フジテレビのドラマ『続・続・最後から二番目の恋』第3話の冒頭で、千明(小泉今日子)と和平(中井貴一)が飲んだ帰りに鎌倉の小町通りを通って帰宅するシーンがあった。
なんてことないシーンだが、最後にカメラがパンアップして印象的に小道通りの看板を映している。小道通りで二人は飲んでいたのかなと思わせる描写で、なんか二人の帰っていく背中がすごく良くて、小町通りの夜を訪れてみたくなるショットだった。
そこで、鎌倉小町通りの夜の楽しみ方について調べてみた。
鎌倉・小町通り、夜にこそ訪れたいもう一つの顔
鎌倉の小町通りといえば、昼間は観光客でにぎわうスポットとして広く知られている。だが、日が沈むとこの通りは驚くほど静かになり、昼間とはまったく異なる表情を見せる。夜の小町通りには、喧騒を離れた静けさと、通りをそっと照らす灯り、そして隠れた名店たちが織りなす、特別な時間が流れている。
小町通りの店舗の多くは18時前後に閉店する。土産物店やスイーツショップも例外ではなく、訪れるなら早い時間帯がよい。賑わいが一段落した後の通りには、ほのかな街灯と店先の明かりだけが残り、静かな石畳の上を歩くと、江ノ電の音や遠くの寺社の鐘の音がふと耳に届く。昼間とは別世界の、しっとりとした鎌倉の魅力がここにある。
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夜でも楽しめる飲食店も存在する。たとえば、元銀行を改装した重厚な内装が魅力のバー「THE BANK」や、石窯ピッツァを提供する「Clobhair-ceann」など、趣向を凝らした店が裏小町に点在する。近年オープンした「Water On」のようなクラフトカクテルバーもあり、夜の鎌倉に新たな彩りを添えている。これらの店は24時頃まで営業しており、食後にゆっくりと酒を楽しむにも最適である。
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季節ごとのライトアップも魅力的
季節ごとのライトアップも見逃せない。春は段葛の桜並木が足元からライトアップされ、夜桜の幻想的なトンネルを歩くことができる。夏には鶴岡八幡宮でぼんぼり祭が催され、参道を彩る400基のぼんぼりが幻想的な光景を作り出す。そして冬には、街路灯にピンク色のイルミネーションが施され、「冬桜イルミネーション」として小町通りを柔らかく染める。訪れる季節ごとに違った夜の表情を楽しめるのも、この地ならではの魅力である。
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フォトスポットも充実
フォトスポットとしても夜の小町通りは侮れない。アーチ看板越しに通りの奥行きを捉えた構図や、段葛の灯籠列を圧縮して撮るテクニックなど、カメラ好きにはたまらない被写体が揃う。ただし、鎌倉市内では三脚使用が制限されている場所が多いため、手持ち撮影を前提にした準備が必要だ。
夜の小町通りを歩く際には、いくつかの注意点もある。20時以降は人通りが減るため、特に一人歩きの場合は若宮大路沿いなど明るいルートを選びたい。また、寺社のライトアップも21時頃には終了するケースが多いため、時間には余裕を持って行動することが望ましい。
昼間の華やぎとは対照的な、しっとりと落ち着いた表情を見せる小町通り。静寂と灯り、そして隠れた名店が織り成す夜の時間を、ぜひ一度味わってみてほしい。そこには、観光地としての顔とは異なる、鎌倉本来の魅力が確かに息づいている。