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つげ義春原作、シム・ウンギョン×堤真一×三宅唱監督の最新作『旅と日々』が11月公開決定


現代日本映画界を牽引する監督・三宅唱の最新作『旅と日々』が、2025年11月に全国公開されることが決定した。主演はシム・ウンギョンと堤真一。原作は、漫画家・つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」の2作で、旅を通して人と人が交差するひとときの美しさと機微を描く。

本作で描かれるのは、うだつの上がらない脚本家・李(イ)が、雪深い山奥で偶然辿り着いたおんぼろ宿で出会う不思議な宿主・べん造との交流である。暖房も食事も不自由なその宿には、どこか異世界のような空気が漂う。やがて李は、べん造が抱える秘密に触れながら、自身の内面と静かに向き合っていくこととなる。

主人公・李を演じるのは、映画『新聞記者』やNHK連続テレビ小説『エール』などで知られる俳優シム・ウンギョン。脚本を読んだ段階から「ここ数年間で読んだ中でもっとも好きな物語」と評しており、三宅監督との初タッグに強い期待を寄せていたという。李という役に関しては、「自分の自然体のままで演じることが重要だと感じた」と振り返っている。

一方、寡黙で謎めいた宿主・べん造役には堤真一が扮する。三宅作品への出演は本作が初となるが、脚本を読んだ時点で「ぜひやらせていただきたい」と即答したという。堤は「特別なことは何も起こらないが、ちょっとした出来事が『それも人生』と思わせてくれる作品」と語り、朴訥としたキャラクター像をつくりあげるにあたっては、方言指導にも力を入れたと明かしている。

メガホンを取った三宅唱監督は、劇場公開デビュー作『Playback』(2012)以降、『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』などで高い評価を得ており、昨年の『夜明けのすべて』に続き本作で再び注目を集めることとなる。三宅監督は「つげ義春さんの作品は、畏怖すら覚えるほど面白く、逃げ出したくなる日もあったが、とことん新しい映画が生まれそうな手応えがある」と制作への意気込みを語っている。

『旅と日々』は、李自身が旅先での体験を文章として綴っていくという形式で進行し、人との出会いや記憶、孤独と癒やしといった要素を穏やかなトーンで描写する。三宅作品に通底する静謐さと繊細な視線は健在であり、観客に寄り添うような優しい語り口が特徴だ。

三宅監督は、原作者であるつげ義春とその息子・正助への謝辞を述べた上で、「家でも旅先でも、つげさんの漫画や紀行文を繰り返し読んできた」と語り、その影響の大きさをうかがわせた。監督自身のコメントにあるように、「ぞわぞわしながらお待ちください」という一言には、本作が従来の映像作品の枠を超えた体験になるという自負が込められている。

『旅と日々』は、日常の延長線上にある“旅”の時間を通して、人生とそっと向き合うことのできる一作である。特別な事件が起こるわけではないが、不器用に生きる人々の姿に観る者が寄り添える、そんな“町中華のような温かさ”が魅力といえるだろう。

映画『旅と日々』は、2025年11月より全国にて公開予定。今後の続報にも注目が集まる。

公式サイト:映画『旅と日々』 公式サイト