Netflixで配信中のアニメ映画『KPop Demon Hunters』が世界的な文化現象となる中、そのサウンドトラックも大きな成功を収めている。劇中の楽曲「Golden」が米ビルボードのシングルチャート「Hot 100」で初登場1位を獲得。この快挙の中心にいるのが、シンガーソングライターのEJAE(イジェ)だ。K-POPアイドルの練習生からソングライターへと転身した彼女が、ついに大きな脚光を浴びている。
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Netflixアニメ『KPop Demon Hunters』の快進撃とサウンドトラックの成功
社会現象となりつつあるNetflixのアニメ映画『KPop Demon Hunters』。その人気をさらに加速させるべく、観客が一緒に歌える「シングアロング版」が今週末から劇場公開される予定だ。
この成功の大きな要因となっているのが、映画を彩る楽曲群である。劇中の架空のガールズグループ「Huntrix(ハントリックス)」が歌う「Golden」は、長らくチャートのトップに君臨していたアレックス・ウォーレンを抜き、ビルボードHot 100で1位を獲得した。
この「Huntrix」のメンバー、ルミの歌声を担当し、楽曲制作にも深く関わったのがシンガーソングライターのEJAEである。彼女は「Golden」のほか、「How It’s Done」「Your Idol」の計3曲で共同制作者としてクレジットされており、「Your Idol」も同チャートで4位にランクインするなど、サウンドトラック全体が驚異的なヒットを記録している。
「一日中泣いた」- EJAEが語る全米No.1への想い
現地時間6月16日に開催された特別上映会に登壇したEJAEは、ファンからの熱狂的な歓迎に「言葉もありません。すべてが信じられないくらい。たくさん泣きました」と冗談交じりに語り、喜びを爆発させた。
ビルボード1位の快挙について、彼女は「本当にクレイジーなこと。文字通り一日中泣いていました」と当時の心境を吐露。「最初に思い浮かべたのは子供の頃の自分。11歳だった小さな私の夢を叶えることができて、本当に幸せです」と語った。
シンガーとしての成功はもちろん、ソングライターとしての評価も彼女にとっては格別な意味を持つ。「曲作りはとてもパーソナルな作業。まるで自分の日記を見せているような感覚です。私が共作した曲に人々が心から共感してくれたことは、本当に、本当に嬉しい」と、その喜びを表現した。
元K-POP練習生という異色の経歴
EJAEの成功の背景には、彼女のユニークな経歴がある。彼女はK-POPアイドルを目指し、10年以上にわたって練習生としての日々を過ごした。その経験を経てソングライターに転身し、TWICE、Aespa、LE SSERAFIM、Red Velvetといった世界的なK-POPグループに楽曲を提供するなど、業界内で確固たる実績を築いてきた。
今回の映画プロジェクトでは、その経験が遺憾なく発揮された。
K-POPの知識が映画音楽を成功に導いた
EJAEは、自身のK-POPでの経験が本作に大きな影響を与えたと分析している。
「韓国系アメリカ人としてバイリンガルであったことは、本当に助けになりました」と彼女は語る。劇中の韓国語の歌詞のほとんどを手掛け、韓国の古い言葉遣いを「Hunter’s Mantra」のような楽曲に織り交ぜることで、韓国語と英語をシームレスに融合させた。
さらに、「K-POPの音楽性は非常にマキシマリスト(最大主義的)ですが、それが映画の壮大なサウンドとごく自然に融合したのです」と語る。アイドル練習生として培ったパフォーマンスや音楽への理解、そしてヒットメーカーとしてのソングライティング能力。そのすべてが結集し、「Golden」という歴史的なヒット曲を生み出す原動力となった。
TikTokでファンが「Golden」を口ずさむ動画を見るたびに「クレイジーなこと」だと成功を実感するというEJAE。「この映画の楽曲を愛してくれるすべての人に、ただただ謙虚に、そして心から感謝しています」と語り、インタビューを締めくくった。