「年を取るのも、悪くないかもね」——そんな思いがじんわりと胸に沁みる、心温まる笑い満載の『続・続・最後から二番目の恋』の第5話が届けられた。
夜、自宅でひとり仕事に向き合う吉野千明(小泉今日子)は、ふとした物音にビクつく。電話をかけようとするも、相手は長倉和平(中井貴一)。思いとどまるところが千明らしい。
一方、長倉えりな(白本彩奈)は海辺で再び青年・木村優斗(西垣匠)と遭遇する。和平がカフェで“ファザコン”話を得意げに語っていたと知り、複雑な表情を見せる。
翌朝、和平や千明たちはいつものように朝食を囲む。千明は昨晩の物音のせいで眠れなかったとぼやきつつ、えりなが小学生のころに書いた作文の話題で笑いがこぼれる。和平は、千明に防犯用のクマさん柄の防犯ベルをプレゼント。これがまた微笑ましい。「呼び出しボタンに使ってもいい?」という千明に、照れながら「駄目じゃない」と答える和平が、なんとも優しい。
和平は市長選への出馬を悩んでいる。周囲の話に耳を傾けながらも、自分の進むべき道を模索する姿が印象的である。
千明は、同世代の知人が制作会社を立ち上げたという話に刺激を受け、長倉万理子(内田有紀)からは新企画に新しい風を入れたいとの提案が。少しずつ、それぞれが変化を受け入れようとしている。
その夜、えりなは和平と千明を食事に誘い、例の“ファザコン発言”について問いただす。しかし、怒るどころか「父が人として好き」と告白するえりな。過去のわだかまりを溶かし合いながら、父娘の関係が深まっていく。その場に居合わせた千明も思わず涙ぐみ、温かな空気に包まれるシーンである。
湯けむり美人撮影日を迎えた水谷典子(飯島直子)の現場には、なんと夫が男優として登場。「なにやってんだ、こんなところで」の一言に視聴者も爆笑必至。
和平は早田律子(石田ひかり)とランチを共にする。律子は、元夫に裏切られた過去を語り、「むちゃくちゃな人になりたい」と告白。そして和平に「めちゃくちゃにして」と訴える。困惑する和平がまた絶妙に可笑しい。
その後、和平はバーで成瀬千次(三浦友和)と再会。年齢を重ねても新たな出会いがあること、孤独を背負いながらも誰かを求める気持ちがあることを語り合う。千次が「亡き妻に似た女性に会いたい」とこぼす場面は、切なさと共感を誘う。
一方、千明は悪友たちと飲んでいた。制作会社を立ち上げた知人に裏があったと知り、悔しさを口にする千明。その帰り道、酔っぱらった勢いで野良猫と戯れ、服を脱ぎ散らかしてしまう。そして、なんと和平から贈られた防犯カメラのボタンを猫が押してしまう——千明、全裸を和平に見られてしまという爆笑のクライマックス。中年男女の間にある遠慮と親しみ、その絶妙なバランスが笑いを生む。
「年を取っても、毎日が予想外」——そんな千明のつぶやきが、この回のテーマを象徴している。恋、家族、友情、そしてささやかな誤解や勘違い……年を重ねることで見えてくる人間の愛おしさが、このエピソードにはあふれていた。
爆笑しながら、ふと涙ぐむ。そんな“人生賛歌”のようなドラマである。第5話もまた、年を重ねたからこそ味わえる優しさと愉快さに満ちていた。次回も心が温まる展開に期待したい。
登場人物
吉野千明(小泉今日子)
長倉和平(中井貴一)
長倉真平(坂口憲二)
長倉万理子(内田有紀)
水谷典子(飯島直子)
長倉えりな(白本彩奈)
長倉知美(佐津川愛美)
水谷広行(浅野和之)
水野祥子(渡辺真起子)
荒木啓子(森口博子)
成瀬千次(三浦友和)
早田律子(石田ひかり)