世界的なスーパースター、テイラー・スウィフトの最新アルバム『The Life of a Showgirl』が、音楽史に新たな金字塔を打ち立てた。本作はストリーミング時代におけるアルバムの初週売上記録で、アデルの『25』が保持していた記録を塗り替え、社会現象となっている。
驚異的なセールスで音楽史に新たな1ページ
米ビルボードがLuminateのデータを引用して報じたところによると、『The Life of a Showgirl』はリリース初週で350万ユニット以上という驚異的な数字を記録した。内訳は、純粋なアルバムセールスが320万枚、ストリーミング再生回数をアルバム販売枚数に換算したユニット(SEA)が30万ユニットである。
この合計350万ユニットという数字は、Luminateが1991年に音楽売上の電子的記録を開始して以来、最大の初週記録となる。これにより、2015年にアデルの『25』が達成した記録を上回り、ストリーミングが主流となった現代の音楽市場において、史上最も成功したアルバムローンチとなった。
なお、ストリーミングを含まない純粋なアルバムセールス記録では、アデルの『25』が記録した330万枚超がいまだ最高記録であるが、スウィフトの新作は集計期間をまだ残しており、この記録を更新する可能性も視野に入っている。
賛否両論をものともしないファンの熱狂
『The Life of a Showgirl』は、批評家の間では意見が分かれるなど、スウィフトの近年の作品の中でも特に賛否両論を呼ぶリリースとなった。しかし、そうした評価は熱狂的なファン「Swifties(スウィフティーズ)」の購買意欲に何ら影響を与えなかった。
アルバムはリリース直後から2025年における「1日の最多ストリーミング再生回数」記録を早々に更新。さらに、売上を力強く後押ししたのは、数十種類にも及ぶ様々なバージョンのフィジカル盤(CDやアナログレコード)の存在である。ファンはこれらのバージョンを積極的に購入し、記録的なセールスに大きく貢献した。
「カオスを歓迎する」女王の貫禄
スウィフト自身は、アルバムを取り巻く様々な批評を意に介していないようだ。今週、Zane Loweとのインタビューに応じた彼女は「私はカオスを歓迎する」と語った。
さらに、「ショービジネスのルールはこう。私のアルバムのリリース週に、あなたが私の名前かアルバムのタイトルを口にしているのなら、それは私を助けていることになるの」と続け、批判さえも自身のプロモーションに変えてしまうトップスターとしての貫禄を見せつけた。
前作を遥かに凌ぐセールスと今後の展望
ストリーミングの普及によりアルバムセールスが全体的に落ち込む現代において、1週間で100万ユニット以上を確実に売り上げることができるアーティストはスウィフトをおいて他にいない。今回の数字は、その彼女にとっても異次元の領域である。
昨年の大ヒット作『The Tortured Poets Department』の初週記録260万ユニット、そして『Midnights』の約150万ユニットと比較しても、今回の『The Life of a Showgirl』がいかに凄まじい勢いであるかは明らかだ。
スウィフトの勢いは音楽チャートだけにとどまらない。劇場で開催されたアルバムリリース記念イベントは、米国内と海外を合わせて5010万ドル(約75億円)の興行収入を記録するなど、エンターテインメント業界全体を席巻している。
最終的な初週の公式な数字は今週末に発表される予定だ。アルバムチャートでの初登場1位はすでに確実視されており、次の焦点は、シングルチャート「Hot 100」のランキングをスウィフトの楽曲がどれだけ独占するかに移っている。『Midnights』や『The Tortured Poets Department』ではチャートのトップ10を独占するという快挙を成し遂げており、本作でも同様の現象が再現されるか、世界中から注目が集まっている。