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「セクシー田中さん」の悲劇は映像産業は絶対に忘れてはいけない

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キネマ旬報の2025年1月号「2024年映画界10大ニュース」の1つとして、「映像化における原作・脚本改変問題『セクシー田中さん』の悲劇を繰り返さないために」という原稿を書きました。

表紙は木村拓哉さん。
キネマ旬報2025年1月号の表紙。木村拓哉が表紙。『木村拓哉はいつだって全力だ!」とキャッチコピーが書かれている。

『セクシー田中さん』の作家、芦原妃名子さんの急逝は、忘れてはならない事件です。映像産業にとっての今後を左右する、非常に重大事件であり、二度と繰り返してはいけない、そのために根本の「人を軽視する」制作体制そのものを見直さなければいけない、そういう趣旨の内容を書きました。

本日から発売になっています。
https://amzn.to/3ZXmNBL

 
以下、原稿作成時のメモと構成案です。
 
 
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参照
『セクシー田中さん』報告書問題。ドラマ現場の過酷な労働実態がコミュニケーションを阻害した可能性 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
映画・テレビの事業モデル全体に関わる話だ。
『セクシー田中さん』問題で注目される「著作者人格権」 アメリカよりも強力に保護されていた原作者の権利とは? | 弁護士JPニュース
著作者人格権は著作者の“精神的利益”を守るためのものだ。
法律上はアメリカ以上に強力に著作者の権利を保護している。

「脚本を書き換えられた」 東出昌大さん主演映画めぐる訴訟、脚本家が一部勝訴…同一性保持権ってどんなもの? – 弁護士ドットコム
映画「天上の花」の脚本改変巡る訴訟 原告の脚本家が一部勝訴の判決 [大阪府]:朝日新聞デジタル
必要な説明を怠ったことで脚本が不本意な内容となり、著作者人格権に問題のある結果が生じてしまった
 
「セクシー田中さん」 調査報告書(日本テレビ)
「セクシー田中さん」 調査報告書(小学館)
 

Thesis
翻案と脚本、作品は誰のものか。人を軽視する制作体制をやめねばならない。
 
 
Point3つ
問題点の整理。。。一連の流れと何が問題だったか、2つの事例
著作者人格権が軽視されすぎている。。。契約を軽視する業界文化の問題、労働環境問題でもある、日テレプロデューサーの証言
マンガ原作に頼る映像業界にとってアキレス腱になりかねない
 
 

Intro

セクシー田中さんの原作者、芦原さんの悲劇は日本の映像産業にとって重大事である。本件は、マンガ原作者の軽視だけでなく、契約文化を軽んじる姿勢、そして、労働環境の深刻な問題ゆえにまともにコミュニケーションが取れない現状を浮き彫りにしている。
 
 

Body1問題点の整理

セクシー田中さん、最終2話が原作者が自ら脚本を手掛ける。そうなった経緯をブログ等で発表したところ、ネット上で脚本家を攻撃する人が相次ぐ。その後、芦原が自ら命を絶たれる。小学館、日本テレビ双方から調査報告書が出ている。

ディスコミュニケーションが度々発生しているのが見て取れる。芦原さんの心労は相当な者だったと思われる。

映像化の脚本は、予算や撮影条件なども考慮せねばならず、マンガ通りにいかないことは多いが、天上の花は、脚本家が監督を訴えるというケースで、撮影現場で脚本を無断で書き替えられたと訴え
 
 

Body2著作者人格権の問題

契約を軽視する業界文化が問題をややこしくしている面がある。

セクシー田中さんの場合、、、

同年 6 月 15 日以降、日本テレビと小学館が本件ドラマ化についての契約書締結交渉を始める。同年 6 月 15 日に A 氏が小学館にドラフト作成を依頼。同年 7 月28 日に小学館から契約書ドラフトが日本テレビに届き、契約書内容が過去作品から大幅な変更があり、検討に時間を要したため、日本テレビの回答は同年 9 月 27 日であった。結果的に、放送前には締結に至らなかった。

本件原作者との間で原作利用許諾にかかる契約書が締結されていなかったこと

本件脚本家との間で脚本執筆にかかる契約書が締結されていなかったこと
2023 年 4 月には、A 氏は本件脚本家に本件ドラマの脚本執筆を依頼し、本件脚本家はこれを受諾した。そして、実際同月から本打ちを開始し、脚本・プロットの作成が始まっていた。

(小学館から)時間に追われるドラマ制作現場では原作者の権利が軽んじられがちである。その防止のためにも契約が必要である。一方、制作者側からは著作者人格権不行使特約が有効だが、その実例はない。
 
 

Body3マンガ原作に頼る映像業界のアキレス腱になりかねない

脚色そのものは悪ではない。しかし、著作者人格権を軽視して、好き勝手に映像側が何をしても許されるはずはない。そのために、どう改変し、どう脚本を作るのか、綿密にコミュニケーションをはからねばならないが、実態は、忙しすぎて充分は時間は取れない。

日本テレビのプロデューサーは、調査に対して、**ドラマプロデューサーの約75%が制作期間が足りないと回答し、準備期間が足りないためにトラブルを経験したことがあると回答したのは60%を超えたという回答結果になっている。原作者の自殺までいかなくとも、制作期間の極端な短さでトラブルは頻繁に起きていると思われる。**

マンガ原作に頼る映像業界において、セクシー田中さんの悲劇はアキレス腱となりかねない。痛ましい事件を二度と起こさないために、極端に短い制作期間の問題や契約軽視文化の変革など、やらねばならないことは多い。
 
 
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メモ終わり。

この事件はエンタメ産業に生きる人として、忘れてはいけない事件だと思っています。日本テレビと小学館だけの問題ではない、個人の人格と権利が尊重される業界にならなければいけない、それらを軽視する姿勢が最悪の結果として生まれたのだと考えています。

葦原さんの御冥福を心よりお祈りいたします。

 
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