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2024年映画興行収入:邦画が過去最高も洋画低迷、アニメ輸出が牽引する日本映画産業の転換点


Brancに、2024年の日本映画産業統計に関するコラムを書きました。

2024年の映画興行収入:邦画好調もハリウッド映画のシェア低下……映画輸出はアニメが牽引し過去最高に | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-

2024年は、前年比93.5%と落としましたが、邦画だけを見ると過去最高という結果に。さらにアニメのシェアも過去最高とのこと。減少の要因は洋画の低調。コラムでは、この洋画の低調を、日本だけでなく広くアジアで起きている現象として捉えて分析しています。

国内の興行だけでなく海外輸出の実績にもふれました。こちらは過去最高を記録しており、今後の日本映画産業を左右する存在となるでしょう。これからはこの数字をきちんと深く追いかけていく必要があると考えています。

 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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参照

 
Point
邦画が過去最高の一方、洋画が25%を切る24・7%
アニメのシェアも一番高い
映画輸出の実績は過去最高を記録

 
 
Intro

映連の統計発表

邦高洋低の傾向は以前からだが、2024年は特に顕著となった
 
 
Body1邦画が過去最高の一方、洋画が25%を切る24・7%

全体では前年比

入 場 人 員 144,441 千人 92.9%

興 行 収 入 206,983 百万円 93.5%

構成比

邦 画 155,800 75.3% 105.1%

洋 画 51,183 24.7% 69.8%

洋画のシェア低下が著しい。アニメ―作品はイルミネーションとディズニー/ピクサー作品が気を吐いたのだが、実写映画に客が入らない。

原因と対策は?

映連では、ダブルストライキの影響による本数の低下を挙げているが、本当にそれだけが原因かかどうかは、微妙なライン。山火事での影響も小さくないだろう。トランプ政権とどう向き合うかという点も含めて、難しいかじ取りを迫られる可能性が高い。

根本的に洋画の魅力が低下している可能性、映画館、劇場に求めることの変化があるかもしれない。

世界的な傾向の可能性も

どの国もローカルの作品を強化し、ハリウッド依存を低くしようとしている。これはコロナを経て世界的な傾向

中国でも洋画が弱体化している。最大市場をハリウッドは失いつつある

2024年の中国映画市場における日本映画は大ヒット? それとも……? アニメと実写で明暗分かれる : どうなってるの?中国映画市場 – [映画.com]

中国網によると、中国の2023年の映画興行収入トップ10にはハリウッドから1作品も入らなかった。米メディアの報道によると、ハリウッドの映画作品が中国の興行収入に占める割合は23年に約12%まで低下した。2024年も低空飛行が報じられている。

「もはやコロナ後ではない」映画配給と興行、ローカルとハリウッド、対立を超えて~エクゼクティブ・ラウンドテーブル(3/3) – GEM Standard

Cinema XXIのスリョ・スヘルマン氏は、アジア各国での傾向と同様、インドネシア市場でもローカル映画の存在感が増しているとし、ローカル映画のシェアは、かつては20~30%だったのに対し、現在は65%まで増えていることを報告。「こんなことになるとは思いもしませんでした」と驚きを示すとともに、「同国でローカル映画が観客の関心を集める理由は、文化的共感と観客との関連性だと考えます。ローカル映画は地域の文化や生活に密着したテーマを扱うことで、観客の心を掴んでいるのです」と背景を説明しました

対策はあるか。アニメはこれ以上本数を増やすことは不可能に近い。

実写邦画が、ワーナーやソニーなどがローカルプロダクションに力点を置いてきている。

洋画実写の穴をいかに埋めるのか、もうハリウッドは元に戻らないという前提で、それ以外の柱を育てるという意識も必要では。
 
 
Body2アニメのシェアも一番高い

邦画の売り上げは過去最高。それを牽引したのはアニメで、シェアが最も高くなった

日本映画界は00年以降、アニメの比率が43対57で「1番、高い」 映連2024年記者発表 – アニメ・ゲーム : 日刊スポーツ

今に始まったことではないが、今後も興行はアニメが牽引することになるだろう。

先行上映のジークアクスや、放送済みの進撃の巨人が大ヒットしている点は、明るい材料と言える。新作でなくてもファンがいれば客が入るのであれば、選択肢は広がる。

逆に新作のオリジナル作品にいかに集客するかの課題は大きくなっている。アニメにおいても。

上位を占めるのはマンガ原作の人気タイトル

2025年には鬼滅の刃があるので、この傾向は続くが、
 
 
Body3映画輸出の実績は過去最高を記録

輸出映画の実績は右肩上がりで上昇している。

540,306  112%の実績。

実績は映連加盟社とそのグループ会社(松竹、東宝、東映、東映アニメーション、
KADOKAWA)が、日本映画関連の権利(映画・テレビ映画の海外配給権、海外上映権、リメイ
ク権、海外放送権、海外二次利用権、映画・テレビキャラクター商品化権)を利用して得た収入
を集計したものです

ルックバックなど、映連以外の会社の作品も海外で大きな実績を残しているので、実際にはもっと伸びていると思われる。

これを牽引しているのもアニメ。

アニメ以外の実写作品をいかに売っていくのか、引き続き課題が残る。

また、映適についての言及も
映連会見で映適について言及、「輪の広がりの証し」

映連が1月29日に開いた記者会見で映適への言及があった。映連会長で、映適の理事長でもある島谷能成氏は、大要次の通り語った。

「間もなく2年。課題はあるが、大過なくここまで来ることができた。調印式で私は作品認定制度について、1年目は多分20本ぐらいの申請だろうとお答えしたが、実際には初年度で60本の申請があった。2年目は、今日この時点(1月)までで62本を超える。その(1年目の60本+2年目の62本を合算したおよそ120本)うち63本が映適作品として認定されている。この本数は映連や日映協による映画だけではなく、テレビ局など他の映画製作者、プロダクションにも輪が広がっていることの証し」。

「賛助会員には、映連関係もずらりと並んでいるが、地上波や配信大手など、様々な方々も表明してくださっている」。

「製作費が増える課題もある。上昇率は作品によるが、110~150%ほど。ただ、過酷な制作現場を放置するわけにはいかない。2年目の結果も踏まえて、3~4月に改めて映適として報告する場を設けたい」。

協賛の状況についても報告。映適3年目にあたる2025年度(2025年4月~)は新たに7社が加わり、賛助会員数は合計68となる。新たに加わる7社は、ネットフリックス(特別協賛)、カルチュア・エンタテインメント(協賛)、ギャガ(協賛)、電通(協賛)、ギークピクチュアズ(賛助)、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ(賛助)、ワーナーブラザースジャパン(協賛のみ)。
 
 
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メモ終わり。

映連の記者会見では労働環境問題に関する言及もありました。映連のトップの会見でこれに言及することは極めて珍しいかなと思います。さすがにこれ以上はもうこの問題から逃げられないということは、映画産業の上層部もわかってきているようです。
 
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