ドナルド・トランプ前大統領による軍主導の移民取り締まりが全米で波紋を広げる中、とりわけロサンゼルスではその強硬姿勢に対する市民の抗議が続いている。マリアッチやフォルクローレダンサーらが市庁舎前で声を上げる一方で、複数の著名人たちもSNSや授賞式のスピーチを通じて異議を唱えている。
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「声を上げなければならない」──キム・カーダシアン
リアリティスターで実業家のキム・カーダシアンは、自身のSNSでICE(米国移民・関税執行局)の行動に疑問を呈した。
「ICEが凶悪犯を排除するために存在するのは理解できる。しかし、無実で勤勉な人々が家族から引き離される様子を目にしたら、私たちは声を上げなければならない」と述べた。
ロサンゼルスで育った彼女は「移民は私たちの隣人であり、友人であり、同僚であり、家族である。政治的立場を超えて、移民の貢献によって地域社会が成り立っているのは明らかだ」と訴えた。
BET授賞式でも抗議 シンガー・ドーチー
2025年BETアワードで最優秀女性ヒップホップアーティスト賞を受賞したドーチーは、授賞式のステージ上でトランプ政権の政策を「冷酷な攻撃」と非難した。
「“秩序”の名の下に、私たちのコミュニティに恐怖と混乱がもたらされている。軍隊を使って抗議を封じようとするやり方は許されない」と語り、「私たちは希望の中で生きる権利がある」と訴えた。
ジミー・キンメル「終末ではない」
人気トーク番組司会者のジミー・キンメルは、トランプ氏が語る「ロサンゼルスが燃えている」という描写を嘲笑。ハリウッド中心部のスタジオから12分にわたる辛辣なモノローグを放送した。
「実際にはディズニー/ピクサーの新作『Elio』のプレミアが開かれていて、観光客は楽しんでいる」と語り、「マスクをした政府職員が通りで人々を連れ去る――これは“拉致”という言葉が適切だ」と批判した。
フィニアス「平和的デモで催涙ガスを受けた」
グラミー賞とアカデミー賞を受賞した音楽プロデューサーのフィニアスも、平和的な抗議中に警察から催涙ガスを浴びたことを明かした。
「デモに参加した瞬間に催涙ガスを浴びた。これは政府側が煽っている」と、自身のInstagramで投稿。彼の投稿は多くのフォロワーに拡散された。
エヴァ・ロンゴリア「非アメリカ的な政策」
女優エヴァ・ロンゴリアは、トランプ政権の一連の移民政策を「非アメリカ的」だと批判した。
「見るのもつらく、遠くから見ていても苦しい。現地にいる人たちはもっと大変だろう」と語り、長年地域社会を支えてきた法を順守する移民たちが適切な手続きを受けていない現状に憤りを示した。
トランプ政権の「演出」に疑問の声
トランプ氏はロサンゼルスの状況を「無法地帯」と形容しているが、実際には抗議の多くが限定された地域で平和裏に行われている。こうした現実との乖離が、著名人たちによる批判の背景にある。
今後も移民政策をめぐる論争は続く見通しであり、エンタメ業界からの声が世論にどう影響するか注目される。