現在大ヒット公開中の映画『F1』に主演する俳優ブラッド・ピットが、かつてトム・クルーズと共演する予定だった幻のレース映画企画について、その頓挫の真相を明かした。トム・クルーズが、自身の演じる役の運転シーンが少ないことに難色を示したのが理由であったという。
幻に終わった『フォードvsフェラーリ』共演計画
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ピットが言及したのは、ジェームズ・マンゴールド監督、マット・デイモンとクリスチャン・ベール主演で2019年に公開され高い評価を得た映画『フォードvsフェラーリ』の、それより約10年前に存在した別の企画である。
この初期構想段階の企画では、『トップガン マーヴェリック』や現在公開中の『F1』でメガホンを取ったジョセフ・コシンスキーが監督を務め、ブラッド・ピットとトム・クルーズという二大スターの共演が予定されていた。
ピットは中東のメディア『The National』のインタビューで当時を振り返り、「トムと僕は、ジョー(・コシンスキー監督)と共に『フォードvsフェラーリ』の企画を進めていた。実際に映画を作った彼らより10年ほど前の話だ」と語った。
企画が頓挫した理由について、ピットは次のように明かしている。 「僕たちは二人とも自分で運転したかった。トムは(カーデザイナーの)キャロル・シェルビー役を、僕は(天才ドライバーの)ケン・マイルズ役を望んでいた。しかし、トムがキャロル・シェルビーは映画の中でそれほど多く運転しないと気づいた時、この話は実現しなかったんだ」
実際に公開された映画でも、シェルビー(マット・デイモン)は主にチームの指揮官として立ち回り、レースの大部分はマイルズ(クリスチャン・ベール)が担当した。自ら激しいスタントをこなすことで知られるトム・クルーズにとって、運転シーンの少なさは許容しがたい問題だったようだ。
『F1』続編での再共演は実現するか?
奇しくもピットとクルーズの再タッグの可能性は、現在再び浮上している。新作『F1』が世界的なヒットを記録していることを受け、コシンスキー監督は続編のアイデアを口にしている。監督が描く夢の構想は、なんとトム・クルーズのNASCAR映画の金字塔『デイズ・オブ・サンダー』(1990)とのクロスオーバーだ。
コシンスキー監督は英GQ誌に対し、「もし実現するなら、(『デイズ・オブ・サンダー』でクルーズが演じた)コール・トリクルと、(『F1』でピットが演じる)ソニー・ヘイズには過去があった、という設定になるだろう。彼らはかつてライバルだったんだ」と語っている。
このアイデアについてピット自身も前向きな姿勢を見せており、「(続編でトムと共演するのが)どううまくいくかは分からないけど、やってみる価値はある。ぜひ実現させたいね」とコメント。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)以来となる二人の共演に期待を寄せた。
大ヒット中の新作『F1』と続編への意欲
Appleが製作し、ワーナー・ブラザースが配給する映画『F1』は、全世界で1億4400万ドルを超えるオープニング興収を記録し、大ヒットスタートを切った。ピットは引退したF1ドライバー、ソニー・ヘイズを演じ、若き天才ドライバー(ダムソン・イドリス)を指導するためにF1の世界へ復帰する物語が描かれる。
この成功を受け、ピットは「このような映画が人々を一つにできることを、今はただただ喜んでいる。これが映画の力だ」と満足感を表明。
自身の演じるソニーの続編での役割についてはまだ不透明としながらも、「個人的なことを言えば、また運転したい。でも物語の焦点はジョシュア・ピアース(ダムソン・イドリスの役)とチームのチャンピオンシップ争いに当てるべきだ」と語り、続編への意欲をにじませている。
幻の共演から十数年の時を経て、二人のスーパースターがサーキットで相まみえる日は来るのか。映画ファンの期待は高まっている。
ソース:Why Brad Pitt and Tom Cruise’s ‘Ford v Ferrari’ Movie Failed