(パイロットフィルム リテイク版)』(監督:⼭賀博之)
『ALWAYS 三丁⽬の⼣⽇』(監督:⼭崎貴)
『ひな』(監督:岩井澤健治)
『PLUTO』(監督:河⼝俊夫)
『ユキの太陽』(監督:宮崎駿)
『リトル・ニモ』(監督:近藤喜⽂・友永和秀)
 

『ユキの太陽』を初鑑賞

岩井澤健治監督の『ひな』は今製作中の作品、宮崎駿監督の『ユキの太陽』はお蔵入りになったもの、『リトル・ニモ』も同様ですね。それ以外は実際にシリーズや長編作品が作られています。

宮崎監督の『ユキの太陽』はちばてつや原作のマンガを、アニメ化しようとする際に制作されたものですね。大元は東京ムービー新社でAプロの制作かな。これが面白かったです。元気な女の子の波乱万丈の人生を描く作品で、実現したら面白かっただろうなと思います。嬉しくなるとシャベルで人の頭を殴りたくなるという、よくわからない設定がある変な女の子なんですよね。画面としては、『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』を思わせる感じがあって、すごく良いです。

『リトル・ニモ』は圧巻の作画でした。これはすごいですね。実現したら、日本アニメの歴史はどうなっていたのだろう。

『オネアミスの翼』もパイロット版からして作画がすごいし、『ひな』も気合が入った描写にあふれています。『PLUTO』は本編でも見たカットが割とありました。河口監督は「パイロット映像は非常に高いクオリティで浦沢さん/長崎さんから了解は貰えたものの、営業したNetflixからは8時間全編このクオリティを維持するならばディールすると超大変なリクエストが付いたのだった・・・」と語っていて、実際に全編このクオリティでしたね。

『ALWAYS 三丁⽬の⼣⽇』のパイロットはどういう理由で作ったんでしょう。やっぱり、CGでノルタルジックな昭和をどれだけ描写できるのか、お金出す人たちを説得する必要があったのかな。原作マンガの絵柄がけっこうデフォルメされたタイプのものなので、どういうノリの実写作品にするのかを見たかったのかもしれない。公式サイトに山崎貴監督のコメントが載っていて、「皆、阿部さんが本当は何をしようとしていたのか、このパイロットを見てようやく理解したのだと思います。そういう意味で、これはまことに正しいパイロットだったなぁと思うのです」と言っているので、スタッフ間の意思統一にも活用されているのかもしれない。キャスティングもスムーズになったとも書いてあります。
 

パイロットをスクリーンで見せることにはいろんな可能性がある

これらを見て思ったのは、パイロットフィルムは資金調達や作品の魅力をアピールするために制作するから、割と気合の入った作画が見られるということ。見どころばっかり集めたようなものですもんね。それをスクリーンで見られるというのはとてもいい機会でした。

単純にこんな気合入った映像が内々でしか見られないのは、もったいないと思いました。『リトル・ニモ』はなにかのパッケージの特典になっているんでしたっけ。『オネアミスの翼』もBDの特典映像になっていた気がする。調べてみたら、『ユキの太陽』も宮崎駿監督作品集の特典にはなっているんですね。他の作品もどこかで特典になっているのかな。

まあ、特典映像として世に出るものはまだいいと思うんですが、世の中には全く一般には見られる機会のないパイロット・フィルムがたくさん存在しているのではないかと思います。それらをこうしてイベント的に上映するのは、結構ニーズがあると思った。実際、このイベント、全回満席だったようですし。

それに、僕が見た中では『ひな』だけがこれから制作される作品でしたが、現在資金調達中の作品のパイロットを集めて上映イベントやれば、お金出したいと思う人も出るのではないか。クラウドファンドと連携すれば効果的でしょうし、今ならいろいろなやり方がありそう。

 
この映画祭では他にも面白そうなパイロットがたくさん上映されていました。詳しくは公式サイトで確認してください。
Shibuya Pilot Film Festival 渋谷パイロットフィルムフェスティバル

パイロット・フィルムの作成は、どう資金調達するかに関わってくる問題だと思いますが、製作委員会以外のやり方で調達する時や、業界外から資金を調達する時などは有効だろうし、国際共同制作目指すなら、言語の壁を超えられる映像があった方が話も早いでしょうね。

 
シンプルにイベントとしても楽しいし、パイロットフィルムの可能性と伝えるのこともできているし、この企画はいろんな可能性を秘めているなと思いました。第2回も是非やってほしいです。
 
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