広告主と視聴者を繋げる新しい試み、セカンドスクリーンとは何か、オリンピックが今後のテレビビジネスに与えた指針、Tivoの新ガジェット、YouTube、FOXとTwitterの提携、大人気ドラマPretty Little Liarsの記録樹立など今週もいろいろありました。
USAネットワークは広告主をも巻き込んだコミュニティ作りを目指す
ソース:USA Network Brings Advertisers into Its Social TV Journey – eMarketer
USAネットワークはこの秋、6つの新番組をプロデュースする。それぞれの番組はユニークなソーシャルTV機能を提供する予定だ。ソーシャルTVはUSAネットワークにおいて重要なデジタルモバイル市場における戦略となっており、ストーリーテリングを拡張するものとして期待している。
2年前にCharacter Chatterという独自のソーシャルメディアのプラットフォームを立ち上げたが、これはユーザーが利用する各ソーシャルネットワークを繋ぐハブとして重要な役割を果たしている。
このプラットフォームにアドバタイザーを巻き込みたいと考えている。
例えばフォードのヒュージョンはドラマ「White Collar」のスポンサーであるが、番組内容とも連動させれば、広告主が一緒になってそのプラットフォームでユーザーとコミュニケーションを図ることにより、より大きな広告効果を挙げるkとができると考えている。
番組制作だけでなく、コミュニティを作れるプラットフォームを持ち、そこに広告主を巻き込む、という提案はなかなか斬新だ。ユーザーがどのように受け入れるか、また広告主側がむ番組というハブと通してそのコミュニティでどのようなコミュニケーションを取るのか、非常に興味深いところだ。
Character Chatterのトップページ。Twitter,facebook,Getglue,youtubeのビデオへのコメントなどが表示される。
TVガイドがアプリをアップデート。セカンドスクリーン市場での主導権を獲得できるか
ソース:TV Guide launches new app, aims to dominate second screen
タブレット、スマートフォンの普及によってセカンドスクリーン市場が活況を呈している。TVガイドモバイルは、セカンドスクリーン向けの、「次世代の、ワンストップ番組比較」のiOSアプリをリリースした。アップデートされた同アプリは、お気に入りの番組の情報を継続的に追いかけやすく作られており、ソーシャル連携機能もさらに充実した。
TVガイドモバイルのジェネラル、マネージャー、Christy Tannerがこの新アプリの機能について説明している。
まず1つめがNew Tonight Trendingという機能だ。これはTVガイドのアプリを利用しているユーザーが何を視聴しているかを表示し、どの番組が人気があるのかを表示するものだ。この機能によって個人のウォッチリストを強化する狙いだ。
さらにGetGlueなどの外部アプリとも連携するが、独自のチェックイン機能も実装されている。これによってユーザーの信頼できる視聴データをより多く集め、活用することでできるようになる。
このアプリはオンデマンドサービスを提供している外部アプリともリンクしており、アプリ内でみつけた過去の番組や映画をみるために他のアプリを立ち上げてくれる。
以下のスクリーンショットでは、iTunes, Hulu, ABCが独自にリリースいているアプリで利用可能であることを示しており、各ボタンをタップするとすぐに他のアプリが立ちあがり番組を視聴できる。
Via Lost Remote
オンデマンドとの連携機能はまだある。このTVガイドのアプリのウォッチリストには、その番組のオンエアーがいつかの他、オンデマンドでの提供状況、DVDの販売状況まで確認できる。(下のスクリーンショットを参照)
アメリカではオンデマンド市場が急速に伸びており、このトレンドを無視することは最早できないのだろう。
Via Lost Remote
またTannerはセカンドスクリーンに対する自身の見解を披露している。Tannerは多くの人はセカンドスクリーンについて誤解しており、セカンドスクリーン体験は本来、番組放送中のリアルタイム体験だけを提供するのではなく、週7日、24時間提供されなければならないと考えているという。
オリンピックはTVの消費形態とその指標を変えたのか
ソース:The Trendrr Blog » Blog Archive » Olympic Change In TV Consumption & Measurement
NBCのオリンピック放送に関しては賛美両論様々な意見を噴出したが、NBCのトップリサーチエグゼクティブ、Alan Wurtzelが短いインタビューに応えている。
Wurtzel曰く、今回のオリンピックは多くの違うデバイスとサービスを通して人の注目を集め消費してもらうことの湯=重要性を突きつけたとのこと。それはテレビのビジネスの短期間、長期的展望両方に大きな影響を及ぼすだろうと述べている。
スマートフォンとタブレットにNBCの番組視聴機会を拡張したことでより多くのオーディエンスへリーチ出来たと言う。ティーンエイジャー世代で27%の増加、子供世代で32%、より上の世代に関しても増加傾向だったとのこと。
「1つ確かなことは、オーディエンスに対する指標が変わったということだ」とWurtzelは語っている。
かつての指標とは視聴率のことだろう。それが今回のオリンピックによって変わったことがあるとすれば、もはやリビングのTVの視聴率計算では、実際にどれだけ多くのオーディエンスにリーチできたかは測れず、多くのデバイス間を統合的に考える必要があるということだろう。
同時に4台に同一番組をストリーミングできるTivo Streamが登場
ソース:TiVo Stream Gets Viewers Off the Couch – Katherine Boehret – The Digital Solution – AllThingsD
Tivoが新しいガジェットをこの今月発売する。一台設置するだけで同時に4台のデバイス(テレビ、iPhone, iPad, iPod Touch、アンドロイド端末には近日対応予定)に同じ番組をストリーミングできる機能を持ったTivo Streamだ。価格は130ドル。
正方形のかわいらしい外観で、Wi-Fiかイーサネットで過程のネットワークに接続する。その同じネットワークに接続している最大4つのデバイスに同時に番組をストリーミングできる。現在放送中の番組のリアルタイム視聴だけでなく、番組をiPadやiPhoneにダウンロードすることも可能だ。
さらには録画してDVRに貯めておいた番組も同時に4つの端末で視聴可能。
Tivo Streamの利用には、別途Tivoのプレミアボックスを持っていることが条件になる。すでにTivoを所有しているユーザーにとっては利便性がさらに広がり、いいガジェットだが、あらたにプレミアボックスから購入となると合計で500ドル以上はかかるので高い買い物になる。
専用アプリでチャンネルガイドもついているので、テレビを立ち上げることなく、iPhoneやiPadからテレビ番組を楽しむことができ、ダウンロードまで可能なのは確かに便利だが、費用対効果の面で少し躊躇する値段かもしれない。
録画やダウンロード機能は別途DVRの毎月の利用料も発生する。
X BoxのYouTubeアプリがアップデート。YouTubeの機能、フルに体験可能になったことで、広告も表示へ
ソース:YouTube's Ad Overhaul Moves on to Xbox. Next Stop, Apple? – Peter Kafka – Media – AllThingsD
GoogleがX Box用のYouTubeアプリを大幅アップデートした。
ALL Things Dが受け取ったメールによると、新しいX BoxのYouTubeアプリは、
「5倍の速度で、公式ミュージックチャンネルが視聴可能になった。これによって、ユーザーは「フル」にYouTubeをX Boxで体験可能になる。さらにYouTubeクリエイターにとってはより良いプラットフォームになった」
とある。
つまりどういうことかと言うと、
・公式のミュージックビデオ・・・広告の入ったPV
・フルにYouTubeを体験可能・・・広告が表示される
・クリエイターにとってより良いプラットフォーム・・・広告収入が得られるチャンスが増えた
ということだ。
さらにこのアップデートはPS3にもまもなくやって来る。そしてすでに報道されているが、iOS6からデフォルトのYouTubeアプリが消え、Googleは別にYouTube用のiOSアプリを立ち上げると言われている。それらにも広告が表示される可能性が高いだろう。
個人的にはGoogleの検索連動型広告とアドワーズは素晴らしいと思うが、YouTubeの広告には改善の余地があると思う。(けっこうウザいですよね。。。)その改善を待たずにして、どんどん対応デバイスを増やして大丈夫なのか気になるが。。。。
TwitterとFOX Newsが政治ニュースでパートナー提携
ソース:FOX News and Twitter launch partnership for conventions
TwitterとFOX Newsが党大会におけるパートナー提携を結んだ。Twitterはhttp://election.twitter.com/というページを立ち上げ、リアルタイムインデックスを公開している。共和党全国委員会の際も専門スタッフをTampaに送り込みソーシャルデータの収集を行っていた。そしてそのデータをFOXとTwitter共同で解析にあたり、番組作りに生かしてくとのこと。FOXはTwitterのデータを利用出来る代わりに、番組内でも意見をTwitterで寄せてもらい、視聴者からさらなる意見をひきだすような番組作りをしていく。Twitterの利用率も上がり、両社にとってメリットがある。
政治の人気はメディアによって作られる。今まで政治に対して最も大きな影響力を持っていたテレビが、ソーシャルメディアの影響力の大きさについて注目し、実際に活用しようという動きは注目すべきだろう。
メディアが政治を作るのはこれからも変わらないかもしれないが、アメリカではそこに参加するプレイヤーはもはやテレビと新聞だけでなく、ソーシャルメディアが確実に食い込んできているのだ。
ドラマ、Pretty Little Liarsがアメリカンアイドルの持つ記録を破ってソーシャルTV記録を更新
ABC Familyが放送していたドラマ、Pretty Little Liarsの最終回がテレビ番組におけるソーシャルコメント数の新記録を樹立した。
これまで番組放送中に最も多くのツイートとフェイスブックコメントを稼いだのはオーディション番組の代名詞ともなっているアメリカンアイドルのフィナーレの140万コメントだが、8月28日の夜7:30から9:30のPretty Little Liars最終回放送時には(放送は8:00〜9:00)合計で160万を超えるソーシャルコメントが寄せられた。
スポーツやオーディション番組のような生放送でリアルタイムに進行するタイプの番組には多くのツイートが発生する傾向があると思われてきたが、ドラマでここまで盛り上がるというのは、あまり想像できなかった。
このドラマはティーンエイジャーの女の子が主人公だが、同世代の共感を広く呼んだ結果だろう。デジタルネイティブの心を掴むドラマを作ることができれば、テレビを見ないと言われる若者をソーシャルメディアを通じてテレビ視聴に引き込むことができるのかもしれない。
男女別の比較を見てみると女性が82%と圧倒的。感情分析ではポジティブなコメントが23%、ニュートラルが最も多く71%、ネガティブな意見は6%と少なかった。
それにしてもこのドラマのソーシャルメディア上での人気はすごい。歴代番組別ソーシャルコメント数トップ5中、3つがPretty Little Liarsだ。(残り2つはアメリカンアイドル)
via Bluefin Lab
Pretty Little Liarsの予告編