細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が、2025年11月21日に公開されることが決定した。『竜とそばかすの姫』(2021年)以来4年ぶりとなる新作であり、公開日発表とあわせて、特報映像と新たなティザービジュアルも公開された。さらに、12月12日からはアメリカでの劇場公開も予定されている。
テーマは「復讐」──王女スカーレットの果てしなき旅路
本作の主人公は、とある国の王女スカーレット。彼女は父である国王を殺され、復讐を果たそうとするが失敗し、目を覚ますと“死者の国”にいた。狂気に満ちたこの世界では、宿敵に復讐を果たし、「見果てぬ場所」へたどり着かなければ、存在が虚無に飲み込まれて消滅する運命にある。スカーレットは虚無と戦いながら、復讐の旅を続けることを強いられる。
細田監督は本作について、「世界で起きている出来事を見ても、深い遺恨や復讐心が次々と生まれている。復讐すれば報復があり、その連鎖は容易には断ち切れない。主人公が復讐せざるを得ない状況に追い込まれたとき、どのような行動をとるべきかを描きたかった」と語っている。
新ビジュアルと特報映像が公開、異例のダークな世界観を提示
新たに公開されたティザービジュアルには、血に染まった純白のドレスに剣を手にしたスカーレットの姿が描かれている。彼女は無数の死体に囲まれ、鋭い眼差しでこちらを見つめている。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『未来のミライ』など、青空や自然を描いた爽やかなビジュアルが特徴だった細田作品とは対照的に、今回は重厚かつダークな雰囲気に仕上がっている。
初公開となった特報映像では、砂漠に覆われた“死者の国”を舞台に、スカーレットが旅をする様子が描かれる。砂漠にそびえる城、密集する人々、火山、雷鳴など、荒廃した世界が印象的だ。さらに、スカーレットが多数の兵士と戦うシーンや、砂にまみれた顔、そして純白のドレスを纏った姿も確認できる。ラストでは「ここは……?」というスカーレットのセリフが挿入されるが、現時点ではキャストは未発表だ。
細田守監督が語る『果てしなきスカーレット』制作背景
細田監督は、『果てしなきスカーレット』の構想を2022年3月頃に開始したと説明する。2021年にはコロナ禍で世界が一体感を持っていたが、2022年以降、各地で戦争が起こり、世界が急速に悪化していく感覚を覚えたという。日常の崩壊を目の当たりにし、平和の脆さを痛感したことが、今回の作品の原点となった。
監督は「争いの連鎖をどう断ち切るか」「復讐心に支配されたときにどのように行動すべきか」という問いをテーマに据え、観客に問題提起を投げかける映画にしたいと考えたと明かしている。
『果てしなきスカーレット』は、細田守監督にとって、これまでの作風とは一線を画す重厚な物語であると同時に、人間の本質に深く迫る挑戦的な作品となりそうだ。「復讐」という普遍的だが重いテーマに向き合いながら、細田監督がどのような答えを示すのか、公開が待ち遠しい。
『果てしなきスカーレット』は、2025年11月21日(金)より全国ロードショー。特報映像は公式サイトおよびYouTubeにて公開中である。