世界的ポップアイコン、レディー・ガガが2025年8月22日(金)、待望の新ツアー「The Mayhem Ball」を故郷ニューヨークの殿堂、マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で開幕させた。ニューヨークでのライブは約3年ぶり、MSGでの公演は実に10年以上ぶりとなる。最新アルバム『Mayhem』を携え、完全復活を遂げたガガが魅せた圧巻のステージから、特筆すべき7つの瞬間をレポートする。
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目次
10年ぶりのMSG公演で見せた完全復活
「ただいま、ニューヨーク!!」 ガガの叫び声が会場に響き渡ると、満員の観客は割れんばかりの歓声で応えた。2022年の「The Chromatica Ball」以来となるニューヨークでの公演、そして「Monster Ball」や「ArtRave」といった伝説的なツアー以来、10年以上ぶりに帰還したMSGのステージ。ガガにとって、そして長年待ちわびたファンにとって、この夜は特別な意味を持っていた。約2時間以上にわたり、世界を席巻したヒット曲から最新アルバム『Mayhem』の楽曲までを網羅したセットリストで、観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
物語が紡がれる壮大なロックオペラ
今回の「The Mayhem Ball」は、単なるコンサートの枠を超えた、芸術性の高いロックオペラとして構築されている。ステージはゴシック様式の壮麗な装飾が施され、ガガ自身が幕間で語るセリフによって物語が進行する。その物語とは、アーティスト「レディー・ガガ」というモンスターを自ら生み出した「ステファニー・ジャーマノッタ」の魂の葛藤である。両者の戦いの末、最終的には自己の内なるカオスの中に美しさを見出し、二つの側面が栄光のうちに一つに融合するという、コンセプチュアルな内容だ。
ファン歓喜!『Artpop』からの楽曲を披露
一部のファンの間で待望されていた『Artpop』(2013年)からの楽曲が、ついにセットリストに加わった。奇妙でワイルドな同アルバムのオープニング曲「Aura」が始まると、会場のボルテージは一気に上昇。さらに、この日最もエネルギッシュな反応の一つを引き出したのが、大ヒットシングル「Applause」だ。アリーナ全体が一体となり、歌詞を叫ぶ光景は圧巻であった。
涙で語った故郷への想い
ショーの大半を脚本通りに進める一方で、ガガが感情を抑えきれない場面もあった。ヒット曲「Die With a Smile」を心を込めて歌い上げた後、鳴り止まない歓声に感極まったガガは、故郷への想いを涙ながらに語り始めた。 「私の芸術性のすべてが、この街で生まれたと思う」と語り、バックステージでダンサーからかけられた「時には戦う必要はない。ただそこに姿を見せるだけでいい」という言葉を紹介。この言葉に勇気づけられたことを明かし、故郷のステージに立つことの重みをファンと分かち合った。
故郷への特別な贈り物「Hair」のサプライズ披露
感動的なスピーチに続き、ガガは「ニューヨークのために特別なものを用意した」と明かし、ピアノの前に座った。披露されたのは、2011年のアルバム『Born This Way』に収録された自己肯定のアンセム「Hair」。この曲がライブで演奏されるのは、「Born This Way Ball」ツアー以来、約12年ぶりとなる。ガガの弾き語りに合わせ、観客は祈るように大合唱し、感動的な一体感が生まれた。
最新作『Mayhem』の世界観を体現
ツアーのタイトルが示す通り、ショーの根幹をなすのは今年3月にリリースされた最新アルバム『Mayhem』の楽曲群だ。オープニングの「Abracadabra」から始まり、「Killah」でのカタルシスに満ちた絶叫、「Perfect Celebrity」や「Disease」で見せた砂場でのパフォーマンスなど、アルバムの世界観をステージ上で見事に体現。その圧倒的なパフォーマンスに、観客からは数分間にわたるスタンディングオベーションが送られた。
LGBTQ+コミュニティへの揺るぎない愛とファンとの絆
ガガはデビュー以来、一貫してLGBTQ+コミュニティへの揺るぎない愛とサポートを表明してきた。この日のショーでもその姿勢は健在で、ボールルームダンサーがキャットウォークを闊歩し、名曲「Paparazzi」では巨大な衣装がレインボーカラーにライトアップされた。 さらに、「Born This Way」の演奏前には、「私たちはクィア・コミュニティのためにここにいる!世界は今、愛を必要としているの」と力強く宣言した。 また、ファンとの交流も印象的だった。ガガはステージを降りてファンのレコードやポスターにサインをし、花束を受け取るなど、惜しみないファンサービスを展開。ファンから手渡された赤いジャケットを羽織ると、その背中には「Monsters Never Die(モンスターは決して死なない)」というメッセージが刺繍されており、アーティストとファンの深い絆を象徴する感動的な瞬間となった。
ソース:Lady Gaga’s The Mayhem Ball: Best Moments From NYC Night One