2025年4月26日、ロサンゼルスのドルビー・シアターにて、フランシス・フォード・コッポラ監督がアメリカ映画協会(AFI)から第50回生涯功労賞(AFI Life Achievement Award)を授与された。式典にはスティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカスといったハリウッドの巨匠たちが集結し、コッポラ監督の功績を称えた。
スピルバーグが語るコッポラの「無類の勇気」と『ゴッドファーザー』への賛辞
スティーヴン・スピルバーグは、コッポラ監督を「恐れを知らない存在」と評した。1967年に初めて出会った際から抱いてきた尊敬の念を語り、「独立系アーティストを擁護する戦士であり、常に新しいアイデアや意見を受け入れる柔軟さを持つ」と述べた。
さらにスピルバーグは、「『ゴッドファーザー』は私にとってアメリカ映画史上最高の作品である」と断言。「あなたはアメリカ映画の正典を再定義し、新たな世代のストーリーテラーたちに影響を与えた」とコッポラ監督に敬意を表した。
ジョージ・ルーカスも「人生の師」と称賛
ジョージ・ルーカスもまた、コッポラとの出会いを振り返り、「22歳のとき、彼から『崖から飛び降りることを恐れるな』と教わった」と語った。「私は彼ほど高くは飛べないが、その教えは今でも私の中に生きている」と述べ、コッポラを「ヒーロー」と称えた。
スピルバーグとルーカスはともに、コッポラにAFI生涯功労賞を手渡した。
コッポラ監督、思い出と感謝を込めたスピーチ
感極まったコッポラ監督は、友人や家族との思い出を振り返りながら、「自分を育てた故郷とは場所ではなく、友人、同僚、家族、隣人たちそのものだった」と語った。「私は常に皆さんの一員であり続ける」と締めくくり、会場を感動に包んだ。
また、式典ではロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、アダム・ドライバー、ハリソン・フォード、モーガン・フリーマン、ダスティン・ホフマンら名優たちも登壇。デ・ニーロは「あなたが私の人生を変えた」と述べ、パチーノは「フランシスは私たちのため、そして自らのビジョンのために戦い続けた」と称賛した。
ダスティン・ホフマンも、コッポラがダイアン・キートンやアル・パチーノ、タリア・シャイア、ジェームズ・カーンらの才能を見抜き、起用した功績を紹介。「あなたが彼らに与えたチャンスは人生を変えた」と語った。
コッポラ監督の輝かしい業績と今後
『ゴッドファーザー』シリーズ、『カンバセーション…盗聴』、『地獄の黙示録』、『ドラキュラ』など、数々の名作を生み出してきたコッポラ監督。今回の受賞により、その不朽の功績が改めて称えられることとなった。
なお、式典では故デヴィッド・リンチ監督にフランクリン・J・シャフナー同窓生メダルが追贈された。事前収録されたメッセージの中でリンチ監督は「AFIは映画史を学び、独自の声を見つける場だ」と語った。
「第50回AFI生涯功労賞:フランシス・フォード・コッポラへのトリビュート」は、TNTで放送され、後日TCMでも再放送される予定である。
AFI生涯功労賞とは
AFI生涯功労賞は1973年に創設され、これまでオーソン・ウェルズ、ベティ・デイヴィス、アルフレッド・ヒッチコック、ジーン・ケリー、シドニー・ポワチエ、メリル・ストリープ、デンゼル・ワシントンらが受賞してきた。前回はニコール・キッドマンが受賞している。