NHKは2025年4月より、土曜ドラマ「地震のあとで」を放送することを発表した。本作は、作家・村上春樹の短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作とし、阪神・淡路大震災から30年を迎える節目に制作される。
震災後の「喪失」と「回復」を描く4つの物語
「地震のあとで」は全4話で構成され、それぞれ異なる主人公を通じて「震災の影響を遠くで受けた人々の奇妙な物語」が描かれる。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、コロナ禍といった歴史的出来事を背景に、人々の心の揺れと再生の過程を映し出す。
物語は1995年の東京、2011年の茨城、2020年の東京、2025年の東京と、時代と場所を超えて展開。原作の設定を現代へと拡張し、30年にわたる「地震のあと」を描きながら、未来への希望を探る。
脚本は映画『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允
本作では、岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市といった実力派俳優が各話の主人公を演じる。脚本は映画『ドライブ・マイ・カー』で知られる大江崇允、演出は『その街のこども』『あまちゃん』を手がけた井上剛が担当し、村上春樹作品ならではの幻想的かつ哲学的な世界観を映像化する。
各話あらすじ
第1話「UFOが釧路に降りる」（主演：岡田将生）
１９９５年、東京。阪神淡路大震災のニュース映像を見続けていた未名（橋本愛）は、突然家を出ていく。夫の小村（岡田将生）は、妻の行方も分からないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため釧路へ赴く。妻はなぜ出ていき、どこに行ってしまったのか？小村は、釧路で出会った女性たちに奇妙な旅へと導かれていく。
第2話「アイロンのある風景」（主演：鳴海唯）
2011年、茨城。家出して海辺の町に暮らす順子（鳴海唯）は、流木を集め焚(た)き火をするのが趣味の画家、三宅と出会う。順子は、自分と同じくこの町に流れ着いた三宅に惹(ひ)かれ、いつしか焚き火を共にするようになる。３月11日の明け方、焚き火の大きな炎を前に、神戸にいた三宅の過去が明かされていく。
第3話「神の子どもたちはみな踊る」（主演：渡辺大知）
善也（渡辺大知）は、熱心な宗教団体の中で、母親から「神の子ども」と言われ育ったが、２０１１年、東日本大震災を機に信仰をすてた。９年後の２０２０年、善也は、地下鉄の中で、耳の欠けた男を見つける。それは父親かもしれない男の特徴だった。自分の父親とは誰なのか？はたして神とは？善也は男を追いかけていく。
第4話「続・かえるくん、東京を救う」（主演：佐藤浩市）
２０２５年、東京。銀行を定年退職し漫画喫茶で暮らす片桐（佐藤浩市）の元へ、突然巨大な“かえる”の姿をした「かえるくん」が現れ、間もなく地震が起こるという。「かえるくん」は30年前にも片桐と共に戦い、東京を地震から救ったと言うが、片桐にはまったく身に覚えがない。再び、２人の戦いが始まる。
キャスト・制作スタッフコメント
主演の岡田将生は、「村上春樹作品の映像化に携わるのは2度目。撮影が終わった今も、自分自身の思考が彷徨っているような感覚がある」と語る。鳴海唯は「兵庫県出身の自分にとって、震災は切っても切り離せない出来事」とし、本作への深い思い入れを明かした。
渡辺大知は「阪神・淡路大震災を経験し、その後の地震のニュースに触れるたびに、近くて遠い感覚を抱いてきた。本作を通じて、人の想いを“感じたい”という気持ちを大切にしたい」と話す。佐藤浩市は「難しさと楽しさが共存する作品。観る側にも、その不思議な感覚を感じてもらえるはず」とコメントを寄せた。
脚本の大江崇允は、「このドラマは、登場人物たちの“何かが揺れてしまった”後の物語。あの地震から30年、心はどう変化したのかを問いかける作品になれば」と述べる。演出の井上剛は、「〈連作〉だからこそ描ける物語がある。たまたま共振するような小さな救いを感じてもらえれば」と語る。
放送情報
土曜ドラマ「地震のあとで」
放送開始：2025年4月5日（土）
放送時間：毎週土曜 よる10時～10時45分（全4話）
原作：村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』
脚本：大江崇允
音楽：大友良英
演出：井上剛
出演：岡田将生 鳴海唯 渡辺大知 佐藤浩市 橋本愛 唐田えりか 北香那 吹越満 泉澤祐希 黒崎煌代 渋川清彦 黒川想矢 木竜麻生 津田寛治 ほか
制作統括：訓覇圭 樋口俊一 京田光広
