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TBSのドラマ『キャスター』第2話考察|大谷選手の元通訳水原一平問題を想起させるスポーツ賭博の闇と報道のジレンマ


TBS日曜劇場『キャスター』第2話は、「オンライン賭博の闇を暴け!」というサブタイトルのもと、スポーツ賭博と報道の倫理、さらには巨大スポンサーとのせめぎ合いを描いた濃厚なエピソードであった。

物語は、バレーボール日本代表のエース・名和をめぐる八百長疑惑を中心に展開する。不正に関与していた可能性があるオンライン賭博サイト「ALLAN」を軸に、女子アナウンサー・小池奈美やスポンサー企業・イーストリームを巻き込んだメディアスキャンダルが連鎖的に展開する。

スポーツバーで違法な賭博が行われていたことでガサ入れが入り、そこに偶然居合わせたバレーボール日本代表の名和が任意同行を求められる。そして、ユースゲートのキャスターである小池奈美(月城かなと)も偶然そこにいたことで、JBN局内は大騒ぎになる。小池はすぐに釈放されたが、番組内で釈明をする必要に迫られる。炎上必死の展開だが、進藤(阿部寛)は、そこで奇策を展開。名和に事前に独占取材を撮っていて、小池に実は2人が付き合っていることを認めさせたのだ。

しかし、事態はこれだけで収まらない。名和には警察が八百長疑惑で捜査されているようで、警察が張り込んでいる。名和は八百長そているのか、否か。それは、日本代表の試合だけ異様に的中率が高いスポーツ予想のサイト「ALLAN」の正体が誰なのかという話になっていく。

最終的にALLANの正体は名和のトレーナーである今井だったのだが、彼はかつて怪我でバレーボールを断念した過去があり、スポーツ賭博にのめり込んでしまったという。名和の携帯を勝手に使って違法なスポーツ賭博サイトに送金していたのだ。

どこかで聞いたことのある話だなと思った人が多いだろう。かつて自らもその競技をやっていて、現在はその道のスーパースターを支える立場だった者が、違法なスポーツ賭博で多額の借金を抱えていたと言う話を。大谷翔平選手の元通訳、水原一平のことだ。おそらく、その水原の件を下敷きにした物語なのだろう。

そして、スポーツ賭博の胴元が、国際バレーボール選手権のメインスポンサーのイーストリーム社だったことも判明した。進藤はこの会社がスポンサーから降りてしまわないように言い含められながら、報道をしていたが、最終的にはイーストリーム社の不正を暴くことにつながる報道をしてみせたことになる。

また、この回では羽生官房長官(北大路欣也)の突然の死が報じられ、過去の輸送機墜落事件やJBNの国定(高橋英樹)との関連も示唆される。シリーズ全体を貫く“政治と報道”の闇が次第に明るみに出てくる伏線が張られており、疑惑と謎が深まる展開になった。歳一話で羽生に対して「俺が殺すまで死なせない」と行っていた進藤だが、彼の最終目標は国定なのだろうか。

そして、崎久保(永野芽郁)は過去に進藤と会っていた可能性がありそうな雰囲気だ。本橋 悠介(道枝駿佑)からバラエティから報道に移った理由は進藤がキャスター就任するからだということを指摘された崎久保。進藤と崎久保の関係も気になる謎として追加され、第二話は幕を閉じた。

報道機関も所詮商売なので、スポンサーなしでは成り立たない。報道局長はスポンサーの顔色を伺い、編集長は報道の矜持を掲げ対立する展開もあった。テレビ局の報道部のジレンマも描いていて、今後、どうのようにテーマを深めていくのか、気になるところだ。

来週の第3話は、STAP細胞の小保方晴子をモデルにしたキャラクターが登場するようだ。現実に世の中を騒がせた事件や人物をモデルにした内容を展開していくドラマになるようだ。今回は水原一平を下敷きにしたキャラクターで来週は小保方晴子。毎週、なんの事件を参考にしているのか、気にしながら見ると一層おもしろく見られるかもしれない。