昨日、「シアタースタッフ映画祭」というイベントにて、今週末公開開始の日本映画「わが母の記」を見てきました。
この映画祭は、僕の知人の発起人で、第一回前からチラチラと構想は聞いていて、毎年開催しているのは知っていましたが、参加したのは今回が初めて。
映画祭のコンセプトは一言で云うと「本屋大賞の映画版」で映画館で働くスタッフが、見せたい映画を投票で決める、というもの。
全国の映画館を対象にしているので、必然的にメジャー系の作品が上位に来る形になります。
今年の邦画部門グランプリは「ステキな金縛り」で、洋画部門は「ハリー・ポッター」ですから。
ミニシアター部門とか、いろいろもっとジャンル分けしたらいいんじゃないかと思いますけどね。独立系配給会社部門とか。
現状だと、誰でも知ってる作品の回顧上映になってしまうので。
ただこれから劇場公開される作品のスニーク・プレビューもありまして、1本だけ見てきました。
日本映画、松竹配給の「わが母の記」です。
公式サイト2
井上靖原作の自伝小説で、家族を題材にしたドラマ作品です。
こうした情感豊かな家族映画は、松竹のお家芸みたいなモノなので、やはりずっと作り続けてほしいな、強く思いますね。
古臭いといえば古臭いですが。
物語は、役所広司演じる売れっ子小説家が、父を亡くした後の母めぐる家族の年代記。夫を亡くした後に次第にボケが強くなり、思い出の中に生きているかのような母親と、娘たちの成長を軸に自分の人生を反芻するというもの。
役所広司は、相変わらず上手いし、三女の宮崎あおいの演技も素晴らしいですね。もちろん樹木希林も素晴らしい。
強いて言うと、宮崎あおいの存在感はあまり昭和っぽくない感がありますが、
まあ、それも現代の僕らがこの映画を見る上では、いい橋渡しになっているかもしれません。
物語の中でも祖母と父親を結びつける役どころですし。
全編オールロケによる撮影は、美しいの一言で、日本の風景と家屋の撮り方が上手いよなあ、と感心しました。
撮影監督は、芹澤明子さんという方ですね。トウキョウソナタなどを手掛けた方ですね。
全編悪人も出てこなくて、それはリアリティではないのかもしれませんが、こういう作品が無くなってしまうのも寂しいので、松竹はこのお家芸を、やはり続けていただきたいものです。というかそういうカラーを失ってしまったら生き残れないと思うので。
それにこういう日本風家族ものは海外でもそれなりに受けがいいのです。
なので経営は苦しいかもしれないけど松竹がんばれ。
東映も思い切って伝統回帰したらいいんじゃないでしょうか。B級ヤクザものを今作ったらけっこう新鮮なんじゃないかな。東宝の後追いしても、回ってくる原作は、すでに東宝にいいとこは取られて、微妙なのが残るというパターンが大半なので。
やっぱ、みんな東宝で映画化したがるんですよね、一番売れる確率が高いから。なので、売れ筋の原作は大体東宝が持ってくという。
というわけで、今こそ平成版網走番外地や、平成版女囚さそりの製作を待ち望んでおります。
本作品の原作です。
予告編