業界初のリソース、現場対応の拡充進む/Anita Hill主導のハリウッド委員会が支援体制を強化
2025年5月22日、Anita Hillが議長を務めるHollywood Commission(ハリウッド委員会)は、業界全体に向けて職場のハラスメントや不当行為に関する相談対応機能「MyConnext Ombuds」の一般開放を発表した。これにより、従来は特定の労働組合やスタジオ関係者に限られていたサービスが、制作アシスタントからプロデューサーに至るまで、あらゆるエンターテインメント業界従事者に利用可能となった。
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MyConnext Ombudsとは:人による中立的サポートを提供
「MyConnext」は2024年にHollywood Commissionによって導入されたエンタメ業界特化型のハラスメント報告プラットフォームであり、同時に設置された「Ombuds Office」は、労働者が職場でのトラブルや不適切行動に直面した際に、プライバシーを確保しつつ選択肢を学べる相談窓口として機能している。
このOmbudsサービスは現在、常勤スタッフのリリアン・リベラ氏を中心とする2名体制で運営されており、「単なる自動応答やAIではなく、“実際の人間”が話を聞いてくれる点に、相談者が安心感を覚えている」と語られている。
DGAやNetflixに限らず全業界へ拡大
当初、この相談窓口はDGA(全米監督組合)、WGAW(米脚本家組合西部支部)、IATSE(国際舞台技術者同盟)などの加盟組合員、およびNetflixやAmazon Studios、Kennedy/Marshall Companyといったスタジオ作品の関係者のみが対象だった。
だが、今回の方針転換により、業界内のあらゆる職種が対象となる。Hollywood Commissionのマリア・アリントン事務局長は「この一年間で、Ombudsがいかに重要かを学んだ。業界全体にとっての“ゲームチェンジャー”である」と述べている。
法的助言は不可、だが中立的なアドバイスは可能
Ombuds Officeは法的助言や精神的カウンセリングは行わないが、記録保持の必要性、報告の仕方、匿名性や機密保持に関するガイドラインを中立的に提供する。相談者にとっては、感情的・制度的な整理を支援する「セーフゾーン」として機能している。
#MeTooムーブメント後に設立された委員会の継続的取り組み
Hollywood Commissionは、#MeToo運動の高まりを背景に、プロデューサーのキャスリーン・ケネディ、弁護士のニーナ・ショウ、起業家で活動家のフリーダ・ケイパー・クラインらが共同で設立。MyConnextはその後、委員会とは独立して運営されているが、依然として業界における労働者の声を拾い上げる重要な機能を担っている。
なお、MyConnextはOmbuds機能に加え、リアルタイムでの不正報告機能も備えており、組合や雇用主への提出の有無にかかわらず、個人の記録用にも活用可能である。
ソース:MyConnext Workplace Misconduct Tool Opened to All Hollywood Workers