インドネシア発の長編アニメーション映画『ジャンボ』が、公開4週間で749万観客動員を記録し、インドネシア映画史上歴代3位の興行成績を達成した。制作はジャカルタを拠点とするヴィシネマ・スタジオ(Visinema Studios)が手がけたもので、インドネシア国内でアニメーション映画としては初の快挙となった。
『ジャンボ』とは――いじめられっ子と妖精の冒険譚
『ジャンボ』は、周囲から「ジャンボ」とからかわれる太った少年が主人公。ある日現れた妖精に助けを求められたことをきっかけに、彼女の家族を探し出し、少年の亡き両親が遺した本を取り戻す冒険に旅立つ物語である。
本作は、3月31日のハリラヤ・プアサ(断食明け大祭)期間中に封切られ、1枚あたり2.5ドル(約380円)の平均チケット価格で推定興行収入1870万ドル(約29億円)を達成した。
歴代トップに並ぶ大ヒット、唯一のアニメ作品に
『ジャンボ』は、これまでのインドネシア国内興行成績ランキングで、『KKN di Desa Penari』(2022年/1000万観客動員超)、『Agak Laen』(2024年/900万観客動員)に次ぐ歴代3位にランクインした。さらに、『Warkop DKI Reborn: Jangkrik Boss! Part 1』(680万)、『Pengabdi Setan 2: Communion』(639万)、『Dilan 1990』(632万)、『Miracle In Cell No.7』(589万)といった大作を上回る成績を記録している。
トップ10作品中、アニメーション作品は『ジャンボ』のみであり、文化的にも重要な転換点となっている。
制作陣の喜びと今後への期待
脚本・監督を務めたライアン・アドリアンディ(Ryan Adriandhy)は、観客からの反響について「ジャンボのテーマソングを歌う子供たち、ファンアートを描く若いアニメーターたち、そして初めて映画館を訪れた子供たちの親たちから、毎日心温まるメッセージが届いている」と語った。
ヴィシネマ・グループ創業者でCEOのアンガ・ドゥイマス・サソンコ(Angga Dwimas Sasongko)も、「5年前は誰もが無理だと思っていた。しかし今、ジャンボはみんなの夢となり、心からの創作が歴史を動かす証明となった」と喜びを表した。
さらに、「クリエイターに必要なのは単なる資金支援だけでなく、エコシステムと広がりである。『ジャンボ』のようなIP(知的財産)を支え続け、地域市場で勝ち抜き、最終的には世界市場でも戦える作品に育てていきたい」と力強くコメントした。
『ジャンボ』の国際展開も始動へ
『ジャンボ』は、6月5日からロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスにて公開される予定であり、その後6月末までにマレーシアとブルネイでも上映される計画となっている。海外セールスは、米国とフランスに拠点を持つマジック・フェア・フィルムズ(Magic Fair Films)が担当し、東南アジア以外での配給拡大に向けた交渉も進められている。
ソース:Indonesian animation ‘Jumbo’ soars at box office to become third biggest local film | News | Screen