質の高い短編映画やPVなどを多く配信している動画サイトVimeoがSXSWで発表したニュースを取り上げ忘れていたので、少し遅くなりましたが紹介しておきます。
動画サイトVimeoが、映像クリエイターに新しい配給システムを提供する「Vimeo on Demand」というサービスを立ち上げました。
Vimeoは動画を基本無料で提供しているサイトですが、このオンデマンドシステムを使えば有料での動画配信サービスを立ち上げることができます。
これは年間199ドルのVimeo PRO向けに新たに開始されたプログラムで、公開する動画を自分で配信料を設定し、配信地域も自分で決定できる優れもの。
さらにVimeo PROのサービスですので、あらゆるデバイスでHD画質(1080p)での配信を可能にします。
動画投稿フォームにこうして有料で購入した際の視聴期間も自分で決めることができます。
価格と配給先もカスタマイズ可能。世界中で見れるようにすることもできるし、アメリカ限定とするようなことも可能。例えば日本国内ではDVDやテレビで配信してくれる会社が見つかったとしても他国で同じように権利の販売先を見つけることができるとは限りません。このシステムなら、柔軟に国限定してオンデマンド配信をすることが可能になりますね。
現在7本の作品が有料で配信されています。そのうち4本はワールドワイドに提供していますが、3本は北米地区のみで視聴可能にしています。
アノニマスを描いたドキュメンタリー映画「 We Are Legion」も配信されていますね。オキュパイ・ウォールストリートの際のアノニマスがどのように活動したのかを追ったドキュメンタリーです。4.99で2日間しか見れないとはなかなか強気な設定ですな。
via We Are Legion
視聴の仕方は動画のページにアクセスして再生ボタンを押すと、支払い画面が立ち上がるのでクレジットカードかペイパルを選択して情報を打ち込めばすぐに見れます。
このVimeo On Demandの最大のポイントは事業者とクリエイターの利益配分ですね。ペイパルなどの手数料を除いた利益の90%がクリエイター側の取り分。アップルのiTunesが70%ですし、アマゾンのKindleなどでも様々な条件をクリアしてようやく70%ですから、けっこう画期的。しかし年間199ドルは固定費として発生しますが。
そして配信エリアを自分でコントロールできるのもいいですね。国によっては宣伝力のある会社に配給の権利を買ってもらうことも可能かもしれませんし、版権の販売を第一義に考えておいて、買い手のつかない国にはこのVimeoで有料配信するというやり方が可能になります。
HD画質で有料動画を自由に配信できるシステムは今までなかなかありませんでしたから、このサービスが映像クリエイターの新たな収益源となるのか注目したいところです。
実際エージェントなどを通じて海外の安いオンデマンドサービスで配信するよりも自分で上手く宣伝できるのであれば、こちらの方が儲かる可能性はあるでしょう。個人でコンテンツをネットで販売する場合、配信サービスの質も重要ですが、導線を自分でどこまで構築できるかが鍵ですので。
Vimeo On Demandの紹介は動画はこちら。(日本語字幕なし)
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