劇場アニメ『ルックバック』が第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した。
日本アカデミー賞は、日本アカデミー賞協会が主催する映画賞であり、映画芸術の発展を目的としている。授賞式は2025年3月14日、東京・グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで開催された。監督・脚本・キャラクターデザインを務めた押山清高氏は登壇し、「本作に携わってくださった方々、そして日本のアニメーション業界を支えてくださる方々の存在がなければ、この作品は生まれなかった」と感謝の意を表した。
さらに、本年度より新設された「クリエイティブ貢献賞」では、『ルックバック』の原動画スタッフ8名が選出された。受賞者は押山清高氏、井上俊之氏、下司祐也氏、新沼拓也氏、北田勝彦氏、小原秀一氏、タサン氏、秦綾子氏の8名であり、アニメーション制作の技術的貢献が高く評価された。
『ルックバック』は、藤本タツキ氏の同名漫画を原作とした劇場アニメであり、2024年6月28日に公開された。公開初日から2週連続で興行収入ランキング1位を獲得し、SNSでも絶賛の声が相次いだ。現在、観客動員数は119万人を超え、興行収入は20億円を突破している(2025年3月時点)。

国内外の映画賞でも数々の受賞を果たし、第16回TAMA映画賞「特別賞」、第49回報知映画賞「作品賞・アニメ部門」、東京アニメアワードフェスティバル2025「作品賞(劇場映画部門)」「個人賞(監督・演出部門)」、Filmarks Awards 2024「アニメーション映画部門 最優秀賞」などの栄誉に輝いた。
また、2024年7月31日より世界20以上の国と地域で上映が開始され、海外の興行収入は約24億円に達した(2025年3月時点)。米国ではGKIDSが配給を担当し、最大531スクリーンで公開。映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」ではスコア100%の高評価を獲得し、第52回アニー賞「長編アニメーション(インディーズ部門)」にもノミネートされた。
押山監督は、過去にスタジオジブリの『君たちはどう生きるか』の制作に関わっており、「ジブリを離れる際、宮崎駿監督に『これからは自分たちの映画を作る』と伝えた。それから7年後にスタジオジブリさんから最優秀賞を受け取ることができ、特別な感慨がある」と語った。
エイベックス・ピクチャーズの大山良プロデューサーは「世界中の観客に届いたことが本当に嬉しい。今後も作品を丁寧に届けていきたい」と述べた。
本作の主演は河合優実と吉田美月喜のW主演。藤本タツキ氏の漫画を原作とし、押山清高氏が監督・脚本・キャラクターデザインを務めた。日本国内外で高い評価を受ける『ルックバック』は、2024年を代表する劇場アニメの一つとなった。
■押山清高監督 コメント
本日はありがとうございます。今日ここにいてくださる井上俊之さんも優秀なアニメーターで長年アニメ業界を支えて下さった方です。アニメーションは優れた技術に支えられなければ作れない表現です。本作に携わってくださった方、そして日本のアニメーション業界を支えてくださっている方たちの存在が無ければ、この作品は作ることができなかったと思います。7年前、宮崎駿監督のもと「君たちはどう生きるか」の現場に原画スタッフとして参加していました。ジブリを離れるときに、「これからは自分達の映画を作ります」と宮崎監督に言いました。それから7年後、去年の最優秀アニメーション作品賞である「君たちはどう生きるか」のスタジオジブリさんから最優秀賞を受け取れたのは特別に感慨深いです。本日はこういった華やかな場に出させて頂いてありがとうございました。原作の藤本タツキさんをはじめ関わってくれた全てのスタッフ、キャスト、関係者の皆さんに感謝いたします。
■エイベックス・ピクチャーズ株式会社 執行役員
劇場アニメ『ルックバック』企画・プロデュース/大山良 コメント
本日は日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞という素晴らしい賞を頂きまして、ありがとうございます。劇場アニメ『ルックバック』は、藤本タツキ先生の漫画を原作に、押山監督をはじめ、アニメのクリエイターが、自分自身を作品に重ね合わせ、ひたむきに創作に向き合って完成しました。膨大な熱量が注ぎ込まれた作品が、世界中の多くの観客の皆さまに届き、映画を観て頂けたことが、本当に嬉しいです。この場をお借りして、あらためて感謝申し上げます。今回の受賞を励みにして、またこれからも丁寧に作品を届けていければと思っております。