著作権侵害に例外規定盛り込む 改正案を閣議決定
一応前進だけど、けっこうショボい前進ですね。。。
とりあえず事実上、誰でもすでにやってしまっていることを追認した、程度のことであって、これで終わってもらっては困りますね。
まあ、今まで私的なブログやソーシャルメディアに写真貼って、背景に何らかの商品が写ってても、著作権を厳密に適用するなら違法でしたから。。。
詳細な中身はこちら。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/pdf/shingi_hokokusho_2301_gaiyo.pdf
今回の閣議決定で著作権の制限対象となるのは下記の3つのケースです。
・その著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い付随的に生ずる当該著作物の利用であり、かつ、
その利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるもの
例)写真や映像の撮影に伴ういわゆる「写り込み」
・適法な著作物の利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる当該著作物の利用であ
り、かつ、その利用が質的又は量的に社会通念上軽微であると評価できるもの
例)CDへの録音許諾を得た場合におけるマスターテープ等中間過程での複製
漫画のキャラクターの商品化を企画し、著作権者に許諾を得るにあたって必要となる社内用企
画書等における当該漫画の複製
・著作物の種類及び用途並びにその利用の目的及び態様に照らして、当該著作物の表現を知覚することを
通じてこれを享受(見る、聞く等)するための利用とは評価されない利用
例)技術の開発や検証のために、著作物を素材として利用する利用
ネットワーク上で複製等を不可避的に伴う情報ネットワーク産業のサービス開発・提供行為
ただ今回の閣議決定では、偶然写り込むのはOKですが、著作物である写真を勝手に転用してOKという意味ではないですね。たとえそれが権利者に特段の不利益を与えることがなくても、一応著作権侵害は侵害です。もちろん、著作権は親告罪なんで極端に変な利用をしなければ問題になることは少ないのですが。
今後期待することは、俳優やカメラマン、CGクリエイターなどが映画作品などから自分のパートを切り抜いて非商用の宣材素材として使えるようにしてくれること。
例えば日本ではクリエイターが、自身のPR活動のため、ウェブサイトに過去の作品の仕事の一部のクリッピングを公開することも基本的には日本だとできません(外部への営業ツールとして使用不可であって、社内閲覧のような形はOK)。俳優や、CGクリエイターなどの一スタッフには著作権は適用されないからです。それぞれ個別に著作権保持者と交渉すれば使えるようにはなりますが、かなり大変な作業です。契約時にそうした条項を盛り込む習慣もないですし。特にCGクリエイターなんかの場合は、なかなか大変でしょうね。自分が手がけたCGのパートに俳優も同時に写り込んでる場合、映画の著作権保持者と一緒に俳優の所属事務所にも許可が必要になってくるでしょうから。
米国の場合、普通Acting reelとかを作って宣伝用に公開してるわけですが、一部はこれもフェアユースで認められるんですよね。日本だとあまりこういうデモ映像ってないので、キャスティングする側も書類だけで判断しないといけなかったりして大変なんですよね。。
こんな映像がたくさんYouTubeやimdbに載っけてます。こういうのとかね。
http://www.imdb.com/video/demo_reel/vi3091568921/
こっちは僕の知り合いの北村昭博さんのデモリール。面白いですよw
http://www.youtube.com/watch?v=UoQuV8rTxjA
本来、著作権がクリエイターの権利保護だというなら、次の仕事に繋げるための活動を制限してしまうのはやっぱりおかしいわけです。
こうした使い方が認められるのは、著作権の理念から云っても正しいはずですので、ここまで踏み込んでもらいたいですね。