俳優ケビン・コスナーが監督・主演・製作を務める西部劇大作『ホライゾン:アン・アメリカン・サーガ』の製作会社が、衣装のレンタル料金未払いを巡る訴訟で和解に至ったことが明らかになった。しかし、作品は興行的に大失敗しており、他にも複数の訴訟を抱えるなど、プロジェクト全体の先行きは依然として不透明なままである。
衣装レンタル料を巡る訴訟、和解へ
訴訟を起こしていたのは、衣装レンタル会社のUnited Costume Corporationである。同社は2025年8月1日(現地時間)、裁判所に対して和解が成立したことを通知した。具体的な和解条件については公表されていない。
訴状によると、コスナーの製作会社であるHorizon Seriesは、『ホライゾン:アン・アメリカン・サーガ』の第1章と第2章の衣装レンタル料として、合計約35万ドル(約5,250万円)を支払わなかったとされていた。内訳は、2022年の第1章で約5万8,000ドル、2023年の第2章で約28万5,000ドルにのぼる。
今回の訴訟は、同プロジェクトが抱える深刻な財政難を浮き彫りにする形となった。
相次ぐ金銭・法的トラブル
『ホライゾン』の製作陣が直面している問題は、今回の件だけではない。
配給会社であるNew Line Cinemaは、共同出資契約の違反があったとして仲裁を申し立てている。さらに、あるスタントパフォーマーからは、脚本になかったレイプシーンを巡り、性的差別やハラスメント、報復行為で訴えられている。
立て続けに起こる法的な問題は、製作現場の予算不足や内部の混乱ぶりを裏付けるものとなっている。
興行的大不振と続編の不透明な未来
ケビン・コスナーが私財の一部を投じて製作した『ホライゾン』は、全4部作からなる壮大なサーガとして構想されていた。
しかし、約1億ドル(約150億円)の製作費をかけて作られた第1章の世界興行収入は、わずか3,800万ドル(約57億円)と大コケに終わった。この結果を受け、当初は第1章公開の7週間後に封切られる予定だった第2章の公開は無期限延期となった。「フランチャイズの観客層が育つのを待つため」とされているが、事実上の公開中止との見方が強い。
さらに、第3章に関しては昨年時点で資金調達が完了しておらず、製作は完全に停滞している。コスナー自身が映画を完成させるための資金繰りに奔走していると報じられているが、この一大プロジェクトが完結する見通しは立っていない。
キャリアの集大成と位置付けた作品が、興行的失敗と数々の訴訟という逆風に見舞われる中、名優ケビン・コスナーは極めて困難な状況に立たされている。