議論のスタートがこれ、というのがまず驚き。
「複製機能のあるものはすべて、ということがスタート点」
具体的にどのような機器やサービスが対象となるのかについてはこれから議論していくことだとしたが、今回の提言は「複製機能のあるものはすべて、ということがスタート点」だと説明。基本的な考え方としては、音楽や映像の配信サービスのように、権利者との契約によって提供されているサービスなどは対象として考えておらず、それ以外のものを補償金制度によってカバーしようとするものだとした。via: 「複製機能」を私的録音録画補償金の対象に、権利者団体が提言 -INTERNET Watch
複製機能がある、というのは複製という行為が行われる実態を示すものでは必ずしもありません。パソコンにはHDDが内臓されていますが、それを録画や録音に用いられるかどうかはわかりません。
録画機などの専用機器は、録画を目的にして機器ですので、その購入は録画という行為の実態をある程度示していたとは、一応解釈可能ですが、複製機能が存在する=録画の恩恵にあずかっているとして、汎用機器にまで対象を広げるというのは、相当に強引な議論です。ていうかそんな議論まかり通るのか。殺人機能がある=包丁は危ないみたいな乱暴な議論。
そもそも論として、著作物に私的利用のための複製は合法として認められているにも関わらず、なんで補償金なんて制度ができたかという議論のスタート地点も変なんですよね。
私的録音録画と著作権 | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
Q1 家庭内で行う音楽や放送の録音・録画に関して、補償金を支払う制度の概要を教えてください。
A1 著作権法は昭和45年に全面的に改正されましたが、改正された著作権法第30条では、私的使用のために音楽や映画などの著作物を録音・録画(複製)することは、それらの作品の権利者に許諾を得ることなく自由かつ無償で行うことができるとされていました。
しかし、録音・録画機器や記録媒体(ディスク・テープ)の目覚ましい発達や普及に伴って、著作物などを家庭内録音・録画して楽しむことが広く定着し、これが著作物などの有力な利用形態のひとつとなってきました。さらに、近年ではデジタル方式による録音・録画機器の開発が進み、従来のアナログ方式と比べて高い品質の複製が可能となり、その結果、オリジナルと同様のコピー作品が社会全体として大量に作られるようになりました。
このような状況において、いつでも家庭内録音・録画による複製が無償で行えることは、著作権者、実演家及びレコード製作者が得られるはずの利益が損なわれているのではないか、との問題が提起されました。これを受け、文化庁著作権審議会(当時)において検討を行った結果、私的録音・録画による権利者の経済的な不利益を補償するために、私的録音・録画は、従来どおり自由としながらも、権利者に対する補償金の支払いが必要であるとの結論が出され、これを踏まえて、平成4年12月、著作権法の一部改正により、私的録音録画補償金制度が定められ、このうち私的録音補償金制度は平成5年6月1日から、私的録画補償金制度は平成11年7月1日から実施されています。
これは要するにデジタルコピーが簡単で、悪いことするやつがいるので、そいつらのせいで権利者が不利益を被っているから、お前らが補てんしろという理屈ですが、なんで何も悪いことしてない人にまで一括で課金してるんでしょうか。
そして、いろんなダビング10のようなコピーガード機能もあるわけでして、コピーガードもやるし、補償金も取るというのはおかしい。
「コピーガードなし、補償金あり」か、「コピーガードあり、補償金なし」ということならまだ議論のしようもあるかもしれませんが、DRMの是非をすっとばして、補償金の対象だけいたずらに広げるのはおかしい。
会見の中で、JASRACの菅原理事長は、違法コンテンツを自動的に削除する技術に関して「効率は上がっている」と語っているようですが、じゃあその技術をもっと向上させることに注力すればいいんじゃないでしょうかね。
さらに同リンク先には「一方で消費者が私的複製したコンテンツを全てカウントし個別に課金することは現実的ではないとする」とありますが、私的複製に課金してどうするんでしょうか。私的複製は自由かつ無償で行うことができる権利は著作権法第30条が定めてますから、私的複製に課金したら著作権法違反じゃないかと思うんですけど。
該当のパラグラフ、一応引用しときますね。メリットってだれにとってのメリットの話をしてるのかよくわかりませんが、ユーザーということなら、メリットじゃなくて法律で保障された権利だと思いますけど。
会見の中で、違法コンテンツを自動的に削除するといった技術の進歩については「効率は上がっている」(JASRACの菅原理事長)として一定の評価を示した。一方で消費者が私的複製したコンテンツを全てカウントし個別に課金することは現実的ではないとする。「契約によって複製の対価を権利者に還元する仕組みを作り、その上で技術的な制御や監視がなく自由に私的複製できる環境を整える方がメリットが大きい」(菅原理事長)とし、提言について理解を求めた。
「機能不全の録音録画補償金、一新を」 85団体が提言 :日本経済新聞
仮にも著作権を管理する団体の理事長が著作権法を理解してないなんてことはないと思ってますが、この発言はなんなんでしょうね。正直意味がわかりません。
補償金制度が現在の実態にあってないというのはその通りなんですが、実態はデジタルコピーガードの導入や菅原理事長のおっしゃる通り、違法コンテンツの自動削除機能の効率があがっているので、補償金制度の役割は終えた、というのが正解じゃないですかね。
なにか、機器メーカーに恨みでもあるんでしょうか。。。東し(ry
レグザのTimeOn機能は、けっこうすごいんですけどね。
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