作曲家・久石譲による「スタジオジブリ フィルムコンサート」のワールドツアーファイナルが2025年7月16日、17日に東京ドームで開催された。英国の名門ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)との共演で、『風の谷のナウシカ』から最新作『君たちはどう生きるか』まで、宮﨑駿監督作品の音楽が披露され、追加公演を含む3公演で13万人を動員。チケットには118万枚ものオーダーが殺到し、大きな注目を集めた歴史的なコンサートとなった。
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久石譲とロイヤルフィルが奏でるジブリの世界、東京ドームに13万人が集結
世界的な作曲家である久石譲が、コンポーザー・イン・アソシエーションを務めるイギリスのロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)を率いて行った「スタジオジブリ フィルムコンサート」。そのワールドツアーファイナル公演が、7月16日と17日の両日、東京ドームで開催された。
宮﨑駿監督とのタッグで生み出された『風の谷のナウシカ』(1984年)から、アカデミー賞を受賞した最新作『君たちはどう生きるか』(2023年)まで、全11作品の珠玉の楽曲を演奏。チケットは全公演完売となり、計13万席に対して118万枚もの申し込みがあるなど、凄まじい反響を呼んだ。
指揮とピアノの“一人二役”で魅了、壮大な『ナウシカ』で開幕

コンサートの幕開けは、久石が宮﨑監督と初めてタッグを組んだ『風の谷のナウシカ』。久石は指揮者とピアニストの“一人二役”でRPOを巧みに率いる。そこに、東京混声合唱団、リトルキャロル、そしてニューヨークから来日したブルックリン・ユース・コーラスの清らかな歌声が加わり、壮大な音楽世界がドームを包み込んだ。
続く『魔女の宅急便』では、映画のストーリーを追体験できる巧みな映像編集と音楽構成で観客の心を鷲掴みにした。
多彩なソリストと自衛隊音楽隊のサプライズ共演
コンサートでは、各作品の世界観を彩る豪華なソリストたちが登場した。 『もののけ姫』では、ソプラノ歌手のエラ・テイラーが「鍛え抜かれた鋼の強さとベルベットの優しいぬくもりを併せ持つ」と称された歌声を響かせた。また、『風立ちぬ』ではマンドリン奏者のマリー・ビュルーが軽やかな音色を奏でた。
中盤には、アリーナに陸・海・空の自衛隊約200名による合同音楽隊が登場するというサプライズ演出も。『天空の城ラピュタ』のテーマをアリーナを歩きながら演奏し、その圧巻のパフォーマンスに観客から惜しみない拍手が送られた。
その後、『紅の豚』『ハウルの動く城』では久石のピアノソロが光り、『千と千尋の神隠し』ではボーカルの麻衣が登場。『風の谷のナウシカ』で少女時代のナウシカ役の歌声を担当した彼女が、透き通った歌声で聴衆を魅了した。
『トトロ』で会場が一体に、アンコールでは『君たちはどう生きるか』を披露

本編のフィナーレを飾ったのは『となりのトトロ』。麻衣とエラ・テイラーが再びステージに登場し、合唱団と共に主題歌「さんぽ」「となりのトトロ」を歌い上げると、会場の一体感は最高潮に達した。
鳴り止まない拍手に応えて始まったアンコール。1曲目には、2023年公開の最新作『君たちはどう生きるか』のメインテーマ「Ask Me Why」が、久石のピアノソロを軸とした特別バージョンで披露された。世界でも演奏機会が極めて少ない貴重な一曲だ。続いて『紅の豚』の「Madness」、『もののけ姫』の「アシタカとサン」が演奏され、熱狂の中、歴史的なコンサートは幕を閉じた。
東京ドームでオーケストラコンサートが行われるのは今回が史上初であり、久石譲が日本の音楽史に新たな1ページを刻んだ2日間となった。
公演プログラム(セットリスト)
- 風の谷のナウシカ
- 魔女の宅急便
- もののけ姫
- 風立ちぬ
- 崖の上のポニョ
- 天空の城ラピュタ
- 紅の豚
- ハウルの動く城
- 千と千尋の神隠し
- となりのトトロ
<アンコール>
- Ask Me Why(映画『君たちはどう生きるか』より)
- Madness(映画『紅の豚』より)
- アシタカとサン(映画『もののけ姫』より)
公演概要