2025年8月にスカイダンス・メディアによる買収が完了し、新体制へと移行したパラマウント・スカイダンス社。同社は、製品および体験部門のグローバルプレジデントとして、マテル社で映画『バービー』のライセンス事業を成功に導いたジョシュ・シルバーマン(Josh Silverman)氏を起用したことを発表した。シルバーマン氏はディズニーおよびマーベルで20年のキャリアを持つ、IP(知的財産)活用のエキスパートである。
新体制構築を進めるパラマウント・スカイダンス
シルバーマン氏は2025年10月6日付で入社し、同社の社長であるジェフ・シェル(Jeff Shell)氏の直属となる。今後は、パラマウント・ピクチャーズやニコロデオンなどが保有する豊富なIPを活用し、消費者向け製品、ライブ体験、出版、パートナーシップ、Eコマースといった事業全体を統括する。
この人事は、前任のパム・カウフマン(Pam Kaufman)氏の退任に伴うもの。国際部門はNBCユニバーサル出身のケビン・マクレラン(Kevin MacLellan)氏が引き継いでおり、シルバーマン氏の就任により、新会社の経営体制が着々と固まりつつあることがうかがえる。
『バービー』大ヒットの立役者、その輝かしい経歴
シルバーマン氏は、直近ではマテル社の上級副社長兼チーフ・フランチャイズ・オフィサーを務めていた。特に、ワーナー・ブラザース映画『バービー』においては、165件以上の消費者向け製品パートナーシップや小売店とのタイアップを主導し、世界的な大ヒットを支えた立役者の一人である。また、巡回型展示「World of Barbie」や「ホットウィール・モンスター・トラックス・ライブ」、さらに開業予定の「マテル・アドベンチャー・パーク」といった体験型ビジネスも手掛けてきた。
マテル社以前は、マーベル・エンターテインメントとディズニーで20年間にわたり要職を歴任。2001年にマーベルに法務担当として入社後、グローバル・ビジネス・デベロップメントおよびライセンス事業の上級副社長に昇進。2009年のディズニーによるマーベル買収後は、ブランド管理やグローバル戦略の中核を担った。
2011年からはディズニーに移り、最終的にはグローバル・サードパーティ・コマーシャリゼーション担当の上級副社長として、消費者製品ライセンス事業やディズニーストアなどを統括していた。
IP活用による新価値創造への期待
今回の就任にあたり、シルバーマン氏は次のように述べている。 「パラマウント全体に広がる起業家精神に、私は非常に活気づけられています。ファンに向けたグローバルなエコシステムを構築する中で、著名なIPを活用し、ポートフォリオから新たな物語や体験を発掘することで、新しい価値を解き放つ素晴らしい機会があります。各チームと協力し、観客と彼らが愛するブランド、フランチャイズ、キャラクターとの感情的な繋がりを深めていくことを楽しみにしています」
また、ジェフ・シェル社長は「ジョシュは戦略的ビジョン、深い業界経験、そして愛されるブランドやフランチャイズで世界的な成長を推進してきた実績を兼ね備えています。彼がパラマウントの世界クラスのライブラリと創造力を活用し、新しくエキサイティングな方法で観客にリーチし、我々の消費者製品および体験ビジネスの拡大を加速させてくれることを期待しています」とコメントし、その手腕に大きな期待を寄せた。
パラマウント・スカイダンスは、Meta(旧Facebook)出身のデーン・グラスゴー(Dane Glasgow)氏を最高製品責任者に、元司法省反トラスト局長のマカン・デラヒム(Makan Delrahim)氏を最高法務責任者に迎えるなど、外部からの人材登用を活発化させている。シルバーマン氏の加入は、同社が保有する強力なIPを最大限に活用し、収益の多角化を加速させるという強い意志の表れと言えるだろう。