ソニーとクランチロールが配給する日本のアニメ映画『チェンソーマン レゼ篇』が、今週末の米国興行収入ランキングで首位に立つ見込みだ。当初の予想を上回る好スタートを切り、週末3日間で1400万ドル以上の興行収入が予測されている。一方、2位争いは3作品がひしめく混戦模様となっている。
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予想を覆す好発進、批評家・観客から絶賛
『チェンソーマン レゼ篇』は、全米3,003館で公開され、金曜日だけで800万ドルから900万ドルの興行収入が見込まれている。これにより、週末のオープニング興行収入は1400万ドルから1500万ドル、あるいはそれ以上に達する勢いである。
この数字は、当初の予想であった1100万ドルから1200万ドルを大幅に上回るものだ。木曜日のプレビュー上映でも340万ドルを稼ぎ出し、公開前から高い注目を集めていた。
作品評価も極めて高く、映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では批評家スコア100%、観客スコア99%という稀に見る高評価を獲得。出口調査サービス「PostTrak」でも5つ星満点を記録しており、批評家と観客の双方から絶大な支持を得ていることが分かる。
監督は吉原達矢、原作は藤本タツキ、脚本は瀬古浩司が務める。「原作漫画やアニメのファンは失望しないだろう」とTHR誌のレビューは記している。
MAPPA制作、世界でもヒット継続
本作は『呪術廻戦』などを手掛けるMAPPA制作のR指定作品で、Disney+やクランチロールなどで配信中の人気アニメTVシリーズに基づく。
先月日本で公開されて以来、『チェンソーマン』はすでに全世界で6400万ドル以上の興行収入を上げており、その勢いが北米市場にも波及した形だ。米国および一部海外市場での配給はソニーとクランチロールが担当している。
2位争いは『ブラック・フォン2』など3作品が混戦
公開前は、『チェンソーマン レゼ篇』がブラムハウスとユニバーサルの前週ヒット作『ブラック・フォン2』と首位を争うと予想されていた。
しかし、『チェンソーマン』が独走態勢に入る一方、『ブラック・フォン2』は新作の『スプリングスティーン:デリバー・ミー・フロム・ノーウェア』、コリーン・フーヴァー原作の『リグレッティング・ユー』と激しい2位争いを繰り広げている。
金曜朝時点の予測では、これら3作品はいずれも週末興行収入900万ドルから1200万ドルの範囲に着地する可能性があり、予断を許さない状況である。
ワールドシリーズの影響は限定的か
週末にはロサンゼルス・ドジャース対トロント・ブルージェイズによるワールドシリーズの開幕2試合が予定されている。
これが週末の興行収入にどれほど影響するかは未知数である。一般的に、NFLの試合ほど大きな競争相手とはならないとされる。一方で、ロサンゼルスはニューヨークと並ぶ最大の映画市場であり、アニメ作品の最大市場でもある。金曜・土曜の試合はいずれもトロントで開催される。
『スプリングスティーン』は堅実スタート
ブルース・スプリングスティーンの伝記ドラマ『スプリングスティーン:デリバー・ミー・フロム・ノーウェア』は、木曜プレビューで85万ドルを記録。これは年齢層高めの大人向け作品としては想定内の数字である。
Rotten Tomatoesの批評家スコアは66%だが、観客スコアは83%と高い支持を得ている。全米3,460館で上映され、うち250館のIMAX、750館のプレミアム・ラージ・フォーマットスクリーンでの上映が興行を後押しするとみられる。主演はジェレミー・アレン・ホワイト。
『リグレッティング・ユー』は女性客層に期待
パラマウント配給の『リグレッティング・ユー』は、木曜の通常プレビューは行わず、ニューヨークでの特別ファンイベントを開催。その模様は全米500館に生中継された。
本作はコリーン・フーヴァー原作の映画化第2弾。全米3,593館で公開され、最近の映画市場で不足している女性向け作品として、その需要を取り込むことが期待される。しかし、レビューは総じて芳しくなく、観客の口コミが鍵となりそうだ。
『シェルビー・オークス』も公開
専門館向け作品としては、Neonが配給する『シェルビー・オークス』が1,823館で公開される。本作はYouTubeの映画批評家クリス・スタックマンの長編デビュー作であり、オープニング興収は200万ドルから250万ドルと予想されている。本作はKickstarterでホラー作品として史上最高額となる140万ドルを調達したことでも知られる。
