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【速報・日本人初の快挙】王谷晶『ババヤガの夜』が英ダガー賞受賞!世界が熱狂する「シスター・バイオレンス」とは?


2025年7月4日、作家・王谷晶氏の小説『ババヤガの夜』(河出書房新社)が、世界で最も権威あるミステリー文学賞の一つである「ダガー賞」の翻訳部門(Dagger for Crime Fiction in Translation)を受賞した。日本人作家の受賞は史上初であり、アジア人作家としては史上2人目という歴史的な快挙である。

ババヤガの夜

最高峰のミステリー文学賞で日本人初の栄冠

日本時間の7月4日早朝、英国推理作家協会(CWA)は、2025年のダガー賞授賞式をロンドンで開催し、翻訳部門の受賞作として王谷晶氏の『ババヤガの夜』英訳版(The Night of Baba Yaga)を発表した。

本作の翻訳は、川上未映子作品の翻訳などでも知られるサム・ベット氏が手掛け、英国では老舗出版社のFaber & Faberから2024年9月に刊行された。

ダガー賞は1955年に創設された歴史ある文学賞であり、その翻訳部門は英語以外の言語で書かれ、英国で出版された優れた翻訳ミステリー作品に贈られる。今回の受賞は、日本のミステリー文学が国際的に極めて高い評価を受けたことを示すものだ。

なお、最終候補(ショートリスト)には柚木麻子氏の『BUTTER』も選出されており、日本の作家2名が同時にノミネートされるという快挙も成し遂げていた。

受賞作『ババヤガの夜』とは?圧巻のシスター・バイオレンス・アクション

『ババヤガの夜』は、2020年に文芸誌「文藝」で発表され、単行本化、2023年に文庫化された作品である。日本国内での累計部数は3万8000部を突破している。

物語は、喧嘩だけが取り柄の主人公・新道依子が、暴力団組長の一人娘の護衛を命じられるところから始まる。気の合わない二人の奇妙な共同生活を通じて、家に隠された秘密が次第に明らかになっていく。物語終盤で明かされる大胆な仕掛けと、女性同士の言葉で名付けられない関係性を繊細かつ哀切に描いた、圧巻のシスター・バイオレンス・アクションだ。

すでにイギリス、アメリカ、韓国で翻訳版が刊行されており、今後はドイツ、イタリア、ブラジルでの出版も予定されている。

王谷晶氏 受賞スピーチ「曖昧さを受け入れることが世の中をよりよくする」

ロンドンでの授賞式に登壇した王谷氏は、驚きと感謝を述べるとともに、翻訳者のサム・ベット氏への謝意を表明した。

スピーチでは、自身の創作テーマに触れ、「曖昧であることは私の作家としてのテーマそのものです。自分の曖昧さを受け入れ、他人の曖昧さを認めることが世の中をよりよくすると信じています」と語った。

さらに、バイオレンスフィクションの愛好家として、「リアルの暴力が溢れている世界では、フィクションの暴力は生きていけません」「今回頂いた栄誉を、世界の平和のために少しでも役立てたいと思います」と述べ、創作活動と現実世界の平和への思いを力強く語った。

権威ある「ダガー賞」と日本文学の歩み

ダガー賞翻訳部門では、これまでにも日本の作品が最終候補に選出されてきた。

  • 2016年:横山秀夫『64(ロクヨン)』
  • 2019年:東野圭吾『新参者』
  • 2022年:伊坂幸太郎『マリアビートル』

いずれも世界的な評価を得てきたが、受賞には至っていなかった。今回の王谷氏の受賞は、長年の挑戦の末に達成された、日本文学界にとってまさに金字塔と言えるだろう。

海外メディアも絶賛!『ジョン・ウィック』にも喩えられる評価

『ババヤガの夜』は、今回のダガー賞受賞以前から海外で高い評価を獲得してきた。英国の「クライム・フェスト」で新人小説賞を受賞したほか、米ロサンゼルス・タイムズ紙で「この夏読むべきミステリー5冊」に選出されるなど、注目を集めていた。

海外のレビューでは、「めちゃくちゃブッ飛んでて最高に血まみれ、『キル・ビル』とか『ジョン・ウィック』っぽい雰囲気」(@thespookybookclub)、「激しい暴力と素晴らしい優しさが交互に訪れる」(The Guardian紙)など、その暴力描写と繊細な感情描写の融合が絶賛されている。

著者・翻訳者プロフィール

  • 著者:王谷 晶(おうたに あきら) 1981年、東京都生まれ。小説『完璧じゃない、あたしたち』『君の六月は凍る』、エッセイ集『カラダは私の何なんだ?』など著書多数。
  • 翻訳者:サム・ベット(Sam Bett) 1986年、アメリカ・ボストン生まれ。小説家、翻訳者。三島由紀夫『スタア』、川上未映子『夏物語』『ヘヴン』(国際ブッカー賞候補)など、日本文学の翻訳を数多く手掛ける。

書誌情報

ババヤガの夜 (河出文庫)

ババヤガの夜 (河出文庫)

王谷晶
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発売日: 2023/05/03
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  • 書名: 『ババヤガの夜』
  • 著者: 王谷晶
  • 出版社: 河出書房新社(河出文庫)
  • 定価: 748円(税込)
  • ISBN: 978-4-309-41965-7