いつもアメリカのテレビや映画の事情を調べることばかりなので、たまにはヨーロッパの事情も見てみようと思います。イギリスでのタブレットやスマートフォンを利用したテレビとソーシャルメディアの連携例を紹介してみます。
タブレットやスマートフォンの普及によって、それらをセカンドスクリーンとして活用しようという動きが広がっている。放送業者たちはここのところ少しずつセカンドスクリーンをどう活用してくべきかの試みをし始めていたが、今期、いくつかの番組が一歩進んだトライをしている。
ITV: Britain’s Got Talent
スーザン・ボイルを輩出したことで一躍有名になったこの人気リアリティコンテスト番組は、課金制の視聴者参加投票システムと、iOSで利用可能な番組の別放送を導入する。
視聴者は、Britain’s Got Talent showのiOSアプリ内で投票ができるようになる。ITVによると、このアプリは今期の番組開催の期間中、50万ダウンロードを達成した。
しかし、投票は有料で3回の投票権利を1.49ユーロで購入しなくてはならない。この辺はあれですかね、無料にするといい加減な投票が増えてしまうから、ということでしょうか。この投票システムを開発したのは、モバイルサービス会社のMIGで、この会社は、Endemol’s Big Brotherという番組のソーシャルTV投票システムを提供したことでも知られている。
さらにITVは、4つのカメラによって舞台裏のライブ配信をアプリ内で、これも有料ではあるが提供する。1.99ユーロでシリーズを通して視聴することができる。
Zeebox: FAカップ決勝戦
イングランドの伝統あるサッカーのカップ戦、FAカップはバドワイザーがスポンサーであるが、Zeeboxというソーシャルアプリと連携して、そのスポンサーシップを拡大しようとしている。
FAカップの決勝戦はITV1とESPNで生中継されるが、BskyB系列であるZeeboxのアプリ内では以下の機能が利用できる。
・フェイスブックと連携して、バドワイザー・マンオブザマッチへの投票
・番組指定のハッシュタグでツイートした人の中から、抽選で決勝戦で使用したボールをプレゼント
・ソーシャルゲームがアプリ内で提供されており、レフェリーとして参加できる
・Optaによるコメンタリーとスタッツを見ることができる。
・ユーザーアンケート
・動画ライブのリンク
BBC:アンティーク・ロードショー
BBCは今年の9月に始まるアンティーク・ロードショーで、「価値当て」によるユーザー参加型の機能の導入を発表した。
アンティーク・ロードショーのその新機能は、モバイルアプリ、ウェブサイトとテレビの赤ボタンで提供され、視聴者が番組で紹介されるアイテムの価値を考えて投稿できるようになっている。また視聴者は、他の視聴者の査定額を「Ask the Nation」という機能で確認できる。
BBCは予想よりもより多くの人がこうした、ユーザー参加型のプラグラムを積極的に利用しているという調査結果も明らかにしている。
BBCのIPTV担当責任者、Victoria Jayeは、
「我々は、オーディエンスをニーズを満たし、ショーがインスパイアする行動に基づいて番組を構成することによって、よし番組に没頭してほしいのです」
「オーディエンスのニーズを十分に理解し、今まで以上にインスパイアして、行動に移してもらえるような番組を作っていきたい」
と語っています。
ここで紹介されてい3つの番組とも、リアルタイム性に特徴があります。リアリティショーしかり、スポーツ中継しかり。こうしたライブの時間に見る意味のあるプラグラムというのは、ソーシャルメディアとの相性はよく、こうした多様な展開が可能です。
今後、テレビに番組編成は、ドラマのような作り込んだストック型よりも、上に挙げた3つの企画のようなフロー型の番組が増えていく事になるでしょう。
アメリカでも数年前からアメリカン・アイドルに代表されるようなリアリティ番組が人気ですが、デジタルにコピー不能な一回かぎりのリアルタイム性が受けているのと、制作側の理由として、ドラマなどより安いお金で作れる、という事情もあります。
数年前にアメリカではこうした状況に抵抗するために全米脚本家協会が大規模なストライキをやったりしていましたが、テレビのリアルタイム性重視のフロー型コンテンツへの傾倒は、欧米でも日本でもますます高くなっていくと思います。
Source:
Producers, advertisers begin tapping TV’s second screen for fun and profit – Paid Content
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