一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC、本部:東京都渋谷区、理事長:伊澤一雅)は2025年4月15日、同協会が運営する楽曲情報管理システム「KENDRIX」のブロックチェーン基盤を、ソニーグループの開発による「Soneium」へ移行したと発表した。
「KENDRIX」は、ブロックチェーンを活用した存在証明機能や、本人確認を行うeKYC機能を備えた音楽クリエイター向けプラットフォームであり、プロ・アマ問わず誰でも無料で利用できる。今回のアップデートにより、これまでKENDRIX専用に構築されたプライベートブロックチェーンから、ソニーグループのSony Block Solutions Labs Pte. Ltd.が開発したパブリックブロックチェーン「Soneium」へと基盤を移行した。
Soneiumは、イーサリアムのレイヤー2技術を用いたパブリックブロックチェーンであり、データの耐改ざん性に優れている。これにより、KENDRIXにおける楽曲の存在証明機能の信頼性が一層強化されることになる。加えて、Soneiumが掲げる「クリエイターの創造性の拡張とファンコミュニティとのエンゲージメント強化」という理念とも連携し、JASRACは今後、さらなる価値提供の実現に向けた取り組みを進めていくとしている。
なお、Soneium移行後もKENDRIXの基本機能は引き続き無償で提供される。また、存在証明の発行に伴い登録完了通知のメール送信機能も新設された。
今回の移行に際し、既存ユーザーに対しては、2025年9月30日までに新たな「利用規約」および「個人情報の利用目的」への同意を求めている。期日までに同意がなされない場合、従来のブロックチェーン上の存在証明は削除される予定である。
「KENDRIX」は、「すべての音楽クリエイターが Creation Ecosystem に参画できる世界へ」という理念のもと、音楽著作権に関する各種手続きを簡略化し、創作活動と適正な対価の循環を支援するクリエイターDXプラットフォームである。YouTubeチャンネルやメディアサイト「KENDRIX Media」を通じて、利用方法や音楽制作の現場での活用事例なども積極的に発信している。
JASRACは1939年に設立された日本初の著作権管理団体であり、作詞家・作曲家・音楽出版社等の権利者から著作権管理を委託されている。利用者から支払われた著作物使用料を権利者に分配するほか、著作権思想の普及や音楽文化の振興に寄与する事業も行っている。
関連リンク:
KENDRIX公式サイト:https://kendrix.jp/
JASRAC公式サイト:https://www.jasrac.or.jp/