ドキュメンタリー写真家の森佑一氏は、アカデミー賞受賞映画「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」の舞台となったヨルダン川西岸地区マサーフェル・ヤッタの住民を支援するため、クラウドファンディングプロジェクトを立ち上げた。イスラエル人入植者による暴力や嫌がらせに苦しむパレスチナ人の生活を守ることを目的とし、2025年9月14日まで支援を募る。
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プロジェクトの背景:写真家が目にしたマサーフェル・ヤッタの現実
プロジェクトを起案した森佑一氏は、2017年からフリーランスのドキュメンタリー写真家として、世界各地の紛争地を取材してきた。昨年と今年、イスラエルとパレスチナを訪れた際、ヨルダン川西岸地区南部に位置するマサーフェル・ヤッタの厳しい現状を目の当たりにした。
この地域は、イスラエル軍が治安と自治を管轄する「エリアC」に指定されており、イスラエル人入植地が点在している。事実上の占領下にあり、多くのパレスチナ人が社会的に弱い立場に置かれているのが実情である。
深刻化する入植者被害と支援の必要性
マサーフェル・ヤッタで暮らすパレスチナ人住民は、過激なイスラエル人入植者による暴力や嫌がらせに日常的に直面し、その生活は常に脅かされている。特に2023年10月7日以降、その状況は悪化の一途を辿っているという。
森氏は現地取材を通して、こうした深刻な状況だけでなく、問題解決のために活動するイスラエル人の存在も知った。イスラエル社会では少数派である彼らが、現地のパレスチナ人と共に活動する姿に、現状を変える可能性を見出した。この経験から、厳しい状況下で活動を続ける人々を資金的に援助するため、今回のクラウドファンディングを立ち上げることを決意した。
クラウドファンディングの詳細と支援金の使い道
プロジェクトは7月14日にスタートし、9月14日まで支援を受け付けている。目標金額はファーストゴールとして250万円、セカンドゴールとして300万円を設定している。
集まった支援金は、入植被害に遭ったパレスチナ人家庭を支援するイスラエル人とパレスチナ人の共同グループに送られる。具体的には、現地の流動的なニーズに応じ、野菜の苗、保存食、羊の餌、防犯カメラ、オフロード車などの物資購入費に充てられる予定だ。
また、リターン品として用意されたチャリティーコーヒーや、パレスチナ難民女性が制作した刺繍製品も、現地の経済的支援につながる仕組みとなっている。
プロジェクトが目指すもの:継続的な支援への架け橋
このプロジェクトは、単発の資金援助に留まらない。現地で活動する人々の認知度を高め、彼らを継続的に支援するドナーを発掘することも重要な目標としている。今回のクラウドファンディングを通じて、マサーフェル・ヤッタの現状への理解を広げ、持続可能な支援の輪を広げていきたい考えだ。
プロジェクト概要
- プロジェクト名:マサーフェル・ヤッタ支援プロジェクト
- 起案者:ドキュメンタリー写真家 森 佑一
- 実施期間:2025年7月14日~9月14日
- 目標金額:
- ファーストゴール:250万円
- セカンドゴール:300万円
- プロジェクトURL: https://for-good.net/project/1002160