1982年に製作され、世界に衝撃を与えたアメリカのドキュメンタリー映画『アトミック・カフェ』が、最新の4Kレストア版として2025年9月26日(金)にブルーレイとDVDで発売されることが決定した。本作が国内でブルーレイ化されるのは今回が初となる。
『アトミック・カフェ』は、1940年代から50年代にかけてアメリカ政府や軍が製作した核兵器関連の広報映画、ニュースフィルム、教育アニメなどのアーカイブ映像のみをコラージュして構成された革新的な作品である。ナレーションを一切排し、映像の断片を繋ぎ合わせることで、戦後アメリカのプロパガンダ戦略をシニカルかつ痛烈に描き出している。

マイケル・ムーア監督も受けた多大な影響
本作は、『ボウリング・フォー・コロンバイン』でアカデミー賞を受賞した映画監督マイケル・ムーア氏に大きな影響を与えたことでも知られている。同氏は自身の著書で「『アトミック・カフェ』というすごい映画を作ったケヴィン・ラファティに、映画の作り方を教えてもらった。彼なしでは自分の出世作は世に出ていなかっただろう」と語っており、本作のドキュメンタリー史における重要性がうかがえる。
ブラックユーモアで暴かれるプロパガンダの実態
監督のケヴィン・ラファティ、ジェイン・ローダー、ピアース・ラファティは、5年もの歳月をかけて米国防総省や国立公文書館の膨大なフィルムを調査。広島・長崎への原爆投下を記録した映像や、B29「エノラ・ゲイ」機長のインタビュー、トルーマン大統領の演説、そして核の安全性を説く子ども向けのアニメや家庭用核シェルターのCMなど、多岐にわたるフッテージを発掘した。
これらの映像は、政府が国民に対し、核兵器や放射能、そして仮想敵国についていかに都合の良いイメージを植え付けてきたかを浮き彫りにする。能天気なポップソングをBGMに、核の恐怖が巧みに覆い隠されていく様は、ブラックなユーモアに満ちた強烈な問題提起となっている。

日本の音楽シーンにも影響を与えた「アトミックカフェ」
本作は1983年に日本でも公開され、大きな話題を呼んだ。その影響を受け、1984年には「音楽を通して反核・反原発を訴える」をテーマにした「アトミックカフェ・フェスティバル」が日比谷野外音楽堂でスタート。多くの著名アーティストが参加し、伝説的なイベントとなった。このフェスティバルは、東日本大震災を機に「フジロック・フェスティバル」内で復活し、現在もその精神は受け継がれている。

『アトミック・カフェ』商品情報
- 発売日: 2025年9月26日(金)
- ブルーレイ:
- 品番: IVBD-1336
- 価格: 5,800円(税抜)
- DVD:
- 品番: IVCF-5910
- 価格: 4,800円(税抜)
- 共通特典:
- 作品解説ブックレット封入
- オリジナル予告編収録
- 作品データ: 1982年/アメリカ/モノクロ・カラー/本編87分/原題: THE ATOMIC CAFE
- 発売元・販売元: 株式会社アイ・ヴィー・シー