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香取慎吾主演ドラマ『日本一の最低男』打算的な男は政治家として大成するのか?

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香取慎吾主演の『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』を見ている。今のところ2話までの放送を見終えたところだが、案外と興味深い内容かもしれない。

本作は、チョンボしてテレビ局をクビになったプロデューサーが人生一発逆転を狙って、政治家に転身を目指し、好印象作りのために亡き妹の残した夫と子ども2人と一緒に暮らすという内容だ。

タイトルの「最低男」とは、政治家としてのイメージ作りのために家族を利用している主人公を指すわけで、確かに打算的に良いことをしようとする主人公の身勝手が描かれる。

 

子育ての大変さや同性婚など、政治的な問題に最低男が直面する

第一話では、慣れない育児と家事に振り回される主人公が描かれる。一人暮らしの時は、まともに掃除もしたことのないくせに、立派な主夫を頑張ろうとするが失敗ばかり。その様を通じて、一人親の大変さを身にしみて思い知るという内容になっている。

第二話では商店街の有力者に取り入ろうとして、男性同士のカップルの結婚話に首を突っ込んでいく、町内会の会長の息子は、偶然にも主人公の甥っ子の通う保育園の先生だったのだが、同性同士で結婚式を上げようと検討している。しかし、その先生は父親にカミングアウトしていなかった。それは、かつて父親が同性同士のカップルに部屋を貸さなかった(父親は不動産業を営んでいる)ことがあり、偏見を持っているからだった。

主人公は、その間を取り持つべく、ニュース番組で特集を組むことを提案。結婚式までの道のりを記録することになるが、地元の有力者と懇意になりたいという思惑を見透かされる。しかし、取材を通じて同棲カップルが直面する結婚の問題を考えるようになっていき、手作りの結婚式をプロデュースし、父親との和解に導いていく。

主人公は最低というだけあって、政治家になることだけを目標に周囲を利用していく。家族もイメージアップのため、同性カップルを助けるのも有力者とのコネ作りのため。しかし、政治家になるための準備として、これらのことが経験として活きていきそうな、そんな雰囲気もある。

第一話では、子育ての大変さを身にしみて感じ、誰もが子どもを育てやすいような環境作りが必要じゃないかと思うようになる。第二話では、日本においては同性同士の結婚は法的に認められていないことに直面する。地方選挙ではこういう小さな積み重ねも大事だと、彼を政治の世界に誘った同級生は言う。

この作品は、この最低男が政治家になるプロセスで、世の中の様々な課題を目の当たりにして、最初は打算的な動機で動いていたところ、少しずつ課題意識に目覚めていく様を描くのかもしれない。少なくとも、2話まではそんな感じの流れである。そういうエピソードを積み重ねて、最後の方では選挙になり、マイノリティの権利や子育てしやすい街つくりなどを本気で訴えていくような流れになるのだろうか。

どういう展開になるのか、まだわからないが、そうなれば割と面白いかもしれない。ホームコメディであるが、それにとどまらない政治コメディにもなるし、せっかく政治家を目指す主人公を描いているのだから、そういう方向がいいのではないか。政治家として、リアルな人間のリアルな生活を知るということの大切さに最終的には行き着くのではないかと、ちょっと期待しているのである。

 

香取慎吾の芝居について

主人公の最低男を演じるのは、香取慎吾だ。彼が演じるから、このキャラクターは好感度が低くなりすぎずに最低っぽい感じが出せているのだろう。また、たんに好青年ではない怪しげな雰囲気も、SMAP辞めた後に充分に身に着けており、いい塩梅に仕上がっている。

対照的に100%好青年という印象なのが、義理の弟を演じる志尊淳だ。この男2人が家庭を守るという構図になっているのも興味深い。しかし、このまま好印象なだけの青年で終わるのか、第三話では改めて彼にスポットが当たりそうなので、ここは掘り下げを期待する。

その他、本作は中山美穂の遺作となるようだ。1話と3話に出演しているようで、残りの話数では妹の中山忍が代役を務めることが発表されている。その意味でも貴重な作品となっている。
 

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