【速報】 米国議会は2025年7月18日未明、公共放送に対する連邦資金11億ドルの削減を含む歳出削減法案を可決した。これにより、長年にわたり米国民に親しまれてきたPBSやNPRといった公共放送機関は、深刻な財政危機に直面することになる。ドナルド・トランプ大統領の第2期就任から半年以内に実現したこの削減は、共和党が数十年にわたり目標としてきた公共放送への予算停止を最終的に実現した形だ。
共和党主導による歳出削減パッケージの概要
今回の決定は、トランプ大統領の要請に応じた「歳出削減パッケージ」の一部として実施された。下院は216対213(共和党議員のうち2名を除く全員が賛成)の僅差で同法案を可決し、大統領の署名を待つのみとなった。この90億ドル規模の歳出削減には、公共放送への資金に加え、対外援助や保健プログラムへの予算削減も含まれている。
公共放送機関への影響と懸念
Public Media Companyの初期分析によると、今回の資金削減により、78の公共ラジオ局と37のテレビ局が閉鎖の危機に瀕している。これらの放送局は、歳出削減の対象となった公共放送事業団(CPB)からの助成金を含む連邦資金に、予算の少なくとも30%を依存しているためだ。
PBSの社長兼CEOであるポーラ・カーガー氏は声明の中で、「今回の連邦議会の承認は、PBSを信頼し、地域社会に多大な価値を提供していると考える大多数の米国民の意思に反するものです」と述べ、決定への強い遺憾の意を表明した。彼女はさらに、「今回の削減は、すべての放送局に深刻な影響を与えるでしょう。特に小規模な放送局や広大な地方地域をカバーする放送局にとっては壊滅的な打撃となります。無料かつ独自の地域番組や緊急警報を提供している多くの放送局は、今後数週間から数カ月で困難な決断を迫られることになるでしょう」と付け加えた。
カーガー氏はまた、「PBSほど米国的なものはありません。今日の後退にもかかわらず、私たちは米国民に不可欠なサービスを提供し続けるために戦い続けることを決意しています」と、今後の闘争を誓った。
トランプ大統領の反応と背景
投票後、トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「Truth Social」に投稿し、「下院が90億ドルの歳出削減パッケージを承認した。これには毎年何十億ドルも無駄にされてきたひどいNPRと公共放送も含まれる。共和党は40年間これを試みてきたが失敗した…しかし、もう終わりだ。これは大きい!!!」と、今回の決定を自身の勝利として大々的にアピールした。
共和党はこれまでも、公共放送が政治的に偏っていると主張し、連邦予算からの支援を停止する試みを繰り返してきた。今回の資金削減は、トランプ政権下でその長年の目標が達成されたことを意味している。
今後の展望
今回の資金削減が発効すれば、セサミストリートやダニエル・タイガーのネイバーフッド、アーサーなど、連邦政府の資金によって制作されてきた数々の人気アニメーションや実写の子供向け番組を含む、多くの公共放送プログラムの存続が危ぶまれる。特に、都市部から離れた小規模な地方局は、予算の大半を連邦資金に依存しているため、閉鎖に追い込まれる可能性が高いと見られている。
公共放送の未来は、今回の議会の決定により、これまでになく不透明なものとなっている。