テレビ番組や動画制作を手がける映像制作関連企業の倒産が急増している。東京商工リサーチのまとめによると、2024年度における「映像制作関連業」の倒産件数(速報値、負債1,000万円以上)は58件に達し、前年度(39件)から48.7%増と大幅に増加した。これは2年連続での増加であり、過去20年ではリーマン・ショック直後の2009年(66件)に次ぐ多さとなった。50件を超えるのは2009年度以来15年ぶりである。
背景には、テレビ・映画業界を取り巻く構造変化がある。ネットメディアや動画配信サイトの普及により、テレビや映画の存在感は相対的に薄れ、制作予算も縮小傾向にある。これにより、長年テレビ番組制作を主力としてきた中小の制作会社は、テレビ以外の事業領域へと展開を迫られている。
さらに、元タレントによる性加害問題で揺れるフジテレビを巡っては、広告出稿の停止が引き続き見込まれており、関連する制作会社などへの影響も懸念される。フジテレビ系列の番組制作に依存してきた会社の経営動向には今後も注視が必要だ。
倒産企業の内訳を業種別に見ると、最も多かったのは映画・ビデオ制作業で34件。次いでテレビ番組制作が17件、アニメーション制作が6件となっている。倒産理由の大半を占めたのは「販売不振」で42件(構成比72.4%)に上り、法的整理の形態では「破産」が54件(同93.1%)と圧倒的だった。負債額では「1億円未満」が48件(同82.7%)を占め、小規模・零細企業の業績回復の見通しが立たず、淘汰が進んでいることがうかがえる。
映像制作業界は元来、過酷な労働環境で知られてきたが、働き方改革の進展とともに、今後は人材確保の観点からも構造的な対応が求められそうだ。
一方、映像コンテンツの市場自体は拡大している。スマートフォンや高性能な撮影・編集ツールの普及により、一般企業や個人が容易に動画制作を内製化できる環境が整ったこともあり、従来は外注していた制作業務が自社対応へと切り替えられるケースが増えている。この結果、業界には新規参入も相次ぎ、価格競争が激化。映像制作会社にとっては、差別化のための付加価値の提供や新たな収益源の発掘が急務となっている。
東京商工リサーチの企業相関図によれば、フジ・メディア・ホールディングス(フジテレビの親会社)の国内取引先は、テレビ番組制作業が391社、映画・ビデオ制作業が181社、アニメーション制作業が90社にのぼる。ただし、同問題に関連した倒産は、4月3日時点では確認されていない。
フジテレビは、制作現場への影響について「番組・コンテンツの制作はおおむね通常通り実施しており、制作関係のお取引先様に対しては、本件による影響を及ぼさないように努めております」とコメントしている。
今回の調査は、日本産業分類(小分類)の「映像情報制作・配給業」に該当する企業を対象に、2005年度から2024年度までの倒産データを集計・分析したものである。今後、映像業界の構造的課題にどのような対応が取られるかが注目される。
ソース:テレビ・映画など、映像制作会社の倒産が急増 予算縮小、過当競争で2024年度は15年ぶり高水準 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ