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『続・続 最後から二番目の恋』第3話レビュー|鎌倉の風景と、大人の恋と友情とエロ本の思い出にほっこりする夜


フジテレビ系で放送中のドラマ『続・続 最後から二番目の恋』第3話「正しい生き方なんかどこにもない」は、思春期の記憶から現在に至るまで、登場人物たちが抱える“生き方”への迷いや矛盾を、ユーモラスかつ温かな視点で描き出した。

1977年、エロ本事件に宿る和平の人生観

物語は、長倉和平(中井貴一)の中学時代のエピソードから幕を開ける。母親にエロ本を見つかり、泣きながら諭される少年時代の記憶。エロ本に描かれた女性像が「嘘」であり、現実とは違うのだと母が教えたことは、和平のその後の女性観、恋愛観に深い影響を与えた。

千明(小泉今日子)と飲みながらこの過去を語る和平の姿は、受け身でありながらも誠実であろうとする彼の性格を浮き彫りにする。エロ本を囲んで家族全員が泣いたというシュールなエピソードも、笑いの中に家族愛の深さを感じさせた。

「男」「女」という一括りへの違和感

千明は悪友の啓子(森口博子)、祥子(渡辺真起子)と和平のエピソードで盛り上がる中で、「男」「女」とひとくくりにして語ってしまう危うさに気づく。それぞれ個別に違う人間であり、十把一絡げにはできない。ドラマは、この普遍的なテーマを軽妙な会話劇の中に自然に溶け込ませている。このドラマの登場人物がそれを体現している。実際、一人として「男」「女」とひとくくりにできる存在ではない登場人物ばかりだ。記号的でない人間が描けている。

万里子の挑戦と典子の決断――女性たちの異なる戦い

一方、和平の妹・万里子(内田有紀)は、千明に「本当に書きたいことを知りたい」と問われたことで、自分の創作意欲と真正面から向き合った。千明の存在が、万里子にとって大きなモチベーションになっていることも明かされる。千明が引退したら自分も引退すると言う万里子は、自分で書きたいものはないんだと改めて気づく。全て自分の人生は千明のためにあるのだと、相変わらず重い気持ちを抱えている人だ。

また、典子(飯島直子)はスカウトされたモデルの話に挑戦する決意をする。専業主婦である自分の、女性の社会進出が進む時代への葛藤を口にしつつも、「専業主婦も、働く女性も、それぞれ別の場所で戦っている」という千明の言葉に励まされる。女性同士の立場を超えたエールが心に響く名シーンだ。

キャッチボールで描く男の友情と不器用さ

和平は偶然出会った千次(三浦友和)と意気投合し、夜の公園でキャッチボールを始める。しかし、和平の投球は大暴投し、家のガラスを割ってしまう。いい歳をした男たちが、少年のように無邪気に失敗を重ねる姿が微笑ましい。

キャッチャーとピッチャーというかつてのポジションになぞらえながら、それぞれの人生の立ち位置も浮かび上がる。受け身な和平と、自分の主張を貫き通す千次。違うようでいて、どこか通じ合う二人の関係が丁寧に描かれた。

和平に突きつけられた人生の選択

物語のラスト、和平は市長(柴田理恵)から市長選への立候補を打診される。ジョークを交えた告白を経て、本題に入るあたりはこのドラマらしい軽妙さだが、和平にとっては人生を左右する大きな選択肢である。受け身で生きてきた和平が、どう行動を起こすのか。次回以降の展開が気になるところだ。

登場人物
吉野千明(小泉今日子)​
長倉和平(中井貴一)​
長倉真平(坂口憲二)​
長倉万理子(内田有紀)​
水谷典子(飯島直子)​
長倉えりな(白本彩奈)​
長倉知美(佐津川愛美)​
水谷広行(浅野和之)​
水野祥子(渡辺真起子)​
荒木啓子(森口博子)​
成瀬千次(三浦友和)​
早田律子(石田ひかり)