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マドリードが世界の映像制作ハブに急成長、その理由とは?『ベルリン』『ウォーキング・デッド』など大作集結


スペインの首都マドリードが、今、世界の映画・ドラマ制作者から熱い視線を浴びている。Netflixの人気シリーズ『ペーパー・ハウス』やそのスピンオフ『ベルリン』、さらには『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』といった世界的な大作のロケ地として選ばれ、国際的な映像制作ハブとしての地位を確立した。その成功の裏には、市を挙げた戦略的な支援体制と、充実した制作インフラがある。

官民一体で強化される制作支援体制

マドリードが映像制作拠点として急成長している背景には、マドリード市議会観光局傘下の「マドリード・フィルム・オフィス」による手厚いサポートがある。同オフィスのディレクター、ラウール・トルケマダ氏によると、2024年には制作支援が前年比で18%増加。市は年間300万ユーロ(約4.9億円)規模の視聴覚補助金プログラムを拡充し、国際共同製作専門の枠も設けた。

さらに、官民連携を促進する「マドリード・オーディオビジュアル・クラスター」を立ち上げたほか、金融保証機関「CREA SGR」を通じて800万ユーロ(約13億円)以上の資金をプロジェクト融資に割り当てるなど、資金調達の面でも制作者を力強くバックアップしている。トルケマダ氏は、「これらの取り組みは、マドリードを革新的で競争力のあるグローバルハブとして位置づけるという我々の野心を明確に示している」と語る。

『ウォーキング・デッド』からジョニー・デップ主演作まで、世界的大作が集結

近年、マドリードでは数多くの国際的なプロジェクトが撮影されている。人気ドラマシリーズ『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』は、マドリードを拠点とし、市内の様々な場所で終末後のロンドンやスペインの風景を撮影した。

その他にも、マーク・ウェブ監督、ジョニー・デップとペネロペ・クルス主演の『Day Drinker』や、サミュエル・L・ジャクソン主演の『The Beast』など、ハリウッドの大型作品がマドリードをロケ地に選んでいる。

テレビシリーズでは、Netflixの『ベルリン』、スペインと日本の共同製作であるHulu Japanの『THE HEAD』、Amazon Prime Videoのベストセラー小説原作『Reina Roja(赤い女王)』などが代表例だ。特にラテンアメリカとの共同製作が増加傾向にあり、マドリードはスペイン、ラテンアメリカ、ヨーロッパを結ぶ創造的な架け橋としての役割を強めている。

最先端の制作インフラが続々と誕生

旺盛な制作需要に応えるため、マドリードではインフラ整備も急速に進んでいる。ヨーロッパ最大級の視聴覚ハブ「マドリード・コンテント・シティ」は現在、拡張の第4段階に入っており、2026年の完成を目指している。

また、バーチャルプロダクション(VPX)やリアルタイム仮想制作といった最先端技術への投資も活発だ。EFD Studiosは2,000平方メートルのバーチャルプロダクションスペースを建設中で、Orca Studiosは最新技術を備えた施設をオープンした。これらの動きは、マドリードがより野心的で革新的な作品を受け入れる体制を整えていることを示している。

制作本数は過去最高ペースで増加

マドリードにおける映像制作の勢いは、具体的な数字にも表れている。過去10年間でフィクション作品の制作本数は倍増した。2024年には映画41本、シリーズ53本が市内で撮影された。

2025年に入ってその勢いはさらに加速し、わずか7ヶ月で映画46本、シリーズ33本を含む636件もの中・大規模プロジェクトが実施された。映画の撮影本数は、上半期だけですでに2024年の年間総数を上回るという驚異的なペースである。

マドリード・フィルム・オフィスは今後、データに基づいた産業分析をさらに進めるとともに、作品の舞台を巡る「スクリーンツーリズム」を推進していく方針だ。「マドリードで撮影された作品が、世界中の視聴者にこの街とつながるきっかけを与えること」を目標に、マドリードは映像ハブとしてさらなる飛躍を目指す。

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