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森田芳光監督の大規模な特集上映が国立映画アーカイブで開催。『家族ゲーム』から貴重な8mm作品まで、ニュープリント多数上映


1980年代の日本映画界を牽引し、2011年に急逝した後も国内外で再評価が進む映画監督・森田芳光(1950-2011)。その功績を多角的に検証する大規模な特集上映「映画監督 森田芳光」が、国立映画アーカイブにて2025年10月14日(火)より開催されることが決定した。本特集では、代表作の数々をニュープリントで上映するほか、脚本家としての仕事や、キャリアの原点である8mm自主映画にも光を当てる。

特集上映「映画監督 森田芳光」開催概要

 

本企画は、同時期に開催される展覧会「映画監督 森田芳光」との連動企画である。商業デビュー作から遺作まで、そして脚本家として関わった作品や貴重な初期8mm作品を含む全31プログラム(38作品)が上映され、森田芳光の多岐にわたる業績を辿る。

  • 企画名: 映画監督 森田芳光(英題:Yoshimitsu Morita Retrospective)
  • 会期: 2025年10月14日(火)-26日(日)、11月4日(火)-23日(日)※月曜休館
  • 会場: 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
  • 主催: 国立映画アーカイブ
  • 協力: ニューズ・コーポレイション(森田芳光事務所)
  • 公式HP: https://www.nfaj.go.jp/film-program/yoshimitsu-morita202510/

 

見どころ①:実験精神に満ちたキャリアを辿る多彩なラインナップ

 

森田芳光監督は、そのキャリアを通じて常に新しい表現に挑戦し続けたことで知られる。本特集では、商業映画第1作『の・ようなもの』(1981)、横一列に並んだ食卓のシーンで社会現象を巻き起こした『家族ゲーム』(1983)、夏目漱石の文学世界を斬新な映像美で描いた『それから』(1985)、インターネット黎明期のコミュニケーションを先見的に捉えた『(ハル)』(1996)など、各時代を象徴する代表作を網羅。

さらに、脚本家として参加した『ウホッホ探検隊』(1986)や『キリコの風景』(1998)なども上映され、ストーリーテラーとしての森田芳光の才能にも改めてスポットを当てる。

 

見どころ②:『失楽園』『黒い家』など15作品が美麗なニュープリントで蘇る

 

本特集上映の大きな目玉として、上映38作品のうち15作品がニュープリントで上映される。これにより、公開当時の鮮やかな映像をスクリーンで体験できる貴重な機会となる。

バブル期の空気感を切り取った『愛と平成の色男』(1989)、渡辺淳一原作のベストセラーを独自の解釈で映画化し大ヒットした『失楽園』(1997)、貴志祐介原作のホラーをポップなエンターテインメントに昇華させた『黒い家』(1999)、独特のユーモアでコミュニケーションの本質に迫った『間宮兄弟』(2006)、そして遺作となった『僕達急行 A列車で行こう』(2010)など、多彩なジャンルの傑作が新たな姿で蘇る。

 

見どころ③:森田映画の原点、貴重な初期8mm作品を特別上映

 

商業デビュー以前、森田監督は日本大学芸術学部の在学中から8mmフィルムで自主映画を制作していた。本特集では、その原点ともいえる初期8mm作品群を2プログラムに分けて特別上映する。

実験的な試みが光る『映画』(1970)や、ぴあフィルムフェスティバルの前身である自主製作映画展で絶賛された『ライブイン茅ヶ崎』(1978)など、若き日の森田監督の瑞々しい感性と、後の商業作品へと繋がる萌芽を垣間見ることができる。

 

豪華ゲストが登壇するトークイベントも開催

 

上映期間中には、森田監督ゆかりの豪華ゲストを招いたトークイベントも予定されている。監督の大学時代の友人である河添博幸氏(広告プロデューサー)や夏目房之介氏(マンガ・コラムニスト)、公私にわたるパートナーであった映画プロデューサーの三沢和子氏、そして共著で『森田芳光全映画』を上梓したライムスター宇多丸氏らが登壇し、作品をより深く掘り下げる。

 

上映作品一覧(全31プログラム、38作品)

 

※★はニュープリント上映作品

  • 『の・ようなもの』(1981)
  • 『シブがき隊 ボーイズ&ガールズ』(1982)★
  • 『(本)噂のストリッパー』(1982)
  • 『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(1983)★
  • 『家族ゲーム』(1983)
  • 『ときめきに死す』(1984)
  • 『メイン・テーマ』(1984)★
  • 『それから』(1985)
  • 『そろばんずく』(1986)
  • 『悲しい色やねん』(1988)
  • 『愛と平成の色男』(1989)★
  • 『キッチン』(1989)
  • 『おいしい結婚』(1991)★
  • 『未来の想い出 Last Christmas』(1992)★
  • 『(ハル)』(1996)
  • 『失楽園』(1997)★
  • 『39 刑事法三十九条』(1999)
  • 『黒い家』(1999)★
  • 『阿修羅のごとく』(2003)★
  • 『海猫』(2004)★
  • 『間宮兄弟』(2006)★
  • 『サウスバウンド』(2007)★
  • 『椿三十郎』(2007)
  • 『わたし出すわ』(2009)★
  • 『武士の家計簿』(2010)
  • 『僕達急行 A列車で行こう』(2010)★

【脚本家・森田芳光】

  • 『3年目の浮気』(1983、中原俊)
  • 『ウホッホ探検隊』(1986、根岸吉太郎)
  • 『免許がない!』(1994、明石知幸)★
  • 『キリコの風景』(1998、明石知幸)

【特別上映】

  • 森田芳光初期8mm作品集①
    • 『映画』(1970)、『天気予報』(1971)、『健康診断』(1972)、『工場地帯』(1972)、『遠近術』(1972)
  • 森田芳光初期8mm作品集②
    • 『水蒸気急行』(1976)、『ライブイン茅ヶ崎』(1978)、『劇的ドキュメント レポート.’78~’79』(1979)

 

連動企画:展覧会とスタンプラリー

 

7階の展示室では、8月12日(火)から11月30日(日)まで展覧会「映画監督 森田芳光」が開催される。上映企画と展覧会の両方に通うことでプレゼントがもらえるスタンプラリーも実施される予定だ。映画と展示を併せて楽しむことで、森田芳光の世界をより深く堪能できるだろう。チケットやイベント詳細については、公式サイトで確認してほしい。


  • 『の・ようなもの』©1981 N.E.W.S CORPORATION
  • 『(ハル)』©光和インターナショナル
  • 『僕達急行 A列車で行こう』©2012「僕達急行」製作委員会
  • 『家族ゲーム』©1983 日活/東宝
  • 『メイン・テーマ』©KADOKAWA 1984
  • 『それから』©東映
  • 『キッチン』©光和インターナショナル
  • 『未来の想い出 Last Christmas』©光和インターナショナル/藤子・F・不二雄プロ
  • 『失楽園』©1997「失楽園」製作委員会
  • 『黒い家』©1999「黒い家」製作委員会
  • 『わたし出すわ』©2009 アスミック・エース