人気漫画「ちはやふる」の続編となるオリジナルストーリー、ドラマ「ちはやふる-めぐり-」。その第1話は、新たな主人公・藍沢めぐると競技かるたとの鮮烈な出会い、そして前作のキャラクターたちが織りなす新旧の物語が見事に描かれました。本記事では、物語の詳細を知りたい方向けに、第1話のあらすじと見どころを徹底的にレビューします。
新たな主人公は「FIRE」を目指す超現実主義者
物語は、競技かるたの試合会場から始まります。しかし、主人公の藍沢めぐる(當真あみ)はなぜかピザ屋の制服姿で、呆然と札の舞う光景を眺めています 。
時間を遡ること55分前、めぐるはピザの配達でこの会場を訪れました 。そこで待っていたのは、梅園高校の古文教師であり、競技かるた部の顧問を務める大江奏(上白石萌音) 。奏は、部員が足りず、このままでは試合に出られないため、めぐるに人数合わせでの出場を懇願します 。
めぐるは、現代的な価値観を持つ高校生です。部活動は「タイパが悪い」と断じ、内申点のためだけに幽霊部員として籍を置いていました 。彼女の目標は、アルバイトと長期の積立投資によって経済的自立と早期退職を実現する「FIRE」 。カラオケなどの娯楽も「無駄な支出」と捉え、節約した分を投資に回す徹底ぶりです 。
そんな彼女にとって、汗と涙を流す「青春」は理解しがたい世界。「努力すれば結果はついてくる」という言葉も信じておらず、自分を物語の「脇役」と定め、それなりの生き方を模索していました 。
「青春セレブ」との出会いと反発
顧問の奏は、かつての瑞沢高校かるた部の一員。全国大会を経験し、仲間たちと青春を駆け抜けた、めぐる曰く「青春セレブ」です 。しかし、奏自身は臨時採用の教師という現実に悩み、憧れの存在であった綾瀬千早(広瀬すず)のように「なりたい自分」になれていないことへの葛藤を抱えていました 。
授業中に投資をしていたことを見つかっためぐるは、奏に「先生は理想の自分になれたんですか」と鋭い問いを投げかけます 。この言葉は、奏の心に深く突き刺さります。
運命の札「めぐりあひて」と涙の意味
急遽出場することになった先の試合で、めぐるは対戦相手にルールを教わりながらも、豪快な手法で初めて札を取ります 。その札は「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」 。奏は、その札が主人公の名前に通じることから「めぐるちゃんにピッタリの札だ」と語りかけます 。この歌は、紫式部が旧友との再会と別れを詠んだ「友情のうた」だと後に奏から教えられます 。
試合後、勝利に歓喜し、敗北に涙する選手たちの姿に、めぐるはついていけません 。一回戦負けで号泣する先輩たちの姿に「意味がわからなかった」と感じるめぐる 。そんな彼女に、奏は「あの涙は彼女たちが身を尽くした結果」「泣けるほど、かるたに青春をかけたのです」と語ります 。しかし、めぐるにとってその涙は、自分には縁のない「贅沢」なものでした 。
「マンガの主人公」との対峙、そして―
ついに退部届を提出するめぐる 。しかし、文化祭のかるた部実演会に、かつてめぐるが「マンガの主人公みたい」と語っていた、瑞沢高校の強豪選手・月浦凪(原菜乃華)が現れます 。彼女を前に「嫌でも自分が負け組だと思い知らされる」とめぐるはその場を去ろうとします 。
そんなめぐるを、奏は引き止めます。そして、かるたに打ち込んだ3年間が、10年経った今でも自分を支えてくれる「どんな高価な宝石よりも輝いている」宝物、いわば「積み立てていた」ものだと語り、めぐるにもそんなものを見つけてほしいと訴えます 。
奏の言葉に心を動かされためぐるは、「あの子に何か一つでも勝てたら、あの時の先輩たちみたいに泣いちゃうかもしれません」と、狐の面で正体を隠し、実演会への参加を決意します 。
奏の見事な采配とサポートを受け、めぐるは一瞬の勝機を逃さず、札を払うことに成功 。試合には敗れたものの、その一瞬に確かな手応えと充足感を得たようでした 。
物語のラスト、めぐるは「保護者のサインをもらうのを忘れていたので」という可愛らしい嘘(?)をつき、退部届を返してもらうのでした 。クールな表情の裏に、確かな心の変化が芽生えた瞬間でした。そして奏は、遠い地でかるたを教える千早へメッセージを送ります 。
新旧のキャラクターが交差し、令和の価値観と普遍的な青春の輝きがぶつかり合う「ちはやふる-めぐり-」。クールな主人公めぐるが、これから競技かるたとどう向き合い、どんな「宝物」を積み立てていくのか。今後の展開から目が離せません。
登場人物
梅園高校 競技かるた部
藍沢 めぐる(當真あみ)
白野 風希(齋藤潤)
与野 草太(山時聡真)
村田 千江莉(嵐莉菜)
奥山 春馬(高村佳偉人)
八雲 力(坂元愛登)
顧問 大江 奏(上白石萌音)
瑞沢高校 競技かるた部
月浦 凪(原菜乃華)
折江 懸心(藤原大祐)
篠原 陽介(石川雷蔵)
吉野 音(瀬戸琴楓)
庭野 康太(髙橋佑大朗)
顧問 綾瀬千早(広瀬すず)
北央学園 競技かるた部
奥山 翔(大西利空)
黒田 嵐(橘優輝)
久本 亘(藤枝喜輝)
有馬 仁志(大友一生)
柊 伊吹(漆山拓実)
駒野 勉(森永 悠希)
真島 太一(野村 周平)
西田 優征(矢本悠馬)
筑波 秋博(佐野勇斗)
花野 菫(優希美青)
藍沢 進(要潤)
藍沢 塔子(内田有紀)
藍沢 駆(榎本司)
梅園高校校長(髙嶋政宏)
中西 泉(富田靖子)