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香取慎吾主演「日本一の最低男」冨永愛演じる都と考える”大人になるということ”


香取慎吾主演『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の4話は、一平(香取慎吾)が都(冨永愛)に持ちかけるエピソードが描かれた。

※第一話&第二話のレビューはこちら。
※第三話のレビューはこちら。

政治家として自分の子どもの問題だけじゃなく、広く地域の子どもを大切にしているという看板が必要だと、真壁(安田顕)に言われ、子ども食堂のアイデアを思いつく一平。それをテレビの後輩プロデューサーに取材するよう持ちかけるが、何か売りになるものがないと取り上げられないと言われ、一平は、そのビジュアルで男女ともに人気がある都に子ども食堂をやらないかと持ちかける。

孤独に食事している人を救おうと建前を述べる一平に、都は一人の食事はそんなに苦しいものかと投げかける。彼女が母子家庭だったので、子どもの頃から自分で工夫して一人で食事をしていたのだそうだ。それはそれで楽しかったと語り、今のレストラン経営にもつながっているんだという。

みやこは独身で自分は幸せな生活を送っていると感じている。だが、同級生が子どもを生んだということを聞いて、少し揺れている。その同級生は40を過ぎて子どもがいないのが怖くなったという。

その気持はとてもよくわかる。僕も結婚していない。結婚していない自分を卑下することなく、一人の生活を謳歌しているのだが、時折、将来を考えて怖くなることはある。今、結婚しない人が増えているので、この感覚と葛藤はかなり多くの人にあるのではないかと思う。2035年には、人口の5割が独身の時代がやってくるとも言われている。孤独といかに向き合うかは、全国的な課題と言えるだろう。

一方で、このエピソードではひまりの万引き騒動が描かれる。正助(志尊淳)にお金をほしいと突然言い出すひまりだが、何に使うのか言わない。それで、ドラッグストアで生理用品を万引きしてしまったのだ。男親、しかも血のつながっていない関係とあって相談しにくかっただろう。そこで都がひまりの相談に乗ることになる。

都には子どもがいない。だけど、ひまりは都のようなカッコいい大人になりたいと言う。子どもがいなくても、カッコいいきちんとした大人になれると都は思う。

子は親の背中を見て育つとよく言われる。そういう背中を見せるというのが、なんとなく立派な大人のあり方かもしれないなと僕も時々、思うことがある。都は自分の子どもはいないが、ひまりにその背中を見せることが出来ているのだ。

今回のエピソードは個人的に沁みた。大人になるとはどういうことか。今、自分はどれだけきちんと大人をやれているだろうと考えることはある。子どもを持って育てるというのは、ある意味大人をやっていることを可視化することの一つなんだろう。しかし、未婚率の上昇はそれ以外にもきちんと大人をやる手段をみつけねばならないことを、社会の構成員に求めているのではないかと思う。

仕事はして、税金も払っているし確定申告もしているが、なんかそういうことじゃなく、社会・地域に貢献していくことで大人をやるということも考えないといけないなと、今回のエピソードを見て思った。

そう考えると、一平は最低男どころか、割と結構立派に大人やっているなと思う。
 
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