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【レビュー】『サンダーボルツ*』はMCU久しぶりの会心作!はみ出し者たちの痛みと優しさが胸を打つ物語*


マーベル映画最新作『サンダーボルツ*』は面白かった。久しぶりに本当に面白いマーベル映画に出くわした。キャラが立っている、物語がすっきりしている、アクションの見せ方もシンプルでいい、そして優しさがある。

今回の映画はチームを描くが主人公としてはフローレンス・ピュー演じるエレーナだ。彼女の虚無感を払拭する物語が展開する。そして、同じように虚無感を抱えた青年を助けることによって事態を解決していく展開だ。

あらすじ:汚れ仕事ばかりの人生の虚しさ

エレーナは、裏稼業の汚れ仕事ばかりやらされることにうんざりしていた。これからはもっと表に出ていきたいと感じている。『ブラック・ウィドウ』の時に姉のナターシャを失い、父親とも疎遠になっていたこともあり、孤独な生活に苦しさを感じてもいる。

次の任務で最後にしようと考えたエレーナだが、上司のヴァレンティーナに命じられた場所に赴くと、同じように任務を受けてやってきた連中、ジョン・ウォーカー、ゴースト、タスクマスターと殺し合いになる。彼らは用済みになったためにまとめて始末するために、殺し合いをさせられていたのだ。

その場所になぜか居合わせた青年ボブと一緒になんとか脱出をはかる一同。その過程で、いがみあっていたはみ出しもの集団が力を合わせることを覚え、困難に立ち向かっていく姿が描かれる。

心の痛みがわかる連中

今回集まったのは、姉を失い仕事にも虚しさを覚える暗殺者のエレーナ、その父アレクセイ、短期な元キャプテンアメリカ候補のジョン・ウォーカー、色々洗脳されたりとかひどい目にたくさんあってきたバッキー・バーンズ(ウィンター・ソルジャー)、警察に追われる身になったゴーストにタスクマスターといった、いうなれば落ちぶれた連中ばかりだ。

それゆえに人一倍、人の痛みに敏感な連中が多い。性格的には合わない同士のチームだが、どこかで痛みがわかりあえる、そんな関係になっていくのがいい。光が当たる道を歩んでいない、人生こんなはずじゃなかったと思っている連中の奮起の物語が描かれる。

そして、今回の「ヴィラン」はそんな彼らだからこそ立ち向かえる。腕っぷしで倒すのではなく、痛みをわかりあうという展開で街を救う。

バッキーがかっこいい

バッキー・バーンズが過去イチ格好良かった。サングラスして颯爽とバイクで登場し、片手にショットガンの『ターミネーター』みたいなスタイルでエレーナたちを「救う」。洗脳されてないし精神を病んだ状態でもないバッキーはひたすら格好良かった。

今作の主人公、エレーナも存在感のある主人公だった。彼女は虚無感を抱えているから、虚無感にとらわれている相手の心を知ることができたのだろう。実は人一倍家族思いなところもあって、非常に良い主人公だったし、演じるフローレンス・ピューも素晴らしかった。

いわゆる「生きづらさ」を敵も味方も抱えているという、とても今を反映した作品だったと思う。このテーマが嘘くさくならないのは、サンダーボルツの連中が決して勝者とは言えない奴らだからだろう。彼らの痛みはとてもリアルなものとして描けていたと思う。

また、アクションもやたらとカメラを振り回すわけじゃなく、結構スタントマンの動きをしっかり見せる方向で演出されていてそれも良かった。冒頭、エレーナが単独で任務を遂行する際、警備の連中をなぎ倒していく場面は画面をよこに上手く使って長く伸びる影を見せることで横長のスクリーンを目一杯使って上手く描かれていた。長く伸びる影は後半の展開のメタファー的でもある。

とにかく、面白かった。一点テスクマスターについてどう思うかと聞かれるとあれなのだが、全体的には会心の一本だったのではないか。どうも最近のMCUはこの手のはみ出しものを描くタイプの作品の方が上手くいっている。逆に正統派のヒーローのキャラをどう立たせるか、難しい時代なのかもしれない。

旧作については見ていなくても感情移入はできると思う。強いて挙げれば『ブラック・ウィドウ』を見ておくとより楽しく見られるとは思う。あとは『ファルコン&ウィンターソルジャー』かな。でも、旧作鑑賞は必須ではないと思う。単体で充分に理解可能に作られている。

公式サイト:サンダーボルツ* (大ヒット上映中)|映画|マーベル公式

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