これくらいの1時間の中編の映画作品がもっと増えるといいんだけどな。忙しい現代人にはこっちのが見やすいんじゃないかと思ってる。
少し前に見たアニメ映画「言の葉の庭」も約1時間の作品でしたけど、これくらいの上映時間の方が身構えずに気軽に映画館に入れる気がしないでもない。スタンリー・キューブリックの幻のデビュー作も1時間だったし、その時も思ったのですが。
via 劇場中編アニメーション「ハル」 | 人とロボットの奇跡の恋を描く劇場中編アニメーション
ロボットに心はあったのか
さて、アニメ進撃の巨人を製作しているスタジオとして今熱い注目を集めているWIT STUDIOの劇場用作品であるこの「ハル」という中編。
物語は、好き合っているハルという青年とくるみ。しかし、ハルは飛行機の事故(テロ?)により死亡してしまう。ショックで希望を失ったくるみは1人で押し入れに引きこもってしまう。そんな孫娘のために祖父は、ロボットキューイチをハルそっくりに仕立て上げ、くるみに生きる希望を再び与えようとする、という感じ。
外見だけハルにソックリな「ロボハル」をなかなか受け入れないくるみだが、ハルがくるみにしてあげようとしていたことを一つずつ実行してくロボハルに徐々に心を開いていく、という内容。
町並みは京都の昔からの風景がそのまま残っていて、そこに高度発達したロボットが共存している未来。大変美しい作画です。
ロボットと人間がわかりあえるか、というのは古典的なSFの主題で、この作品もそのテーマを扱うのかと思ったら、ちょっと違っていました。どんでん返しはネタバレになるので書けないのですが、この作品ではロボットは人間に奉仕する文字通りケアのための存在でした。ロボットのキューイチは恋人を失ったパートナーのためにその相手を演じるのですが、結局キューイチ自身はどう相手に対してどう思っていたのか、あまり描かれずに終わってしまうのは残念。どんでん返しのせいでその辺がもっとよくわからなくなってしまうんですね。
おじいさんもロボのキューイチを大層可愛がっていたようですが、孫たちのために彼(?)に演じさせようとするわけです。ロボットとはこの世界においてなんなのでしょう。
どんでん返しせずにあのまま、想い出を取り戻し大切さを胸に刻み、ロボットも人間のように心を刻んでいく。おすいう展開の方がより感動できたような気がします。ハルの想い出のつまったあの電子式の赤いボタンをロボハルにつけるあたり、そういう方向の描写なんですけどね。ロボットにも想い出宿るというような。
とは言え悪い作品でもなく、情感豊かな良い作品だと思います。しかしもっと良くなる作品ではないかな。
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劇場中編アニメーション「ハル」 | 人とロボットの奇跡の恋を描く劇場中編アニメーション
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