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王谷晶『ババヤガの夜』がCWAインターナショナル・ダガー賞にノミネート 日本人女性作家として快挙


河出書房新社は16日、王谷晶の小説『ババヤガの夜』(河出文庫)の英訳版『The Night of Baba Yaga』(訳:サム・ベット/Faber & Faber刊)が、英国推理作家協会(CWA)主催の翻訳ミステリー賞「インターナショナル・ダガー賞」にノミネートされたと発表した。同賞への日本人女性作家の選出は極めて珍しく、国際的な注目を集めている。

『ババヤガの夜』は、暴力団の会長令嬢の護衛を任された主人公が裏社会の闇と少女の抱える秘密に迫っていくスリリングな展開と、繊細な人間関係を描いた”シスター・バイオレンスアクション”作品。2020年の日本語版刊行時には日本推理作家協会賞の候補にも選出されていた。

英訳版は2024年9月にイギリスの老舗出版社Faber & Faberより刊行され、「テレグラフ」紙の“スリラー・オブ・ザ・イヤー”に選出されたほか、「クライム・フィクション・ラバー」では編集者選出の最優秀翻訳賞を受賞。さらに「ロサンゼルス・タイムズ」では「この夏読むべきミステリー5冊(2024年)」にも選ばれ、各国で高い評価を得ている。

英ガーディアン紙は「焼けつくような暴力と、胸を打つような優しさが交互に訪れる」と評し、The Times紙は「怒り、ユーモア、スリル満載」と絶賛。米Crime Fiction Loverでは「女性主導のリベンジ・スリラーの極致」と紹介されており、読者からもSNSを中心に熱い支持を集めている。

インターナショナル・ダガー賞は、翻訳ミステリーの分野で世界的に権威のある文学賞で、これまでに東野圭吾『新参者』、横山秀夫『64』、伊坂幸太郎『マリアビートル』など、日本を代表する作家の作品がノミネートされてきた。今回の王谷のノミネートは、近年加速する日本文学のグローバル化の象徴的な成果といえる。

最終候補作は2025年5月29日に、受賞作は同年7月3日に発表予定(いずれも現地時間)。日本発の異色スリラーが、世界最高峰のミステリー賞の舞台でどのような評価を受けるか、注目が集まっている。


【書誌情報】

■英訳版『The Night of Baba Yaga』


著者:Akira Otani
訳者:Sam Bett
出版社:Faber & Faber
発売日:2024年9月12日
ISBN:9780571391073
価格:£9.99
https://www.faber.co.uk/product/9780571391073-the-night-of-baba-yaga/

■原著『ババヤガの夜』


著者:王谷晶
出版社:河出書房新社
発売日:2023年5月9日
ISBN:9784309419657
税込定価:748円(文庫)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309419657/