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ドラマ『愛の、がっこう』第2話レビュー:偽りの愛が暴く本心、交錯する三者の思惑


第1話で描かれた「教える者」と「教えられる者」の劇的な逆転劇は、第2話にしてさらに複雑な様相を呈してきた。本作は、小川愛実(木村文乃)、カヲル(ラウール(Snow Man))、そして町田百々子(田中みな実)という三人の主要人物のキャラクターを深く掘り下げることで、愛と人間関係における「本物」と「偽物」の境界線を鋭く問いかけている。

空虚さを抱える教師・小川愛実(木村文乃)の揺らぎ

木村文乃が演じる小川愛実は、第2話でその内面の矛盾と渇望をより一層露わにした。生徒・夏希(早坂美海)にカヲルのことを知らないと詰られた際、一瞬見せた勝ち誇ったような表情は、彼との間に生まれた秘密の繋がりが、彼女の空虚な心を満たす一筋の光であることを示唆している。しかしその一方で、元婚約者・川原(中島 歩)との関係においては、ときめきを感じない自分を納得させ、「分相応だ」と諦めに似た表情で幸せを演じようとする。

愛に対して貪欲でありながら、過去の傷から自己評価が著しく低い。このアンビバレントな感情を、木村文乃は繊細な表情の変化で巧みに表現している。カヲルの前でだけ見せる、教師の仮面を脱いだ素の姿と、川原の前で甲斐甲斐しい女を演じる姿の対比は鮮烈だ。ホテルで川原に抱きしめられ、本能的に彼を拒絶してしまうシーンは、彼女が求めるものが安定や世間体ではなく、心からの繋がりであることを明確に物語っている。

 

計算と純粋さの狭間に立つホスト・カヲル(ラウール)

ラウールが演じるカヲルもまた、単純な「悪」では括れない多面的な魅力を放っている。当初は愛実を「上客」にしようと画策し不敵な笑みを浮かべるなど、ホストとしての計算高い一面を見せる。しかし、家出した夏希を彼なりの方法で諭す姿は、単なる営業テクニックを超えた、彼の生き様から滲み出る哲学を感じさせる。「俺の愛は金でしか買えない。だからいい大学に入って金持ちになって、また俺の愛を買いに来い」という言葉は、歪んではいるが、夏希に具体的な目標を与え、結果的に彼女を救うことになった。

店のNo.1を狙う野心と、母親(りょう)に金をせびられる厳しい現実。そんな彼の孤独を埋めたのが、皮肉にも愛実との「授業」だった。自分の名前すら書けなかった彼が、一人ホテルの部屋で漢字を練習する姿は、愛実の存在が彼の中で単なる「客」以上のものに変化しつつあることを示している。ラウールは、野性的なオーラと時折見せる少年のような純粋さを同居させ、掴みどころのないカヲルというキャラクターに確かな説得力を与えている。

 

物語をかき乱す親友・町田百々子(田中みな実)

田中みな実が演じる親友・百々子の存在が、この物語に予測不能なダイナミズムを生んでいる。愛実とは対照的に、サバサバと行動し、物事の本質を鋭く突く彼女は、ジャーナリストとしての顔と、親友としての顔を併せ持つ。愛実がストーカーになった原因が、かつて自分が彼女の恋人を奪ったことにあると衝撃の事実をあっけらかんと告白し、「それでも友人をやめない愛実を一生守る」と宣言する姿は、二人の間に存在する常識では測れない友情の形を浮き彫りにした。

彼女の行動は、一見すると破天荒だが、その根底には愛実への深い愛情が感じられる。この複雑でパワフルなキャラクターを、田中みな実は嫌味なく、魅力的に演じきっている。

 

「恋愛」という名の新たな授業

第2話の白眉は、愛実とカヲルの関係性が新たなステージに進むラストシーンだろう。「ホストの恋は金のため、愛実の婚約は安定のため」。互いに本心を隠して「偽りの関係」を演じている点では、二人は同類だ。だからこそ、カヲルの自宅の屋上で過ごす時間、二人は偽る必要のない、ありのままの自分でいられるのかもしれない。

漢字を教えることから始まった二人の関係は、カヲルからの「俺が恋愛を教えてやる」という唐突な提案によって、新たな局面を迎える。それは愛実が最も苦手とし、同時に最も渇望しているものだ。傷を抱えた教師と、愛を知らないホスト。いびつで危険な「個人授業」は、果たして二人を救済するのか、それとも破滅に導くのか。三者三様の思惑が交錯し、物語はさらに深みと中毒性を増していく。

登場人物

小川愛実(木村文乃)
カヲル(ラウール(Snow Man))
町田百々子(田中みな実)
川原洋二(中島 歩)
竹千代(坂口涼太郎)
佐倉栄太(味方良介)
田所雪乃(野波麻帆)
沢口夏希(早坂美海)
つばさ(荒井啓志)
ヒロト(別府由来)
香坂奈央(りょう)
小川早苗(筒井真理子)
小川誠治(酒向 芳)
松浦小治郎(沢村一樹)